表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
吹奏万華鏡  作者: 幻創奏創造団
恋は散り華は咲く 夏休み始動編
126/209

55話 残酷に滲み散りゆく花火

優月は、親たちとの合流場所、華幽山に向うことにした。

友達を探す為に…。

花火の空を迸る音、お囃子の盛り上がる音。様々な音が町を白熱させる。

そんな中、優月はひとり、山を登っていた。

「…ふぅ、やっと着いたぁ」

優月は舗装された道を登りきり、山の頂上へと到着した。数カ所露店はあるが、そこもやはり行列だった。

そして人も多かった。

「…確かに綺麗だなぁ」

優月はそう言って、闇を彩る鮮やかな光の花を見つめた。

だが、どうしても色々な考え事をしてしまう。

結局、想大と瑠璃はどうなるのか?本当に別れてしまうのか?

お互いの気持ちが冷めて、どちらかが傷付く前に、別れるという2人だが、その判断は本当に幸せなのか。

お互い優しい2人だ。こう考えることも無理は無いのだが。

(まぁ、そんなことを考えてても仕方ないか)

優月はそう割り切って、穴場を見つけたかのように、辺りを散策し始めた。

小さい頃に優愛と遊んだ、保育園の遠足でここを歩いた、様々な記憶がフラッシュバックする。ここでは、ただ花火の弾ける音だけが響いた。

そしてしばらく歩いていると、思わず足を止める。

公園だ。

(…おぉ)

しかし公園には誰もいない。だが、上を見上げれば、満開の花火が見ることができる。

「歩きっぱなしで疲れたし…」

優月は古びたブランコに腰掛け、花火を見つめた。ブランコが上下する度、花火を見る角度が変わる。

(来年は、好きな人と行きたいな)

優月は、ふと決意を固めた。


その頃、瑠璃と想大は丁度、山頂へ着いた所だった。先ほどまで、瑠璃は囃子、想大は神輿の仕事をしていた。

今日が最後のデート。考えるだけで胸がキュッとなる。だが、仕方が無い。自分をお互いを傷つけない為の選択だから。

これからも毎日会えるわけではない。メールも長々とやり取りできるほど、相手同士暇というわけではない。だから仕方ない。

愛が、憎しみに、哀しみに変わる前に別れる。それが最善の選択だ。

「綺麗だな、瑠璃ちゃん」

想大が瑠璃の手の甲を握る。瑠璃の手は動揺からか小さく震えていた。浴衣の袖が細い腕に優しく触れる。きゅっ、という布が擦れるような音。

「…うん」

瑠璃は小さく答えた。想大は特に悲しんでいる様子は無かった。いや、本人も苦しいはずだ。それを表へ出さないだけであって。

「俺、瑠璃ちゃんと居られて、すごく楽しかった。優しくて可愛くて、何より素直で純粋で。そんな瑠璃ちゃんに好かれたことが幸せだった…」

彼の本音に瑠璃の瞳が震える。もう目の前の花火がぼやけて見える。

違う。

最後に想大と花火が見たくて来たのに。

泣いちゃ駄目だ。

瑠璃は泣きそうな感情を必死に抑え込む。もう覚悟したからこそ逃れられないのは分かっている。

だから、最後は笑顔で別れたい。

「私も、大好きな想大くんと、色んな所に行けて良かったよ」

瑠璃は声を振り絞って彼の方を見る。彼の瞳が静かに潤う。

「…瑠璃ちゃん」

瑠璃と想大には沢山の思い出がある。



初めて出会った時は喧嘩腰だった。

キッカケはティンパニ破壊事件だった。

『…これ、壊されたんですか?』

想大が、分解されたティンパニを見てそう言った瞬間、背後から悪寒が襲う。

『…なに?』

想大たちは『うわっ!』と後ろを振り返る。

『…え?だ、誰?』

そこにいたのが瑠璃だった。

『私が叩いたら、こうなった…』

その言葉が彼女の第一声だった。

『あ、古叢井さん、戻ってきましたね』

すると、顧問の笠松がそう言って、古叢井瑠璃を見た。

『…はい』

呼び掛けられ、瑠璃は暗い表情を向ける。

『…古叢井…瑠璃…』

優月が彼女の名を言うと、

『…何ですか』

とナイフの切っ先のような鋭い視線を向ける。

(…お姉ちゃんのストーカーが)

瑠璃は当初、優月をそう思っていた。ずっと優愛といるから。

しばらくして、

『…へぇ、瑠璃ちゃんが壊したのか…』

想大がそう言った。

攻撃的になっていた瑠璃は『…お前には関係無いだろ』とボヤいた。

何かまずい…と思った優月は瑠璃から想大を引き剥がそうと、彼の肩を掴む。

『ちょっと…!小林君!』

優月が慌てて止めようとした所で、優愛に呼び止められたのだ。

『こーら!瑠璃ちゃん!』

初めて出会った時は最悪だった。

それから部活終わり、優月と想大は、彼女たちへ謝ろうと待っていると、2人の女の子が、彼らへ向かって歩いてきた。

優愛と瑠璃。

そして、想大は瑠璃に歩み寄る。

『…あの、古叢井さん、さっきは煽ってごめんなさい』

すると、瑠璃も

『私の方こそごめんなさい』

と謝った。

お互い謝った2人は名前を聞いた。

『…先輩、名前、なんでしたっけ?』

『…小林想大(こばやしそうた)

『へぇ』

そうして、いつの間にか2人も仲良くなった。

しかし、この事件が恋の始まりとなる。


それから、好きになったのは、1年生の梅雨のある日だった。

雨の降る日。瑠璃はひとり、親の迎えを待っていた。その時だった。

『あれ?瑠璃さん』

『あ…、小林先輩?』

想大とは少しづつ和解してきた時期だった。

『どうしたの?お迎え?』

『はい』

『じゃあ、一緒に待とうよ』

『えっ?良いんですか?』

瑠璃はドキドキした。

『この前、優月くんと優愛ちゃんと一緒に話してた所にいたよね?』

彼がそう訊ねる。瑠璃は『はい』と答えた。

『優愛ちゃんとは、どういう関係?お姉ちゃん、って言ってたじゃん?』

『いや、それは…』

『俺も、結構、優愛ちゃんと一緒に、いたから分かるよ。本当に頼りになるよね』

『は…はい!』

瑠璃が頷くと想大は、ふふっ、と笑った。

『先輩、ひとつ訊いていいですか?』

『うん?どうしたの?』

『先輩はもしも、おね…いや、優愛先輩と小倉っていう先輩が付き合ったら、どうするんですか?』

『えっ!?』

『友達と友達が付き合ったら…どうするか?です』

『それは、素直に喜ぶかな。でも、瑠璃さんが少しだけ心配かな』

『えっ?』

どうして?

『瑠璃さん、優しいから。ひとりで大丈夫って、強がりそう』

『あっ…』

この人言い当てた…、と瑠璃は思った。何を言い当てたかは、分からなかったが、何か、自分の核を見抜かれたような気がしたのだ。

『や、優しいかな?』

『うん。だって、瑠璃ちゃんと一緒にいると、楽しいな、って思うんだもん。もう俺には、気を使わなくてもいいんだよ』

想大の優しい笑みと自信満々な表情に、瑠璃の頬がみるみる赤くなった。

その言葉は、今までどこか警戒していた瑠璃の、緊張感を焦がしたのだ。

『想大先輩、ありがとうございます』

それからも、瑠璃と想大は更に仲が良くなった。



思い出すうちに、空を彩る花火の量は増えていく。まるで2人の思い出のようだ。

輝かしい時は一瞬だが、いつかは忘れる、どこかに消える。忘れ切った記憶は、この夜闇のように見えなくなってしまう。

「…俺も楽しかった」

想大はそう言って彼女の瞳をみつめる。瑠璃の瞳はいつみても綺麗だ。

「あ、汗かいてるぞ。夏だから暑いもんなー」

想大はそう言って、自身のハンカチを瑠璃の肌へ撫でるように当てる。

「うん。ありがとう」

(…夏)

想大が瑠璃のことを意識した時期も夏だ。



『想大先輩』

夏の日、ベンチで絵を描いていた想大に瑠璃が話しかけたことがあった。

『あっ…瑠璃ちゃん』

ふたりは学校でもよく話していた。

『今日も、絵を描いてるの?』

『そうだよ』

それは、いつものことなので瑠璃は静かにブランコに乗った。少し孤独に感じていた。

『はぁ…、誰か遊んでくれないかなあ』

その時、瑠璃の乗るブランコが前に進む。

『えっ!』

瑠璃は後ろを見る。すると後ろには、想大が笑顔で手を振っていた。想大が押したのだ。

『えっ……ええっ…』

瑠璃は驚きながらもチェーンを握った。

『俺も暇だし、一緒に遊ぼう』

『う、うん!』

瑠璃は大きく頷いた。嬉しかった。

想大の温かな手が、瑠璃の小さな背に触れた。その手が背中を押す度、高度は上昇していった。

『どう?楽しい?』

想大が訊ねると、

『はい!』

と瑠璃は喜んだ。

その顔はどこか愛おしい。言葉にはできなかったけれど。

ジャングルジムに上ると、瑠璃がこんなことを訊いてきた。

『想大先輩、どうして、瑠璃と遊んでくれるんですか?』

『だって、遊んでくれないかな…って言ってたじゃん。俺でよかったらいつでも遊ぶよ?』

『あ…ありがとう…ございます』

瑠璃の本音は嬉しかったようだ。

『…暑そうだね』

『先輩の方が暑そうですよ』

そう言って瑠璃の優しい笑顔は、今までに見たことがなかった。

彼女の優しさと自由さが、想大は好きになったのだ。



そんな瑠璃とも恋人でいられるのは今夜までだ。明日からはどうなるのだろうか?恐らく、ただの仲の良い友達として別れるのだろう。

「…あ、かき氷食べる?」

想大はそう言って瑠璃に笑い掛ける。

「かき氷。食べる!!」

瑠璃は大きく頷いた。1秒でも長く彼といたい。想大に付いていく。

「暗いから気を付けてな」

想大は瑠璃の浴衣の襟を、すとんと手で添える。

「…うん」

優しい。



去年の夏祭りもそうだった。

『お姉さん、奪われちゃった?』

希良凛と優愛が2人きりで、瑠璃はどうすれば良いか変わらなかった。

『あっ、想大先輩』

そこに想大が来たのだ。

『あの、一緒に、花火見ない?』

『えっ?』

『い、いいの?』

『元々、その為の浴衣だし』

そう言って、彼は紺色の振袖をはためかせた。

『うん!!』

すると、優愛へ想大が、声をかける。

『優愛ちゃん、瑠璃ちゃん、借りるねー!』

『わっ!』

2人は、そう言って、元いた大通りへ走っていった。

2人切りで見る花火は綺麗だった。

『わぁぁ…』

『瑠璃ちゃん、これ』

花火へ釘付けになっている瑠璃に、想大が手渡したものは、かき氷だった。

『えっ?いいの?』

『ああ』

『いただきます』

瑠璃はそう言って、ふたつあるスプーンのひとつを手に取る。

『甘ぁい〜』

瑠璃は、頬を押さえ、猫のように目を細めた。

目に入れても痛くないくらいの可愛さに、想大は少し頬を赤らめていた。

『じゃあ、俺も』

想大も氷粒を、口に入れる。

『ほんと…だ』

『でしょう?』

すると話しはコンクールに変わる。

『想大先輩、あの私ね、コンクールの結果ね、銀賞だったんだ』

『銀賞、すごいじゃん』

『でも、金賞獲らなきゃ、付き合わないって…』

『そんな事、言ってたっけ?』

気まずそうに言う瑠璃に、彼は白を切った。

『正直言って、どっちでもいいや。銀でも金でも』

『えっ?』

でも一度、決めた約束だ。なのに…

『だって、俺が瑠璃ちゃんのこと好きっていう気持ちは、変わらないもん』

そう彼は言ってくれた。


それは1年経った今も変わらない。

ひとつのかき氷を、2人でシェアして食べる。

シャリと氷を歯で砕くと同時に、シロップの甘い味が、舌を優しく舐める。

「おいしい」

瑠璃が言うと、想大は「だな」と言った。

「やっぱり、瑠璃ちゃんと食べるかき氷はうまい!!」

想大はそう言って笑った。

「私も」

瑠璃は瞳を大きくしてそう言った。


そうして過ごしていると、あっという間に別れる時間になった。

「…想大くん、これからは友達としてよろしくね」

瑠璃は最後、想大にそう言った。

「もちろん。俺もだ」 

想大はそう言って、瑠璃と手を合わせる。ぱちん!と乾いた音がする。

「ばいばい。気をつけて帰ってね」

瑠璃が言うと、

「瑠璃ちゃんも。ありがとう」

と想大も言う。

2人は「バイバイ」と別れの言葉を口にして別れた。



想大の姿が見えなくなると、瑠璃は人気のない場所へ黙って歩く。

今は花火が上がっていない。あと数分で後半戦に入るらしい。

しかし瑠璃は何とも思わなかった。

公園の近くに入ると、ようやく人の気配が消えた。そう思うと、自然と心が楽になる。

このままでは友達と会えない。それくらい心が辛い。

『う…うう…』

思わず嗚咽が出てしまう。それでも黙って歩く。

『…ひっく』

瞳からは、涙の筋が白い頬を伝って流れる。


その時だった。

がちゃん!というブランコの鎖が擦れる音がした。

「…瑠璃ちゃん」

そこにいたのは、優月だった。彼は心配そうに、ブランコを止める。

顔見知りが居たのは嬉しいが、それ所ではなさそうだ。

彼はすぐに瑠璃に駆け寄る。

瑠璃はまるで抜け殻のようだった。このまま消えてしまうのではないのだろうか?そう思う程に彼女の顔色は悪かった。

「…瑠璃ちゃん!?」

優月は瑠璃の肩を持つ。すると彼女の肩が大きく上下する。

『嫌だ、嫌だよぉ』

小さい声が耳元で囁かれる。それを聞き取った優月は一瞬で理解した。

「…瑠璃ちゃん、大丈夫?」

適切な言葉じゃないと分かっていても、優月はただ呼び掛ける。

『…嫌だ』

瑠璃の手のひらが優月の肩へ触れる。痛い、一瞬優月は顔を歪めたが、一瞬で力が抜けた。

『大丈夫じゃない方がいいよ。辛いんだもん』

瑠璃はそう言って、全身をただただ震わせる。

「…そっか」

途端、優月の声が少し高くなる。

『小さい頃から、ずっとこう。大切なものを見つけても、すぐに無くなっちゃう。その癖、失ったらすぐに泣いちゃうもん…』

瑠璃は闇に染まった本音を吐き出す。恐らく、やっとの思いで言えているのだろう。

「…僕に瑠璃ちゃんの気持ちは分からない。何かを失ったことも無いから。瑠璃ちゃんみたいに優しくないから」

優月も本音を言葉にするうちに、声が徐々に震える。本当は泣きたい。でも泣けない。1番辛いのは瑠璃なのだから。

年は中学3年生だが、中身はただの子供だ。そんなこと、優月にだって分かる。

悲しいのだろう。

「瑠璃ちゃんは何も悪くないよ。もちろん、想大くんも。誰も悪くないよ」

優月は口当たりの良い言葉を並べ、瑠璃の頭を撫でる。まるで泣いている幼子をあやすように。

「違うよ。…私が悪いんだよ。想大くんともっと一緒にいたら…」

瑠璃は未だ自分を責めている。残酷な運命を受け入れられていないのだ。

「それじゃあ、この後はどうするの?」

優月は、敢えて肯定しつつも訊ねる。

「…友達として一緒にいられるのかな?」

すると彼女は疑問符で返した。

「…それは」

優月の目が少し鋭くなる。

「瑠璃ちゃんが決める、いや決めなきゃいけないよ」

優月はそう言って、瑠璃の涙に溺れた瞳を見つめる。

「…その為には、考え方を変えないとだめだよ。別れたことは駄目なことじゃないんだから」

それから瑠璃の涙を指で拭う。顔が酷いことになっている。

「僕もだけど、人ってその場から変わることが嫌いなんだよ。それは人間関係も一緒なの。好きでも嫌いでも、その関係から上に進むことも、下に退くことも。だからね…」

彼女の浴衣の袖が震える。

「瑠璃ちゃんはよく頑張ったよ」


そんな瑠璃には、優月の姿が優愛と重なる。

『…優月…せん…ぱい…』

その時、再び空に花火が打ち上がる。残光が2人分の陰を作る。

「…よく頑張ったねぇ、偉いよ」

瑠璃はきっと何度も不安に耐えたことだろう。優月が優しく彼女の頭を撫でる。

すると耐えられなくなったのか、瑠璃は大きな声で泣き出した。目の前が、花火が、滲んで見える。

『うぇぇぇぇえええん…』

泣き声は幸運にも花火の音にかき消される。

優月はまるで兄のように、瑠璃の泣く姿を見守った。今は泣いて、気持ちの整理を付けて、友達たちの元へ戻ってほしいから。

「想大くん…、ごめんなさい!」

瑠璃は泣きながら、何度も彼への謝罪を口にした。それは、何かの罪過を清算するのではなく、瑠璃自身の優しさから滲み出た本音のようだった。数年も恋をしたのに、彼らを振り回したのに、このような別れ方をしてしまったことが申し訳なかった。

「想大くん、ごめんなさぁい…っ!」

瑠璃は泣きながら、優月の肩を思い切り掴んだ。

(…瑠璃ちゃん、今は良いんだよ)

優月はそう心の中で呟き、頭を優しく撫でた。何度も、何度も。


そうして瑠璃が泣くこと10分。時間は9時を回っていた。家族たちには延長の連絡を入れてあるので、恐らく大丈夫な優月は、瑠璃を駐車場まで送っていくことにした。

「…月に叢雲華に風」

優月は帰り際にそう言った。

「瑠璃ちゃんの恋、そのものだったね」

「えっ?」

既に泣き止んだ瑠璃は、不思議そうに首を傾げる。

「…盲目の中で芽生えた恋をずっと追い続けていた所」

さらに、

「何よりも、良い所で邪魔が入る所かな。今回の件も。まさか、2人共予定が入ってたなんてって驚いたもん」

優月はそう言って軽やかに笑った。

「…優月くん、すごく優愛お姉ちゃんに似てるね」

すると瑠璃がそう言った。それに驚いた優月は「そう?」と訊ねる。人生一度も言われたことがなかった。

「瑠璃ちゃん、全国大会まで頑張ってね」

すると優月はそう言った。そうだ、優月は知っているのだった。

「うん、頑張る」

瑠璃は決意を新たにした。

そして別れる直前に優月を、想大や優愛と面影を重ねる。

(ありがとう、お兄ちゃん…)


この日限りで、瑠璃と想大の恋人関係は終わった。

ありがとうございました!

良ければ、

感想、リアクション、ポイント、ブックマーク

をお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ