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正義と悪

作者: ヒーヒィ

悪の組織『ブルワース団』に所属する女幹部であるジェーンは

緊急会議に招集されていた。

黒マントの男「……どうやら新米の勇者がマック村にある我々の基地に近々乗り込んでくるらしい」

と、ジェーンの隣で腕を組みながら立っている黒いマントを羽織った男が言う。

この男こそ、ジェーンと同じくブルワース団に所属する幹部の一人だ。


ジェーン「ふーん、でも勇者ったってまだ

子供なんでしょ? そんなの私達で倒せるんじゃ……?」


黒マントの男「ほう、大した自身だな。じゃあそいつの始末はお前に任せるぞ?」


ジェーン「えぇ!? 私がぁ~? 面倒くさいなあ……」


黒マントの男「なんだ? 俺の決定に不満でもあるのか?」


ジェーン「そんなこと言ってないじゃない!」


黒マントの男「ふんっ……まあいいだろう。

だが油断するなよ、相手はまだ若いとはいえ勇者だからな」


ジェーン「わかったわッ☆』



こうしてジェーンは部下を引き連れてマック村にある基地へと向かった。**

***

ジェーンは一番奥で

偉そうに座っていた。


ジェーン『勇者って言ってもただのお子ちゃまでしょ?

こんなに総動員しなくてもいいと思うんだけど・・・・』


独り言のようにつぶやく。



するとそこに一人の少年が基地に乗り込んできた。

その少年を見てジェーンは驚いた表情をする。

なぜならその勇者はとてつもなくイケメンだったからだ!


私の好みドンピシャすぎる……。

思わず見惚れてしまうほど美形な顔立ちをした少年だった。


ジェーン『何あの子・・・めちゃくちゃカッコイイッ!!』


ジェーンはその少年に見惚れているうちに

いつの間にか他の仲間達が全員倒されていたことに気づいていなかった。

そして気づいた時にはもう既に手遅れだったのだ。


ジェーン(ハッ!!)


慌てて周りを見渡すが誰もいない。

ジェーンは焦り始めた。


ジェーン『ちょっとどういう事ぉ~!? みんなどこに消えたの?』


そして勇者が目の前に現れる。


勇者『お前がここのボスか?』


近くで見るとより一層美形で驚く。

しかし今はそれどころではない。


ジェーン『そ、そうよ!私はブルワース団幹部のジェーン!

よくもやってくれたわね!』


勇者『……残りはお前1人だけだ。

盗んだ宝を返してもらおうか』


ジェーン『そうはさせないわ!これでもくらいなさい♡』

ジェーンは懐から何かを取り出した。

それは手榴弾のようなものだったが、 見た目に反してかなり重かった。


ヒュン!


勇者に投げつける。

だが勇者はそれを掴み、ジェーンに投げ返す。


ポイッ


勇者『こんなもの返すぜ!』


爆弾はジェーンの足元に落ちる。


ジェーン『え・・?』


ドカァアアン!!! 爆発音と共にジェーンは吹っ飛んで星の彼方へ消えていった。


ジェーン『うわーーーん!!

どうしてこうなるのよおおぉ!!!』



こうして勇者は基地の宝を全て回収して帰って行った。


***


***


その後、ブルワース団のアジトでは……


ボス「この愚か者めが!!」


ジェーン「ひぃぃ〜ごめんなさい〜」


ボス「なぜ勝手に自爆などしたのだ!?」


ジェーン「だってぇ……」


ボス「言い訳無用だッ!! 貴様は罰として来月の給料減額とするッ!!!」


ジェーン「そんなぁああ!!」


しばらく説教を受けたジェーンはアジトの通路をトボトボ歩いていた。


ジェーン『それにしてもあの子カッコよかったなあ〜』


ジェーンは先ほどの勇者の顔を思い出してニヤける。


ジェーン『また会えるかな♪』


***


***

それから数日が経過した。

ジェーンは相変わらず 毎日ウキウキしていた。

そんなある日の事。

ジェーンはいつも通り、任務を終え、 帰宅途中であった。


ジェーン『今日は久しぶりにゆっくり出来るわね!』


ふと空を見ると

ジェーン『あら? なんか雲行き怪しくなって来たかも……』


ポツリ、ポツリと雨粒が落ちてくる。


ジェーン『ヤバいわッ!!急がないとッ!!』


急いで走り出そうとするが、その時だった。

突如、突風が吹き荒れる。


ドスン!

ジェーン『キャッ!?』


強風によりバランスが崩れたジェーンは地面に叩きつけられる。


ジェーン『いったぁ〜い……』


起き上がろうとするが風でうまく動けない。


すると


??『大丈夫ですか!?』

突然誰かが手を差し伸べて来る。


ジェーンはその手を掴んで立ち上がる。


ジェーン『ありがとうございますッ☆』


その手の主を見て驚いた。

なんとその相手は勇者だったからだ!


ジェーン『えッ!? あなたこのあいだの勇者クンじゃない!』


勇者『えっ・・・?あ!お前はこの間の幹部!』


ジェーン『幹部ってなによォ!!私にはジェーンっていう名前があるのよッ!!』


勇者『ふん、助けるんじゃなかった。じゃあな』


ジェーンの手を振り払う。

ジェーンは慌てて引き止める。


ジェーン『待ってェエエッ!!!』


勇者『・・・なんだ?』


ジェーン『こんな土砂降りの中で女性一人を放置する気ィ?』


勇者『別にお前なら問題ないだろう』


ジェーン『そんな冷たいこと言わないでぇ』


勇者『チッ!しょうがねえな……』


ジェーン『やったー!ありがと☆』


勇者『早く行くぞ!』


ジェーン『うんッ☆』


***


***

二人は近くの洞穴へと避難した。


勇者『全く……手間かけさせやがって!』


ジェーン『だって仕方ないじゃない! あの時はあんなに降ってくるなんて思わなかったんだもん!!』


勇者『・・・まあいい。雨が止むまでここに入れば大丈夫だろう。

それじゃあ俺はもう帰るからな』


ジェーン『ええーー!! まだ帰らないでよぉ……』


勇者『全く……。いいか、これは正義の行いだからな。

お前を助けるのはただのついでだ。勘違いすんなよ?』


ジェーン『はいはいそうかもねぇ〜…… でも勇者クン優しいんだね!ありがとう♡』


勇者『はぁ・・・悪党に言われても全然嬉しくないんだが』


ジェーン『ちょっとーさっきから悪党悪党って私を悪者みたいに言わないでくれるぅ!?』


勇者『実際そうだろ?』


ジェーン『ぐぬぬ・・・・』


勇者『そもそも何でブルワース団なんかに居るんだよ』


ジェーン『実は私、家が貧乏でさぁ・・・。

家族に楽させたくてあそこに入ったの。結構稼げるのよ』


勇者『事情はわかった。だったら尚更普通に働けば良かったじゃないか。』


ジェーン『それだけじゃ足りなかったのよ』


勇者『だが人に迷惑を掛けて手に入れた金で家族が喜ぶか?』


ジェーン『それは・・・』


勇者『ブルワース団のボスは悪い奴だ。

人の弱みに付け込んで悪事を繰り返している。

お前はまだあまり関与していないようだが、いずれ酷い目に遭うぞ。』


ジェーン『うう……』


勇者『悪党に情けをかけるつもりはないが

お前はまだ更生の余地がありそうだし、 見逃してやる。ただし二度と俺に関わるなよ』


ジェーン『ちょっ、待っ──』


勇者『じゃあな!』


ジェーンの制止も聞かず去って行ってしまった。


******


数日後、ジェーンはブルワース団アジトにいた。

黒マントの男『あの勇者はなんとしても始末せねばならぬ。』


ジェーン『そこまでしなくても良いと思うけどなぁ』


男『おぬしは甘いのだ。あれ程の力の持ち主を野放しにしておけるわけがなかろう。』


ジェーン『まあ確かに凄いけどさぁ・・』


するとボスがやってくる。


ボス『どうだ?作戦の方は順調か?』


男『はっ!既に仕込みは全て完了しております』


ジェーン『え?どういう事?』


男『ジェーン、よく聞け。これから勇者を罠にかける』


ジェーン『え!? どうして!?』


男『今勇者を始末しておかないといずれ脅威になるだろうからな』


ジェーン『でも……』


ボス『ジェーン、命令に従わないか!!』


ジェーン『ごめんなさい……』


ジェーンは渋々了承する。


ジェーン『でもあの子を殺す必要は無いんじゃないかしら?だってそんな事したら……』


ボス『甘えるんじゃない!! これは正義の為なのだ』


ジェーン『正義……ね』



そして次の日。


ジェーンはこの間勇者と会った場所に向かうとそこには勇者の姿があった。


勇者『あんたか』


ジェーン『勇者クン!大変なの!あなたを捕まえるためにみんな動いてるわ!』


勇者『・・・それを何故俺に言う?

これも俺をおびき寄せる為の罠なのか?』


ジェーン『違うのよ!!信じて!!』


勇者『・・・・・』


ジェーン『私はただ、勇者クンに死んでほしくないだけなのよ!!』


勇者『・・・本当か?』


ジェーン『もちろん!!』


勇者『じゃあ1つ俺の言う事をきいて貰おうか』


ジェーン『なんでも言って!』


勇者『ブルワース団を抜けろ』


ジェーン『え……!?』


勇者『お前が抜けるなら今回だけは助けてやってもいい』


ジェーン『それは出来ないの・・・あそこは1度入ったら死ぬまで出られないのよ』


勇者『そうか……残念だよ。じゃあな』


ジェーン『待ってよ!私と一緒じゃダメかな……?』


勇者『・・・』


ジェーン『私って結構強いのよ!』


勇者『・・・・・・分かった。

ならこちらにも考えがある。』


ジェーン『えっ……?』


勇者『ブルワース団のボスを倒し、組織ごと壊滅させる』


ジェーン『そっ、それは無理よ!!いくら勇者クンが強くたって……』


勇者『出来るさ。俺はこの前幹部を倒したんだ。

それに俺は勇者だからな』


ジェーン『勇者クン……』


勇者『それでお前は俺に付くんじゃなくてアジトの中で

それっぽく振る舞っていてくれればいい』


ジェーン『それっぽいとは?』


勇者『俺を倒すフリをして団員の邪魔をしてくれれば良いだけだ』


ジェーン『でも本当に倒せるの?』


勇者『ああ、任せておけ』


ジェーン『うん!わかった!私頑張るね!』


勇者『よし、じゃあ早速行くぞ』


ジェーン『うん!(本当は私も一緒に戦いたいんだけど……)』


***


***


数日後、作戦決行日である。

ジェーンはアジトで待機していた。


すると


部下『大変です!勇者がこのアジトに乗り込んで来ました!』


ボス『なにぃ!?

お前達!全力でやつを阻止するのだ!』


黒マントの男『御意!』


ジェーン『(よし、来たわね)』



その頃勇者は


勇者『ふん!!』


次々とやってくる部下をなぎ倒しながら進んでいった。


勇者『なんだこいつらは…… 雑魚ばかりじゃないか』


すると奥から黒マントの男が現れる。


黒マントの男『流石だな、勇者よ。ここまで来る者は久しぶりだ』


勇者『お前がボスか? 』


黒マント『違うな、私は幹部のザバス。ボスのところへは行かせぬぞ』


勇者『ザバスとか言ったな、ブルワース団も大した事なさそうだな』


黒マントの男『舐めるなよ小僧。

ここで息の根を止めてやろう!』


男は剣を抜き、勇者に向かっていくが、その動きはとても遅い。



勇者『そんな攻撃当たるか!!』


ザクッ!!!


男の剣は簡単に折れてしまった。


黒マントの男『うぐっ……』

男はそのまま倒れてしまう。


黒マント男『私の完敗だ・・・』


勇者『これで終わりか……呆気なかったな』


するとそこにジェーンが現れた。


ジェーン『待ちなさい!』


勇者『お前!』


ジェーン『私が相手よ、掛かってきなさい(棒読み)』


勇者『ふん』


ペシッ!


ジェーン『あ~~れ~~』バタッ!


ジェーン(これであとはボスのみね)


勇者(演技ヘタクソすぎだろ)




一方ボスの間では団長が部下の報告を聞いていた。


ボス『なんだと?ザバスとジェーンはどうなった!?』


部下『それが……勇者によって倒されたようです……』


ボス『そんなバカな…… 』


そこへ勇者が入ってくる。


勇者『貴様がブルワース団のボスだな』


ボス『うぬぬ・・・!!このこわっぱがああああああ!!』


間髪入れずにボスは勇者に襲い掛かってきた。


だが、やはり勇者の動きの方が速い。


勇者『今度は俺の攻撃を受けてみろ!!』


ズバッ!!


ボス『グハッ!!』


勇者『俺の勝ちだな』


ボス『おのれ・・・!このままで済むと思うなよ・・・!』






こうして勇者の活躍により、ブルワース団は完全に壊滅したのであった・・・


そしてジェーンの元へ勇者が訪れる。


勇者『終わったぞ』


ジェーン『ありがとう……ホントに助かったわ』


勇者『いいってことよ』


ジェーン『ねえ?私と一緒に旅しない?』


勇者『何言ってんだよ?お前には帰る所があるだろう?』


ジェーン『それはそうなんだけど……勇者クンといた方が楽しい気がするの』


勇者『そうか……じゃあ俺の仲間になってくれるか?』


ジェーン『うん!もちろん!』


勇者『改めてよろしくな、ジェーン!』


ジェーン『こちらこそよろしくね!』



こうして2人の新たな旅がはじまるのだった・・・ 完

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