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ボルケーノ
背に仲間をかばっている状況で、彼は足を下げることはしなかった。
ただ目の前の敵を討つため、今己の中の全生命エネルギーを使い、詠唱魔法を唱えた。
灼熱の炎に灼かれし我が身は未だ健在である。
幾何度の攻撃を負おうとも尚、我が身が砕けることはない。
紅に身を染め、何度その身を灼かれても尚、熔けることのない我が魂よ、朽ちることのない我が心よ。
今私は再度、この身を火炎に投じることとなろう。
イフリートの火炎、サラマンダーの蒼炎、
血は火炎と成り代わり、命は灯火となり儚く燃え朽ちることとなろう。
何度耐えてきたこの身であろうと、この身は既に朽ちようとしている。
だがそれでも、我は最後、火炎に輝き、そして火炎に散ろう。
永遠など我はいらず、
幾度の戦場で火を灯した我が肉体よ、
今この身を持って、最後の火炎となりたもう。
灼熱の射手
「ボルケーノ」