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召喚魔法零四〈人鬼〉
かつてその魔物は最弱と、そう罵られた。
その魔物は人知れず死に、人知れず姿を消した。
そんな魔物を呼び起こしに、今魔法は詠唱されようとしていた。
凶暴で残忍、しかしそなたの本性は引っ込み思案で臆病であった。
知性も賢さもなく、何度も我々に敗北したそなたは未だ我々を根に持っているだろう。
構わない。
それ故、我が命を喰らえ。
我は我が命を贄とし、そなたをこの世に再構築させよう。
不浄腐乱のその人体を我が身とし、頭角は我が身の骨を持って代用しよう。
雷は我へ落ち、そなたは我へ降臨せす。
さあ今再び世界へ静かな恐怖を与えよう。
今か弱い悪魔は甦る。
「召喚魔法零四〈人鬼〉」