第三十五話
レイネとクリスの戦闘回です。
そして、ランスロットがレミールを倒した所を見ていたクリスは「殺りましたか」と納得して、レイネは絶望したような表情を浮かべ悲痛な声を上げた。
「そんなレミールお姉様が!!」
だが、その隙を見逃すほどクリスは甘くはない。
「余所見している場合ですか?」
「ぐはっ」
クリスは余所見しているレイネに蹴りを入れて、更に追い討ちで殴り付けた。
「ガハッ、貴女卑怯ですわよ!!」
「卑怯? 別に私はそちらと違って卑怯ではありませんよ?」
言い方に腹が立ったのか、レイネはクリスに対し罵倒を浴びせた。
「ふざけんなよ!! たかがメイド風情が、調子に乗んな!!」
さっきのお上品な喋り方とは違った喋り方に変わり、少し驚いた表情を浮かべて「まあ!」とクリスは驚いたように言った。
「それが素ですか。まだ、レミールという奴の方が良い相手になったかもしれませんね。」
「はっ?」
それが素だということが分かった為なのか次はレイネの姉レミールについて煽るように話した。
それはお前なんかよりもあっちの方が良かったとも言うような物であった為レイネの怒りを更に上げることになった。
「っ······!! お姉様は別だ!! お姉様は特別な存在なんだよ!! お前みたいなメイド風情がお姉様に敵うわけ無いんだよ!!」
「確かにそうですね······私では彼女に攻撃する前にあの朱い剣で斬られていたでしょうね。」
身を震わせる素振りをし、怖いですわねとわざとらしく怖がる振りをした。
そして、それが火に油を注ぐようにレイネの怒りや殺意を頂点にまで上がらせた。
「その余裕そうな笑みを絶望に変えてやる!!」
「あらあら、それなら殺ってみなさいな。」
そうして、空間から矢を放出する魔法を放ち、人間ではまず避けられない程の量をクリスに撃ち込んだ。
「まだまだあ!!」
そして、追加で更に大量の矢を放った。
大量の矢を降り注ぎ煙が舞い上がり、レイネは彼女の生死を確認もせずに勝利を確信し、邪悪な笑みを浮かべた。
「やった、やったぞ! これであいつは終わりだ!! ざまあみやがれ糞メイドが!!」
そう大笑いをして、死んだクリスを罵り歓喜に至った、彼女は思った。
これで邪魔物がいなくなりメディナ様に加勢できると、そう慢心している瞬間体のバランスを崩した。
「あっあれ?」
何か変だなと足元を見てみると目を見開き悲鳴を上げた。
「あっあれ、足が······私の足があああああ!!」
何故自分の足が無くなってるのだろうか? 驚きの余り痛みと恐怖に顔をひきつった。
「何故無くなったと思いですよね? 当たり前ですよ。私が貴女の片足を斬ったのですから。」
そう言い終えるとレイネのバランスが崩れて座り込んだ。
「あっ······」
逃げたい!! 怖い!! そう叫びたいのに声が出ない。
「はっきりと喋りなさい。」
無理だ······無理に決まっている。
この女はあのランスロットなんかよりももっと·······。
「あらあら涙なんて流して······でも仕方ないのです······これこそが戦いなのですから。」
クリスは笑みを優しく浮かべ、手に氷のナイフを出した。
それをくるりと回して逆手に持つとレイネの右目に突き刺した。
「ギャアbpnj!!!??!??」
レイネは抵抗しようとクリスの腹を複数蹴ったが、力が弱いのか、それとも精神的なダメージで弱くなったのか? それは彼女自身のみ知っているだろう。
「ほら見てください。貴女の素敵な目玉よ♪」
子供のようにはしゃぐように笑う彼女に恐怖した。
「もう、やめ」
「はい? やめませんよ?」
「嫌あ!!」
こいつは唯のメイドなんかじゃない、メイドにしてみれば余りにも強く、残忍で冷酷だ。
レイネはそう思いながらクリスの拷問に耐えられず精神を崩壊させた。
「ひひひひやひはわねはや」
「壊れましたね。」
つまらなくなったのか彼女の頭に手を翳して凍らした。
「さよなら」
そう言って蹴って凍り付いた彼女を粉砕させて、ランスロットの援護に向かった。