第三話 何故裏切った?
何故こうならなきゃいけない。
俺が何をしたと言うんだ···。
これも全てあいつらのせいだ…! あのとき裏切ったときから
「邪魔よ、あんた」
何故、僕を邪魔者扱いするのユミナ?
「目障りだから消えてくれない?」
姉さん、何で?
「おい愚図兄、いえ屑、あなたはいらない。」
マリアまでも、僕を屑扱いするの?
「そう言うことだ、君は僕の婚約者である、三人を寝取ろうとしたんだ。
だから僕たちの前から消えてくれ。
国王様、どうしますか?」
勇者は僕を追放するのか? 何故なんだ? 僕は別に悪いことなんてしてないのに…。
「そうだな、小奴はノゾム殿の婚約者を奪おうとした大罪人だ。
そして、ライト···貴様をこの国から追放する‼️ 二度とこの国に足を踏み入れるな!」
何故なんだ? 意味が判らない。
ユミナ、姉さん、マリア、助けてよ! 何でそんな涼しくて冷たい目で僕を見るんだよ! 助けてよ!
そして、僕は途中、国民から「よくも、勇者様から婚約者を奪おうとしたな、このクソ野郎が!」「あんたは大罪人よ!」「消えろ!!この屑!!」と罵声を浴びさせてきて、石を投げられ僕の心の中が、少しずつ傷ついて行った。
その後、門から出ていこうとすると騎士に背中を蹴られ「彷徨って死ね‼️ この屑が‼️」と僕を追い出した。
この時、まだ僕は心が死んでいなかった為、故郷に帰ると村人達が国民と同じように石を投げられ罵声された。
すると、両親が「犯罪者が、この村から出ていけ‼️ お前など俺達の息子ではない‼️」「あなたなんて産んだ憶えなんて無いわ‼️ さっさとこの村から出ていって‼️」とあの人達と同じように僕を追い出した。
そして、僕は心が死んだ。
「はは、僕ってやっぱり、要らない存在なんだ。」
僕は勇者から婚約者と姉と妹を奪われ、王国からも追放され、挙げ句には故郷すらも僕を捨てた。
何で? どうして? 僕ってやっぱり···。
「なあ、そこの人」
女の人の声が聞こえた。
誰だよ、僕の事なんてほっといてくれよ。
「ダメだよ、お前はここで死ぬべき者じゃない。」
何でそこまで僕のことを気にかけるの? 僕のことを知っているの?
「ああ、知っているさ、お前がまだ小さい頃から知っているさ。」
知っている? じゃあ、お前は何者なの?
「そうだな、私の名はミトラ···この世界からすれば私は魔王だな。」
「ま···おう?」
「そう魔王だ。」
すると何も見えなかった者が見えていった。
このミトラと名乗った魔王は女性だった。
その人は、金髪碧眼の美女だった、黒一色ドレスを着た彼女の姿は魅了されそうだった。
この魔王は僕に何をしろって言うんだ?
「まだまともに声を出せないと思うが聞いてくれ。」
何を聞けって言うんだよ?
「どうか、私を殺して欲しい。」
え? この人は一体何て言ったの? 何故そんなに死にたがっているの?
「まあそうだな、私はお前に恋をした。
花よ、私はお前を愛している!」
愛しているなら、何故殺せなんて言うんだ?
もし僕を愛しているなら壊れる前に来て欲しかったよ。
「私を殺す前に、人間達を全員殺してくれ、場合によっては私が人間達を殺す。」
聞いていないなこの人
分かった、引き受けよう。
「ありがとう、そろそろ声を出せるぞ。」
「え?」
ホントだ! 出せるぞ!
「憎い···あいつ等が憎い…!」
声を出した瞬間に、ドス黒い憎しみが一気に放出して、殺意のみが充満していた。
僕は···いや、俺は全てを破壊する! 裏切ったあいつ等を死骸に変えて晒してやる!
「おお、良いぞ。
その調子だ、その勢いで人間達を殺せ。」
彼女は薄ら笑いをして、俺にキスしてきた。
「これはプレゼントだ。」
「ああ、ありがとうな。」
別にお礼などしたくはないがお礼をしておいた。
「人間達を殺した後に私を殺してくれ。」
「だが、俺にはお前を殺す力なんて無い。」
「それなら安心してくれ、お前以外に私を殺せない。」
「何故だ?」
意味が判らない、この女は何を考えているのか全く理解できない。
彼女はクスクス笑ながら答えた。
「それは秘密だ。
後お前には、剣士から死骸晒しという職業に変えておいたぞ。」
何してくれているんだこの女は、しかし死骸晒しか、悪くはない。
むしろ大歓迎だ。
「これで、あいつ等を殺せる。」
「ああ、頑張ってくれ。」
そして俺は、故郷へ向かった。