第三十一話
お久しぶりです。
時間が掛かりすぎた事とスマホを修理に出していたので更新が大幅に遅れました。
それとちょっと久しぶりなのでおかしい部分も有るかもしれません。
それと更新が遅れて申し訳ありませんm(_ _)m
「おいおい、復讐者だって? 俺様はお前に何かしたかよぉ!! なあ?」
「したさ、忘れているだろうがな。」
無表情でそう返す。
「そうかよぉ、俺様は知らねぇなあ。お前のような可愛い女なんかなあ。」
ニタニタと笑い余裕そうな表情を浮かべて、ミナの胸や股をチラ見していた。
「下郎が。
見ていたがそこに転がっている遺体はお前を仕えていたのではないのか?」
「ハッ、そいつは玩具だよ!! 最後まで使えなかったから壊したんだよ!!」
何か思想があるわけでもなく、大義があるわけでもない······快楽のため、自分の欲望のためにその少年だった遺体は殺されたのだ。
「クズが。
お前は未来永劫······いや、生まれないように完全に消滅させるしか無いようだな。」
「ギャハハハハ!! だが、お前は俺様を殺せねぇぜ。
何だってガルデンに殺られてしまうからなあ!!」
ガルデンはそう発言した瞬間、とてつもない速さでミナの頬に傷が入り出血した。
「何ッ!?」
速すぎる、あの精霊騎士よりももっと速い、彼女(彼)はそう直感した。
(そうか、あのガルデンという執事かッ)
そう確信して、緑色の発光しているナイフを持った執事を睨んだ。
「ククク、ホッーホホホ!! 鈍すぎますよ!! この少女は!! はっきりと言いましょう!! カリン様、貴女が出るまでもありません!!」
そのガルデンという執事は両手を広げ満面の笑みを浮かべてそう告げた。
「そうだよなあ!! お前と俺に勝てる奴など居ねぇ!!」
それに便乗するようにカリンもぞっと笑い、完全にミナの事を見下していた。
(速すぎて何も見えなかった。
あのメディナの動きは少しだけだが見えていたのに······)
一応、ランスロットの説明は受けていたものの、此処までとは聞かされていなかった。
「······分からないじゃないかそんなこと。」
「何だこいつ? おい、ガルデン······こいつを倒したら地下に縛り付けておけよ。」
ニタニタと嫌らしい笑みを浮かべながら、地下に縛り付けて欲しいと指示した。
更に彼は舌を出し、性欲のせいか涎も出ていた。
「かしこまりました。」
(下衆が。)
彼女(彼)にとって地下と言えば、かつて拷問を受けていた場所だ。
(拷問の次は強姦か。)
表情には出ていないが、彼女(彼)は地下で起きたトラウマを思い出してしまい、震えていた。
(怖い······だが、此処で逃せばチャンスは無くなる。)
だが、彼女(彼)は根性でどうにかして記憶を封じ込ませた。
「何をするつもりだ?」
警戒して、残り三本のナイフの内1本を取り出した。
「ほほう、ナイフでワタクシに勝とうなどあと数年は早いのでは? まあ、永遠に来ないでしょう。」
「やってみなきゃ分からん。」
「そうですか······では、始めましょう!!」
そう言った途端、姿を消した。
いや、速く動いていると言うべきだろうか? ミナは彼の動きに着いていけず何とか目で追った。
「ッ!!」
一瞬、緑色に発光している物体をチラッと見えて、それが自身に近づいていることに気が付いてナイフで防いだ。
「ほう、凄いですね。
ワタクシの動きを目で追いましたか。
ならば、これならどうです?」
「これはッ」
ミナの周りには多数のナイフが何もない空間から現れて彼女(彼)に向かっていた。
(逃げ場がない······なら、まだ完全ではないが衝撃波で。)
地面に手を置いて衝撃波を下から発生させて彼女(彼)の周りを囲うように接近していた多数のナイフを粉々にした。
粉々になった多数のナイフは雨のように散らばった。
「やりますねぇ、好きですよ。
貴女のような人は。
······特に下から衝撃波を発生させて、貴女を囲った多数のナイフを粉々することは常人では考えられずにそこで大体終わってましたよ。」
衝撃波でナイフを粉々にしたことを見て予想外だったのか、拍手してその行動を評価した。
「それはお前にとって面白いことだったのか? お前が私の周りを多数のナイフで囲んでいたぶって殺すことは楽しかったのか?」
「楽しかったですよ? 特に絶望に染まった顔がとても良かったのです。」
ガルデンはまるで子供が玩具で遊んで楽しんでいるように侵入者を快楽のために殺害して、その当時の事をまるで英雄譚のように楽しそうに語った。
「お前はそこで高みの見物をしている奴と同じ下衆野郎だ。」
「何を仰っているのか分かりませんねぇ。
だって、楽しいではないですか? 人を殺すのは······興奮するではないですか?」
ミナ(ライト)もオドン市街の件で自分も楽しんでいたのではないのかと思ってはいたが、目の前に笑っている執事のように純粋に楽しんでいるわけではない。
彼女(彼)はかつて庇いもせず、教会や王国の話を鵜呑みにして彼女(彼)を迫害して虐げていた彼ら彼女らを強い憎悪と復讐心によって殺していただけだが、彼処まで残虐に殺害すべきではなかったと今では思っていた。
(だが、あれはもう過ぎたことだ。
今更元には戻れない。)
彼女(彼)はそう割り切った。
「興奮などするものか、趣味で人を殺すような奴と一緒にするな。」
「その物乞いですと人を殺したことはあるということですね。」
「あくまでそれは復讐のため、邪魔立てするなら容赦はしない。」
「残念です······貴女とは趣味が合うと思ってましたから······では、始めましょう!!」
そして、また姿を消して、緑色に発光しているナイフを突き刺してきた。
(さっきの同じような攻撃······こいつ、もしや······)
何かしら違和感を感じたミナはナイフを落とした。
その奇妙な行動にガルデンは彼女は戦うのを諦めて、死を受け入れるのでは? と勝手に解釈した。
(この復讐者と名乗る少女はもしかすると戦意を喪失したかもしれませんねぇ。
やっぱりワタクシの速さに着いてこられる人なんか居なかったんだぁ。)
「死に無さああい!!」
そう思いガルデンは体勢を整えて雷よりも速いスピードでミナの首を斬ろうとしたとき
「よせ!! ガルデンんんん!! それは罠だあ!!」
何かを察したのかカリンは慌てて止めようとするが、時は既に遅し······ミナは素早く魔神剣を抜刀して、タイミングはズレてしまったもののガルデンの右足を切断することに成功した。
「ッウホオオォ!!」
猿のような奇声を上げて、野垂れ回った。
「こいつは猿か何かか?」
「ガルデン!!」
「カリン様······すみま······グケェッ!!」
心配して駆け寄ったのかと思われたが、彼はガルデンの顔面に鉄拳を食らわせた。
「このクズ野郎がぁ!!」
「なっ、なん······でっ」
その光景を見たミナは信用している部下に対しても暴行するカリンに呆れていた。
「仲間割れか······」
「仲間割れじゃねぇ、調教だ。」
「調教か······殴ったり、蹴ったりすることが調教だと言うのか?」
「当ったり前だろうがぁ、これで俺様に歯向かう奴は誰一人として居なかったぜ。」
そうか、と呟き空間魔法で先端が折れた剣を投げ飛ばした。
「クハハ、通用しねぇよ。」
(駄目か。
精霊使いとはこういうことも出来たな。)
まるでバリアのような物がカリンの周りに透明の何かが居ることをジークフリートを通じて感じ取っていた。
(透明の精霊か? 微かに何か蠢いているのが見えたぞ。)
「よおおおしガルデン、お前は俺様の投球になれ!!」
カリンは人とは思えないような力でガルデンの頭を持ち上げた。
(何処まで外道なんだ。
······それにあれも精霊の力なのか?)
「くらいやがれぇええええええ!!!!!!」
足を地面に踏み込んで、まるで野球のボールを投球するように彼をミナに向かって投げた。
「キョエエエエエエエエエエエエッッッッ!!」
白眼を剥き出して、舌を出し涎を滴し絶叫しながら物凄いスピードで飛んできた。
(なんなら最初からジークフリートを使えば良かったな。
······作戦を大幅に変えなければならないが。)
そう考えながら飛んできたガルデンを縦に真っ二つにした。
「なんか呆気ないな······。」
何処かしら違和感を憶えたがこれで邪魔物は居なくなった。
残りは高みの見物をしていたカリンのみ
「バァァァカ!! それでガルデンが死ぬとでも思ってんのか!?」
次の瞬間、彼女の身体が何者かに天井目掛けて吹き飛ばされた。
彼女は口から血を吹き、天井に衝突して背中を強打して背骨が骨折した。
「ギャッ!!」
再度、血反吐をして地面に堕ちる時、ミナは自分を吹き飛ばした存在を探すと、そこに居たのは猿のような異形が不気味に笑う姿を目撃した。
(何だ······あれは······?
全然気付かなかった······。)
そして、何とか体勢を整えようとするが先読みをされているのかその猿の異形は眼を赤く光らせながら巨大な手で彼女の胴体を掴み上げた。
「グギャハハハハハハハハハ!! 良いぞ! ガルデン!! そのままやっちまえ!!」
「畏まりましたわ♡」
喋り方が変わっている上に元の外見とは見分けが着かないほど変貌しており、何より戦闘力と魔力量が非常に強くなっている。
(ガルデンだと······確かに殺したはずなのに。)
「ぐあッ······!!」
「そうだ!! そのまま叩き潰してしまえぇ!!」
(このままだと死ぬ······あいつを呼ぶか。)
「出······番、だ······クリス」
すると魔方陣がガルデンだった猿の異形の背後から現れて、氷で出来た矛が飛び出してきた。
「ウホォ!!」
慌てた猿の異形は突然の事で驚き、掴んでいたミナを放してしまった。
そして、猿の異形は氷で出来た矛を掴もうとするが、小指が切り落とされた。
「ハア······ハア······」
解放されたミナは呼吸を整えて起き上がった。
「ありがとう、クリス。」
「当然の事をしたまでです。
私はそこの猿執事を相手にしますので貴方はカリンの方をお願い致します。」
そう言い残して、猿の異形の顔面に蹴りを入れて壁を粉砕して、猿の異形は広場へと向かいクリスはそれを追い掛けた。
「······これで二人きりだな。」
「それはどうかなとは言いてぇところだが、お前には俺様の本当の実力を見せてなかったなぁ。
だから見せてやるよ。」
透明の何かがカリンの右手に収納し、剣の形を作り変えていく、そして、それは金色へと変わり、大きな両手剣が姿を現した。
「へへへ、これが俺様の実力だ······。」
(何だあれは? 透明の精霊ではないのか······いや、違う······あれは透明の精霊なんかじゃないッ······黄金の精霊だ。あの透明の精霊だと思っていたのは黄金の精霊だったんだ。)
「驚いたか? これが伝説の黄金の聖剣だ······俺様はな······選ばれたんだよ!! ギャハハハハハハハハハハハ!!」
黄金の聖剣を振り回して、邪魔だと言わんばかりに周りの書斎や机を粉砕して跡形もなく消滅した。
「黄金の······聖剣か······。」
「さあ、始めようぜ。」
そして、カリンが黄金の両手剣を片手に持ち信じられない速度でミナの左手を切り落とした。
次はこれの続きかクリス視点かランスロット視点のどれかを更新します。
武器紹介
黄金の聖剣:勇者の聖剣とその仲間達が持つ神器より弱いがかなり強く、速さも充分速く、相手の魔力を奪う能力を持ち、勇者でもない精霊使いのカリンとの相性が非常に良い。
もし、勇者がこの黄金の聖剣を装備すると更にパワーアップする。
緑色に発光するナイフ:唯のナイフで毒が塗っているわけでもなく、何かしらの能力があるわけでもない、唯発光しているだけの普通のナイフだが、切れ味が鋭く出血させやすい。
氷の矛:クリスの武器その1、氷で形成した武器で非常に高い攻撃力を持っている。
特に氷の効果で皮膚を凍傷させることも可能である。