第二十六話
すみませんが、クリストファーの名前をランスロットに変更しました。
ランスロットに策を練ろうと云う提案を受け、その場で策を練ることにした。
「まず、最初にカリンが住み着いている場所は北にある赤い屋根の大きな屋敷だ。」
「北にある大きな屋敷? そこに居るのか?」
「ああ、一応、協力者に依頼して貰った情報はこれだ。」
彼は左ポケットから折り畳んだ紙をミナに渡した。
それを受け取り、中を覗くと······。
「そうか、それだと思い通りには行かないかもな。」
それを広げて見たミナは「ハハハ」と苦笑いを浮かべて、そう呟いた。
「まあ、そうだろうな。
何たって彼処には精霊騎士と精霊魔道士が居るのだからな。
それに加えて、爆発属性の魔法が付与された弓を持つ弓兵も居るから余計に入りづらいだろうな。」
当然、真正面から突っ込めば精霊騎士と精霊魔道士のタブル攻撃で返り討ちにされてしまうし、例え、空から侵入する手段があったとしても爆発属性の魔法を付与された弓兵に返り討ちにされてしまうだろう。
「ランスロット殿、何か良い案は有るか?」
「そうだな、まずは弓兵を皆殺しにしよう。
奴らは死角からの一撃には弱いからな。
あっ、それと気配は消しといた方が良いだろう。」
「何故だ?」
「フム、奴らは敏感でな。
気配を完全に消しとかないと即気付かれてしまうからな。
隠密スキルは持っているな?」
「ああ、持ってるよ······前にも使ったことが有るからな。」
そう言いながら隠蔽スキルを使い、姿と気配を完全に消すミナを見て納得したような表情で「中々良い」とクリストファーは頷く。
そして、隠蔽スキルを解いて姿を現すのと同時に気配も感じるようになった。
「さて、次は武器についてだが、魔神剣は持っているな? 他に持ってきてる武器は有るか?
良ければ見せてもらえないか?」
「ああ、有るぞ。」
そう返事をして、魔神剣を含む全ての武器を見せた。
「なるほどな、これらならあの弓兵どもを殺れるな。
しかも、毒武器ときた······それにその毒武器は精霊を殺すのに特化した猛毒か。」
(何? クリス······お前はそれを想定して用意したのか?)
とミナはその時思っていると、ランスロットが「どうした?」と尋ねると。
「いや、何でもない。」
「そうか、なら作戦を考えよう。
まずは侵入する方法だが、隠蔽スキルを使い裏口から侵入し、中で巡回している衛兵を倒す。
倒したらゴミ箱に捨てておけ、そこなら誰に見つからないし、誰も寄り付かない場所だ。
近づくとしたら衛兵ぐらいしかいない。」
「ほう、それは最適だな。
だが、どうやって裏口から入る?」
「そうだな、屋敷の裏側は警備が薄い上に対策はされていない。
そこのところは心配しなくて良いだろう。
まあ、行き方は地下から行くがな。」
「ああ、ちょっと心配だが分かったよ。」
その話を聞いて心配はしているものの縦に頷き了承した。
「その前に貴様の仲間を呼ぶ必要があるな。
どうにかして呼ぶことは出来るか?」
「ああ、出来なくはないな。」
天津とクリスを呼ぶことは出来るのか? とランスロットはミナに聞くと、彼女は出来なくはないと答えて、こっちに来いと念じた。
すると空間が歪み、そこから一つの大きな穴が現れて、そこから少女二人が姿を表した。
「らいt······ミナ様、何か見つかったのですか?」
「何か有るなら早く話して欲しいのだが、生憎私やクリスの方は余り、情報が集まらなかったのでな。」
姿を表したのは天津とクリスで、「もう呼んだのか。」と驚きを隠せないでいたランスロットもそれに関心していた。
「ああ、話すとしよう。
ランスロット殿、それで良いな?」
「良かろう、さて練った策を話すとしよう。」
そうして、練った策を話した。
◆◆◆
「なるほどな、つまりその方法で行けば何とかなるんだな?
っで、御前は誰だ?」
と天津はランスロットを睨み付けながら問う。
「申し遅れたな我はランスロット・マムガイラだ······そんなに警戒しなくても良い、我も貴様の恐ろしさを充分に理解している。」
と言いながら冷静に名を名乗り、何処か恐れている目をしながらそう話す。
「じゃあ、その『貴様』という物をどうにか出来ないかね?
······と言ってもどうにも出来ないか。」
『貴様』という二人称について気になった様子でどうにか出来ないのか? と問うが、彼女は竜人族の性質と性格を知っているためやれやれと皮肉を言った。
「済まんな、我もそのようにしか話せないのでな。」
ランスロットもその事に対しては自覚しており、申し訳ないと思いながらもその皮肉を受け取り謝罪した。
「まあ、良いさ······御前達の性質や性格は理解している。
別にそのままで良い。
あっちの世界で慣れているからな。」
あっちの世界······どの世界の事を指すのか? ミナ(ライト)には分からなかった。
するとランスロットが疑問に思ったことを口にした。
「あっちの世界だと? どういうことだ? まさか、貴様は我が来た世界から来たとでも云うのか?」
そう聞くと天津はクスクスと笑った。
「ん? 多分それは私の妹達か姉様辺りだと思うが、御前の世界には来たことは無いぞ?
どんな世界かは聞いて居るがな。」
その言葉を聞いてその場に居る者達は驚いた。
まさか、姉妹が居るとは思わなかったのだ。
ミナは天津に姉妹が居ることに驚いたのか、聞いてみた。
「姉? 妹? お前、姉妹が居たのか?」
「ああ、私は次女に当たるからな。」
「待て、何姉妹くらい居るんだ?」
「そうだな、私を含め30だな。」
「多すぎないか?」
「いやいや、これでも少ないほうだが? あっ、それともう一人産まれるんだ。」
「おいおい、それだと31になるんだが?」
「いやいや、私達堕天使からすると大したこと無い数だよ。」
「お前達堕天使はそれが普通なのか?」
「ああ、そうだが?」
その話がずっと続き、ランスロットとクリスはお茶を飲みながら作戦の事を説明して、情報交換をしていた。
そうして、二人は何とかミナ(ライト)と天津の話を終わらせて、作戦を説明して、カリンの館へと通じている通路へ通って館に向かったのだった。
読んでいただきありがとうございました。