第十九話
奪い取られた瞬間、天津はライトの口を無理矢理開けて、無理矢理飲ませた。
「何をする······ッ!?」
突然の事だったため、ライトは天津に怒鳴り付けたがすぐに自身の身体に違和感を抱き始めた。
「どうなって」
どうなって居る? と言いたかったらしいが自身の声までも違和感を覚えた。
何故、声が女の声のように高くなっている? 何故、自分は天津と同じくらいの身長になっている? と段々と気付き始めた。
何故か胸が大きくなり、短かった黒髪が腰まで伸びて、綺麗な長い黒髪になっていた。
そして、ふとライトはそういえば? と思って股間を触ると
「無い。」
無かった。
男のアレが無かった。
と言うことは・・・もしや!? と思ったライトは鏡を見せるようにとメイドのクリスに頼むために呼び出した。
「どういたしまし······失礼しました。」
クリスは見知らぬ人物を見て、わたしくは何も見なかったとでも言うような感じで帰ろうとしたがライトだった者が止めた。
「待て、勘違いだ。
俺だ、ライトだ。」
「何なんですか貴女は? ライト様は男ですよ? 嘘ばかりついていますといつか天罰が下りますよ?(しかし、ミトラ様に直々に手を下されるかも知れませんがね。)」
人を冷めたような眼でそう言いながら帰ろうとして居るとライトだった者が魔神剣を取り出した。
「待て、クリス、この剣を見たことが有るか?」
「それはライト様の魔神剣ではありませんか。
どうしてそちらに······まさか、貴女はライト様を!?」
「誤解だ。俺だよ。
ほら、ちゃんと魔神剣を抜いて使えるだろ?」
「いやいや、貴女は女性でしょう?」
それを言われればそうである。
今のライトは男性ではなく、女性であり、クリスが言っていることは正論である。
「確かにそうだが、女体化の薬と言えば解るだろ?」
「ああ、アレですか。」
それを聞いて少し納得したのか、溜め息を吐いた。
「さて、冗談はさておき、どういうご用件ですか?」
「何だ、知っていたのか。」
女体化したライトは呆れながら、何故、知らない振りをしていたのか聞いた。
「まあ、言いますと······わたくしは相手の魂を見ることが出来るのです。
例え、姿を変えようが、性別を変えようが、解るのです。」
「それを先に言え。」
クリスがそのような能力を持っていたことに驚いたが、同時に呆れて、その事を先に言ってほしかったと呟いた。
「それより、そこに居る女性は誰ですか? 見たことが無いのですが、それと何故かわたしくの能力を遮断されるのですが。」
恐らくそれは天津の能力の一つだろうとライトは思った。
「そうですか、貴女の名は?」
天津が名乗ろうとしたが、ライトが彼女の名前を教えた。
「天津だ。
俺のちょっとした知り合いだ。」
「左様ですか、しかし、能力を遮断する能力ですか······能力者にとっては天敵になるでしょうね。」
「ああ、少し気になることはあるが、それより頼みたいことがあるのだが、良いか?」
「はい、何でしょう?」
「鏡を出してほしい。」
「解りました。」
そして、クリスは大きい鏡を空間から取り出し、床におき、それを使ってライトは自身の姿を確認した。
「······。」
混乱しすぎてガタガタと無言で震えだした。
「ふふふ、可愛いなライト!」
鏡に写ったのは、黒い長髪を背中まで降ろしており、瞳の色は赤く、顔は少し天津に近い美少女になっていた。
筋肉質な身体から筋肉が無くなり、華奢な身体になっており、胸は天津より少し小さめになっている。
それを見たライトは心の中で「クソッタレ!!」と叫んだ。
「ククク、ライトちゃんよ、名前を決めないとな。」
「そうですわね。
確かに今の姿でライトという名前は何か変なので、名前を決めましょう。」
「名前······だと?」
二人が何故か意気投合的になり、より困惑してしまうライトは何故、名前を決めなければならないと聞くと二人は?
「えっ、何って······それは決めないとダメだろう? 御前、女の子には可愛い名前じゃなきゃな。」
「たまには良いではありませんか、ライト様が女体化した瞬間などなかなか来ないではないですか。」
二人とも乗り気で、本人の承諾無しでライトの名前を考え出した。
(不味いな、余り信じていなかったが本当に女体化してしまうとは······迂闊だった。)
ライトは膝をつき肩をカクッと落とした。
そして、名前を決めている二人は本人に聞こえないように話し合っていた。
(いやいや、私はスレイナか、メイラの方が良いと思うのだが、どう思うかね?)
(ハァ、解っていませんわね。
良い名前と言ったら、セライナか、ブレイズの方が良いと思いますが?)
(じゃあ、レイラとか、アクアとかはどうだ?)
(いえいえ、私としてはレイナか、アイラが良いと思いますよ。)
(迷うな。)
(そうですね。)
「お前達、もういい、もう自分で決めたから。」
その話し合いを止めたライトは女体化した方の名前を自身で決めたと二人に告げた。
「何ですって?」
「何だと?」
同時に同じ言葉を吐いた二人は目を丸くさせながら驚いていた。
どんな名前なのか楽しみなのだろう。
そして、ライトは女体化した方の自身の名前を二人に答えた。
「俺は······いや、私は名はミナだ。
良いな?」
「「えー! まあ良いけど。」」
「良いのか。」
こうして女体化してしまったライトの名前を決めたのだった。
ちなみに女体化したライト(ミナ)ですが、戦闘力も少し下がっています。
メリット
力が弱くなったがスピードが速くなった。
力が弱くなった分、動きとスピードがかなり速くなりました。
デメリット
スピードと動きが速くなったが力が弱くなった。
動きとスピードがかなり速くなった分、力が弱くなれば人間の内蔵などを引き千切ることが出来なくなります。
しかし、魔神剣を使えば大体安定します。
人体を引き千切ることはできませんが。
次にクリスの能力についてですが、彼女の能力は本人が言っている通り、相手の魂を観ることが出来ます。
性別と姿を変えても直ぐに見破られます。
彼女はあえて、知らない振りをしていました。
天津の能力その1:遮断、この能力は相手の能力を遮断することが出来る。
一応、この能力は本人の意思で使うことが可能で、本人は「幾つか能力が無制限になった」と言っているため「遮断」という能力もその一部であり、無制限に使える。
魔神剣に通用するかどうかは不明
女体化の薬ですが、一瞬で女になります。
それも一秒も経たずになります。