第十七話 堕天使
「ん?」
オドン市街に向かっている途中、森林を歩いている時に何かを感じ取ったライトは意識を集中させて、小型ボウガンを取り出して、隠れている何かに声を掛けた。
「誰だ? 出てこい。」
次の瞬間、木の物陰から玩具のナイフが喉目掛けて飛んできて、飛んできた玩具のナイフを掴み、それを投げ返した。
「酷いではないか、女である私に投げ返してくるとは······これも恋だな。」
「お前は何を言っているんだ?」
物陰から出てきたのは眼帯を着けた黒髪翠眼の女性だった。
投げ返したナイフは何もない空間に吸い込まれて分解されていた。
「······何だ、お前か。」
ライトは会いたくなかったと言いたげな表情でそう言って、その女性はクククと笑いながらこう言った。
「おいおい、愛しの天津お姉ちゃんに向かって口が悪いぞ?」
「誰がお前の姉だ。
そもそもお前とは種族が違うではないか。天津、お前は堕天使で俺は、半分人間を辞めてしまって居るが人だ。」
そう言ってライトは天津と呼ばれる堕天使から少しずつ離れようとしたが、その堕天使はライトの眼でも追うことはできない速さで後ろへと回り、彼を抱き締めた。
「そう言わずに良いだろう? これは私と御前の仲だからな。
それに良いだろう? こんなに可愛い美少女が抱き締めているのに離れようとするとはね。
それに御前の尻を何回触っても飽きないな。」
そう言いながらライトの尻を触る天津
「確かにお前は綺麗な女だが性格は変態そのものだよ。それと尻を触るのは止めてもらいたいのだが? 魔王城にもお前が好きそうな男の尻が有るかもしれないぞ? 人間でも構わないが?」
それを聞いた天津はそっぽを向いて
「やだね。御前以外の人間の男の尻なんて興味ないね。」
と言った。
そして、天津はライトの方へと向き直り真剣な表情で口を開いた。
「行くのだろ? なら私を連れていけ、もちろん、拒否権は無いぞ? 御前は私の――――」
天津が話を言い終える前にライトは肯定的な答えを出した。
「ああ、解っているよ。
連れていってやろう。
ただし、邪魔だけはするなよ? それにお前は幾つか能力を持っていた気がするが、制限が有るのではなかったのか?」
すると天津が「フフフ」と笑いながら人差し指を口許に当て、その様子を見たライトは「ああ、なるほど」と何となく察し、天津は口許に当てていた指を離して、詳細を話した。
「まず、私の能力達だが無制限になった。」
「何となく察して居たが、どんな経歴で無制限になった?」
ライトが聞くと天津は黒いドレスコートの裾をふりふりと遊びながら年相応の少女のような笑顔で答えた。
「そうだな、自分で造った迷宮で修行してたら無制限になった。ちなみにその迷宮は御前が村人達を虐殺した後に壊した。」
すると彼は納得したように返事をした。
「ああ、そうか。」
その後、同じようなやり取りをしたのでライトはそろそろオドン市街に向かうことにした。
「さて、そろそろオドン市街に行くぞ。
それと天津、羽は仕舞え。」
「解った。」
そして、オドン市街に向かったのだった。
天津:堕天使で、長い黒髪を背中まで伸ばしていて、翠色の瞳をしており、左目には眼帯を着けていて、胸の大きさは少し大きくスレンダーな美少女。そして、背中には片方だけ灰色の翼を生やしており、それを武器にして戦うことも可能らしい。
服装は黒いドレスコートを着ている。