第十六話
鍛冶屋に寄った後、ライトは次の標的を決めるために研究室に向かった。
「失礼する。
研究者、何か解ったか?」
ライトがそう言って扉を開けると眼鏡を掛けているその人物が振り向いた。
「おお、ライト殿か?
良く来た。」
と可愛らしい少女の声で満面な笑みを浮かべながら手を前に出した。
「元気そうだな。」
と言いながらライトは握手をした。
「ああ! わしはこれでもまだ若いからな!」
とライトとイリアは手を離して、彼女はニコニコと可愛らしく微笑んでいた。
彼女の名はイリアという名前で、黒髪碧眼の美少女であり、身長は169cmのミトラの身長より少し低い。
見た目はエルフで、白い長袖を着ていて、ひらひらしている蒼いロングスカートを履いていて、茶色い靴を履いていた。
「イリア、他の研究仲間は何処に?」
「ああ、あいつらなら研究の材料を買いに行ってるぞ。」
買い出しか、とライトは呟きながら壁に飾っている禍々しい紫色の鎌を見掛けた。
「あの鎌は何だ?」
ライトはその鎌に視線を向けながらイリアに聴くと彼女は得意げに胸に手を当てて答えた。
「それは悪の大鎌だ。 ライト殿が会った鍛冶屋のドワーフのお爺様と共に造った物だ。」
「あの爺さんか······。」
ライトはこの研究所に行く前に行った鍛冶屋のドワーフの男の事を思い浮かべる。
「使えるか?」
と聴くと彼女はニコニコとしながら言葉を返した。
「それなら問題ないよ。
既にミトラ様が使って試したから」
使って試したのか、と呟いてその一本でもある悪の大鎌の柄を手で掴んで持つと
「これは凄いな。」
柄以外の刃の部分がエネルギー状になって、身体能力が上がったように感じた。
「ちなみにそれは人間特効だ。ライト殿と闇の女王以外はその大鎌の刃に触れた瞬間に苦痛を感じながら死ぬ。凄い武器なんだ。」
「ほう、そうか。
······それに闇の女王とは何だ?」
そう聴くとイリアは口を開いた。
「報告されていないのかな? 多分だが、ライト殿が知っている人かも知れないぞ? 一応、あの方もライト殿と同じで酷い目に遭ったみたいだからな。」
それを耳にしたライトは「そうか。」と呟き難しそうな表情で考えたが、思い当たる人物は居なかった。
しかし、庇っていた人物なら一人だけ居るような気がしたが、すぐに考えることを止めて、悪の大鎌を構えた。
「だが、その話は後だ。」
「まあ、ライト殿だったらそう言うと思っていたよ。」
イリアは少し呆れながら苦笑いを浮かべて、ライトは真剣な表情で大鎌に魔力を上げて、目にも止まらぬ速さで目の前にある木を切断して、その木は後ろへとゆっくりと傾き、倒れた瞬間に腐り始めて消え去った。
「恐ろしいな。」
彼はそう呟いて、右手に握っている大鎌を見て、驚いていた。
「魔神剣ほどではないが、この武器もなかなか凄い。」
「そうだろう!」
とイリアはライトの背中を軽く叩き、それに振り向いたライトは一瞬だけ微笑み、大鎌を元に有った場所に戻した。
「ありがとう、そこの槍も試したいが俺の目的を話に来ただけなんだ。」
「まあ、そうだろうな。
目的というのは例のこれだろ?」
とイリアはロングスカートのポケットから紙を取り出し、それをライトに渡した。
「そうだ、これだよ。」
と言いながら受け取り、その紙の詳細を確認した。
『ライト殿へ
次なる標的であるカリンという男の居場所を完全に特定した。場所はオドン市街の紅い屋根の大きい屋敷だ。
魔界研究所より』
と書かれていた。
(カリン、卿はどのように泣き叫ぶのか楽しみだ。)
それを見通したライトはそう考えながらイリアに挨拶をしてからオドン市街に向かう瞬間にイリアが声を掛けてきた。
「それとライト殿にこれをあげよう。」
「それは何だ?」
イリアがライトに渡したのはカプセル状の薬が沢山入っている透明な箱だった。
「それは女体化するための薬だ。
カリンという男は女たらしだからな、奴を騙して後ろからサクッと殺すことが出来るかも知れないから持っていって欲しい。」
「分かった、大切に使わせて貰おう。」
そう言ってライトはイリアに手を振り、オドン市街に向かった。
新武器紹介
悪の大鎌:人間特効、この大鎌は魔力の質量を上げるとエネルギー状になり、あらゆる物質と霊体を切断することが可能になる。更に所有者の魔力が高ければ高いほど切れ味が鋭くなり、威力も増量する。
道具紹介
女体化の薬:男性を3時間か5時間だけ女体化することが出来る。(しかし、ライトが本当に使うかどうかは不明)
キャラ紹介
ライト:現在の容姿は、黒髪で鋭い赤い瞳をしていて、黒いコートを着ており、黒いスボンとナイフを仕込んだ黒いブーツを履いている。
腰には黒いベルトを付けていて、横腰に鞘を付けており、魔神剣ジークフリートを納めている。
性格は残酷(元は温厚)だが、亜人達や魔族のお陰で少し丸くなっているが、残酷性は変わらない。ミトラが彼を救わず、アイリスが庇わなかったら間違いなく吹っ切れて、性格が全員(魔族、人間、亜人を含める)殺すマン化していただろう。
魔王ミトラ:ヒロインその1、勇者パーティーを無傷で追い返しており、ライトに好意を抱いており、ライトが生まれる前から彼の事を知っていたらしい。
アイリス・オルスター(闇の女王):ヒロインその2、ライトを庇った事で自身も罪に問われ、牢獄に入れられて絶望していた時に魔神剣レーヴァテインが現れ、悩みながらもレーヴァテインと契約して、ライトを酷く裏切った人達に復讐することを決意して、亜人達を擁護している。
イリア:ヒロイン3、鍛冶屋のおじさんとは親戚で、ライトに標的の居場所を教えた。
クリス:ヒロインになるかどうかは不明だが、今後の活躍でなるかもしれない。
魔神剣紹介
魔神剣ジークフリート:黒い剣、レーヴァテインのように喋るかどうかは不明。しかし、能力は幾つか持っているようで、もしかしたらジークフリートの名を借りた何かの可能性が高い。
魔神剣レーヴァテイン:総ての炎を司る魔神剣であり、アイリスの魔神剣。
魔神剣ジークフリートの事を知っているかどうかは不明だが、レーヴァテインは自分以外の魔神剣が何本か来ている事を感知している。感知しているだけなのでどういう魔神剣が来ているのかは解らないとの事。




