閑話 勇者達と王国
閑話 勇者達と魔王ミトラ(魔王ミトラ視点)の後、勇者達がどうなったのか? という話です。
「ちくしょおおお!!」
魔王ミトラに敗れた勇者ノゾムは拳を壁に叩きつけて怒鳴り散らしていた。
何故、彼がここまで苛立ちを抱いているのかというと、負けたのが初めてなのたがらである。
しかも、魔王ミトラという美女に負けたのだ。
「クソクソクソクソッ!!」
何回も何回も拳を壁に叩きつけて、壁を蹴った。
そして、その壁が土砂崩れのように砕け散った。
「ヒヒヒ、あのミトラという糞な女め······次会ったときは犯してから殺してやる。」
そう言いながら邪悪な笑みを浮かべ、勇者(汚物)の婚約者のところへと向かった。
その頃、謁見の間では、魔王ミトラに敗れた事をこの国の国王と王妃に報告するために騎士団長である、アレン・アシュフォードは顔を暗くしながら頭を下げて報告した。
「申し訳ありません。国王様、今期の魔王には手も足も出ずに我ら勇者パーティー以外の軍が全滅してしまいました。」
それを聞いた王妃は眼を見開いて両手で口を抑えて、国王は内側から漏れそうな怒りを隠しながらアレンに退室するように告げた。
「そうか、下がって良い。」
「はい。」
アレンが謁見の間を出ていき、それを見送った国王は焦って拳を握りしめた。
「何たることだ!? 噂には聞いていたが魔王がここまで力を上げているとは!?」
「あなた!? どうしましょう!?」
国王は焦り始め、王妃はガタガタと震えて泣き出し、夫でもある国王にこれからどうするのかと震えながら聞こうとした時、宰相がとある事を国王と王妃に伝えた。
「国王様、王妃様、落ち着いて聞いて下され。アリシア殿の話によりますと、奴は何らかの力で勇者殿達の攻撃を無効化していたようです。
しかも、バフを限界まで強化したのに対して、全くの無傷だと云うことらしいです。」
宰相の話を聞いていた二人は驚愕な表情を浮かべた。
「それに加え、魔王は一本の髪の毛だけで勇者殿達をこの国へと強制的に飛ばす力も有るとのことです。」
「なん······だと······!?」
普通ならあり得ないと否定するかもしれないが、帰還してきた勇者達の負傷を考えると認めざる得なかった。
今まで、勇者達は傷を負わずに勝利してきたのに全くもって勇者の攻撃は愚か、伝説級の職業でも傷一つ付けることが出来ずに敗れてしまったのだ。
ならどうするか? 勇者達を最大限の訓練を行うように指導するしかない。
そう考えた国王は宰相にこう伝えた。
「解った。
勇者達に最大限の訓練を行うように指導するように伝えてくれ。」
「御意」
そうして彼らの破滅への序章が始まったのである。
読んでいただきありがとうございます。
それでは良いお正月を!!