過去 転生令嬢と魔神剣レーヴァテインとの契約、その後脱出
「レーヴァテイン?」
《そうだ。》
レーヴァテインといえばあまり詳しくは無いけど神話に出てくる奴だった気がする。
忘れちゃったけど
「あなたは何者なのですか?」
私が敬語でレーヴァテインに話し掛けると凛とした声で返事を返してきたが
《すまないが、我自身の事は解らない。》
えっ?
なら他の質問に変えよう。
「では、あなたは何処から来たのですか?」
レーヴァテインが何処からやって来たのかを質問した。
《そうさな、宇宙から来たとしか言いようがないな。》
宇宙から?
宇宙から来たのならどうやって来たのだろう?
少なくともこの世界が地球と同じように大気圏があるのか解らないが、もしもあるのなら燃え尽きる筈だと私はそう解釈した。······違うかもしれないが
「どうやって来たのですか?」
《どうやって来たのかと言うと、引き寄せられたとでも言っておこう。》
引き寄せられた?
「何に引き寄せられたのでしょうか?」
《お前からだな。》
ハイ? ナニヲイッテイルンダロウ?
「私からですか?」
《そうだ。》
聞き間違いかしら?
「それは本当ですか?」
《本当だ。》
「マジですか?」
《マジだ。》
「マジ?」
《マジだと言っているであろう。》
「······。」
《······》
どうやら聞き間違いではなかったようです。
「解りました。理解しましたよ。」
《不機嫌だな。》
色々と話が出来すぎていて着いていけないのですよ。
《どうする?
我と契約するか?》
どうしようかしら? と悩んだが、私としてはこの世界の事などどうでも良かったので、少し考えてから決断しました。
「解りました。
あなたと契約します。
それともう一つ質問させてください。」
《なんだ?》
少し、気になることがあった。
契約した後、どうなるのか解らないからだ。
「契約した後は、何か変なこととか起こらないのでしょうか?」
《ああ、それか。》
どうやら何か知っているようだ。
《我と契約した後は歳とかで老いることはなくなり、驚異的な身体能力を手にすることが出来る。
そして、我の能力を使うことが出来る。》
前半は兎も角、後半の話がえげつない気がするようでしないような?
「そう」
《では、契約するか?》
私はしばらく考え込んだが、数分後、決意して契約することにした。
「解りました。契約します。」
《良かろう。》
するとレーヴァテインが少し喜んだような感じがしたが私は気のせいだと根拠がないが決め付けて
魔神剣レーヴァテインを掴んだ。
《契約は完了した。
我はアイリス・オルスターを主とする。》
レーヴァテインがそう言い終えると煉獄の炎のように燃えていて、黒い煙が出ている赤い長剣が本格的に姿を現した。
《待たせたな。
これが我だ。
同じ魔神剣の契約者達以外に我とお主を殺すことも消すことも出来ぬようになった。》
何か、中二病みたいな設定だね。
でも、これでここを脱出できるのか解らない。
《安心せよ、そこに黒い壁があるだろう?
それに向かって念じてみよ。》
そう言われ、私は牢の中の奥にある壁に向かって念じてみると······?
壁がマグマのようにドロドロと溶けて、外の景色が見えた。
《主よ、覚えておくと良い。
これは人間、特に敵に対して最も有効な手段だから覚えておくが良い。》
「解りました。
レーヴァテインさん」
《おい、レーヴァテインさんとはなんだ? さんとは》
あら? 恥ずかしかったのかしら?
敬意を払って言ったのよ?
《何だと?》
心の声まで聞こえるのか······。
《ククク、残念であったな。
我がそのような事に気づかぬとでも?》
ごめんなさい。
《まあ、気にさんな。
お主が剣になれとか槍になれと言えば、我も姿を変えることが出来る。
それを忘れるなよ。》
解ったわ。
では、脱出しましょう!
私は溶かした壁を潜り抜けて、近くで歩いている衛兵を一瞬で燃やして窓に飛び込んで城から脱出した。
さて、後はこの王都から出る必要がある。
しかし、私はあのクズの······あのムカつく顔を殴りたいが今はその時ではない。
私は右手に持っているレーヴァテインを見詰めて、槍を想像してみるとレーヴァテインが槍へと変形した。
というより姿を変えたと言った方が正しいだろうか?
そして、また剣を想像してみると剣へと姿を変えた。
なるほど、後で遊んでみるのも良いかもしれないな。
《おい、聞こえておるぞ。》
「ごめんなさい。
では、そろそろ行きましょう。」
そう答えて私はこの腐った王国を出たのであった。
そして、私は近くにあった邪教徒の服でもある黒い修道女の服を着て、レーヴァテインを腰にある鞘に納めて、森へと逃げ込み行方を眩ませた。
後日、王国の方で私が脱獄して逃亡したという情報が世界に流れ込んだみたいだが、この闇の森に立ち寄る事は愚か、見つけることも出来ないだろう。
主に私は人間族が嫌いになってしまったので、亜人達と魔族達を保護することにした。
私にとって彼らの方が人望があり、信頼出来るため、私は徹底的に彼らを保護している。
亜人族を見つけたら何としても保護して、奴隷のように扱っていた人間を殺して、森へと連れていく。
人間達が「どうして俺たちを殺そうとしているんだよ!?」と叫んでいたが、気にせず焼き殺した。
そもそも、先に彼を裏切ったのはあなた達人間達でしょう。
そう言ってもあなた達は信じようとしないし、反省する気もないのでしょう。
なら私はあなた達を滅ぼすことにします。
人々に罪はない? アホですか? 馬鹿なのですか? こんなクズみたいな奴らが罪が無いと本気で仰るのですか?
まあ、言っても仕方がないと思いますがね。
これで私の過去は終わりにして仕事を続けるとしましょうか。
魔神剣は必ずしも剣のような形をしている物としてない物もあります。
レーヴァテインのように剣やら薙刀みたいに姿を変える事が出来る魔神剣もあります。
ちなみにアイリスは人々から『銀髪の黒き炎の修道女』と呼ばれるようになり、亜人達と魔族達はアイリスの事を『闇の森の女王』あるいは『闇の女王』と呼ばれるようになりました。