過去 追放された青年を庇った転生令嬢の絶望ともう一つの魔神剣
少し忙しかったので色々と話がバラバラになっているのかもしれませんがご了承ください。
彼が行ってしまう······行かないで······ライト君······あなたには罪は無いのに、なんで皆彼をそんな敵を見るような目であんな罵倒暴言を言って、石まで投げるのか出来るのか解らなかった。
あの時、私の命を危険に晒しても彼を庇い通したかった。
でも、最終的にライト君はこの国を追放されてしまった。
これは私のせいなの? 私のせいでこうなってしまったの?
もし、そうなら私がこの世界に転生した意味って何なの?
数時間前
「罪人ライトよ、貴様は勇者の婚約者である彼女達を奪おうとした罪で貴様を追放の刑に処する。」
「そんな! 僕は奪おうとしていません! 僕は―――」
「黙れッ!! 貴様は罪を更に重ねる気かッ!?」
それを聞いて、何も言えなくなったライト君は今にも泣きそうな表情をしていました。
「それに加え、貴様は魔人族との繋がりを持っていたらしいが我々と勇者にとってはお見通しだ。」
そして、私は椅子を立ち上がり、ライト君の偽りの罪を否定した。
「国王様!! 裁判長!! 違います! 彼は魔人族と繋がってません! 信じてください!」
「君はオルスター公爵のご息女だったかな? 君の出る幕ではない。
良いかね? 罪人ライトは罪を犯したのだよ。
君がそれ以上、彼を援助するようなら君を国家反逆罪で処されることになるが」
そんな、何でそんな理由で彼を罪人のように扱って、庇おうとした私を敵を見るような目で私とライト君を見るの? 意味が解らない。
でも、私にはこれ以上彼を傷付けたくはなかった。例え、彼が本当に罪を犯していても彼を庇い通す。
だから私は胸を張って裁判長と国王に抗議した。
「それでも構いません。
私はどうなっても構いませんので、彼の罪を無かったことにしてください!! お願いします!!」
そう抗議して、恐らく誰もどの貴族もやらないであろう土下座をして懇願した。
それを冷たく見る裁判長と国王は私を見下ろして目を鋭くしていました。
怖い、でも、あの変態ジジイ神様よりかはマシだ。
私は更に国王と裁判長に更に抗議しようとした時、思いもよらなかった人達が現れたのです。
「教皇、『終焉』のルドルフとその信者たちですって?」
私はそう呟いた後、息が止まりそうになりました。
あのルドルフはヤバイと心の底で恐怖を覚えました。
「おう、これはこれはルドルフ殿ではありませんかッ! 来るのが遅かったではありませんか」
教皇達が来た瞬間に、裁判長が狂信的に目を開き、まるで待って居たような言動を言い放ち、勝ち誇ったような目で私をチラリと見ていました。
「済まんな。
遅れてしまいましてな。
罪人ライトが犯行に使った物が見つかりましたからな。」
「おお! それは!?」
そして、私は目を見開き口を抑えました。
「そんな」
彼はずっと私の所に居たのになんで、私が無事を祈るようにこっそりとあげた御守りだった。
何故、彼らが持っているのか解らなかった。
「これはな。
そこのアイリス嬢がそこの罪人のために物だ。
何故か解りますかな?」
何故か皆、私を見て今にも襲い掛かってきそうで睨み付けていました。
それだけではなく近くに居た衛兵も私を肩を掴み、縄で拘束された。
「この小娘はな。
そこの罪人ライトの共犯者なのだよ! これを聞いて解ったか? 国民達よ」
そんな事って有るのですか?
こんな理不尽みたいなことがあるわけが······?
そして、私がしばらく呆然しているとライト君が騎士達に無理矢理連れていかれてそれを追い掛けようと駆け出した時、後ろから衛兵や他の騎士に押さえ付けられ私は泣きながら手を伸ばし、彼の名を叫び続けた。
「嫌あ!! 行かないで!! 行かないでよ! ライト君!!」
しかし、彼には届かなかった。
どんなに叫んでも、どんなに呼んでも彼は振り向くことはなかった。
「何でよ······。」
何でこんなってしまったんだろう?
これは誰のせい? 私のせいなの? 私は呆然としながら空を見上げた。
すると後ろから不愉快な声が聞こえた。
「しかし、あの忌々しい愚か者を追放して良かったですなあ!」
「そうですな。」
そんな不愉快で気持ち悪い声があちらこちらへと聞こえてくる。
そして、私が視線を前に向けるとニヤついた表情で私を見ていた貴族のご息女とそれに囲まれている勇者が居た。
そうだ、こいつだ。
こいつのせいでライト君が偽りの罪で追放されたんだ。
なら私はこいつを
私は立ち上がり、勇者のところへと歩き、そいつの顔を殴った。
「きゃあ!勇者様が!!」
「あの小娘がッ!!」
「なんてことをッ!!」
私は憎悪の眼で周りに殺意を浴びせて勇者にたいして口を開いた。
「ふざけるな。
何が勇者だ。お前の方がよっぽど魔王じゃないか。」
そう告げた私を国王は怒り狂い、教皇達が私を拘束魔法を掛け、殴った勇者は邪悪な笑みを浮かべた表情で私の元へと来て、こう告げた。
「今のは何かな? もし僕に謝ってくれれば許して君を僕の嫁にしてあげるよ。」
と告げてきて私は唾を吐いた。
吐いた唾が付いたことに気付いたクズは私の腹を殴った。
「ゲホゲホッ!!」
痛みに耐えられずに噎せて、蹲った。
それでも私は目の前に居る糞のような勇者を見上げ睨み付けた。
「もう良いよ。
国王様、こいつを牢に入れてくれ。」
彼は物凄く不機嫌な表情で私を見下げて、踵を返して国王に私を牢屋に入れるようにと告げた。
それを了承した国王は私を睨み、衛兵に牢に連行するようにと告げ、私を無理矢理立たせながら牢へと連れていかれた。
そして、向かう途中に家族でもある両親が「お前が居なくなってほっとした」や「あなたなど産んだ覚えはないわ」などと私を睨むような眼で聞こえる声で陰口を言っていた。
勿論、両親だけではなく仲があまり良くなかった姉達や仲が良かった弟と家臣でさえ、私に罵声を浴びせていた。
「あんたは牢で死んだ方がマシよ。」
「流石にねえ、優しい私でも勇者様に手を出したあなたは野垂れ死んだ方が良いと思うんだよね。」
「アタイもアイツは元々嫌いだったしな。
寧ろ、死んだ方がマシだな。」
姉達は私を見下し、散々馬鹿にしてきたくせに何が優しいだ。
「おい、糞姉。
良かったな。牢に入れて。」
「お嬢様、あなたに尽くした私達が間違っていました。
精々、苦しんでから死んでください。」
何で? 今まで尽くしてきたのにあの言葉は嘘だったの? 私が死ぬまでずっと傍に居てくれるのではなかったの?
酷い、酷すぎるよ。
こんな世界なんて······。
「入れ、貴様は近い内に刑が執行されるだろう。
最期の最期で苦しんで後悔してろ。」
そう言いながら私を乱暴に牢に入れて、牢の鍵を閉めた。
そして、衛兵は牢を出ていき唯、呆然と座り込んでいる私一人残された。
(何で、私は彼を庇いきる事が出来なかったんだろう?)
今思ってくると後悔している。
私がやったことは許されないことだと解っていても、庇いきる事が出来なかった。
家族とも絶縁して、友人達とも絶縁して、何もかも失ってしまった。
私なんか、もう······。
《小娘よ、力が欲しいか?》
何? 誰か私を呼んだ?
それはまるで若い女性のような声だった。
《力が欲しいかどうかと聴いておる。》
誰よ、あなた······。
《我は魔神剣レーヴァテイン、あらゆる総ての炎を司る存在だ。》
魔神剣はライトが持つジークフリート以外にも存在しています。