過去 追放された青年を庇った転生令嬢の話
庇った人物は転生者でこの話は過去話です。ご了承ください。
それとちゃんとライトを庇った所や豹変したライトに会わせますよ。しかし、豹変後のライトにどのように会わせるかは今のところ未定です。
私の名はアイリス・オルスターというこのラプラス王国に住む、ちょっとした偉い公爵令嬢です。ちなみにあまり言いたくありませんが年齢は20歳です。
まあ、ここで昔話をするとしましょうか?
昔というか、前世と言いますか、一応、前世と言っておきましょう。
私は今、銀髪赤眼の少しだけ胸が大きいスレンダーな美女ですけど、前世では女子高生をやっておりました。
私の前世の名前は白銀唯衣という女子高生だったんですが、ちょっとしたトラブルで事故ちゃって気付いたらジジイで変態神様にアイリス・オルスターという何か、偉いお嬢様に転生させられたんです。
信じられると思いますか? 思いませんよね? こんなご都合主義な異世界転生なんてあるわけ無いですよね? しかしながらもうなってしまっているんです。
まあ、この話は置いといて、これから何の話をするかと言うと今、目の前に私が凄く嫌いな勇者ノゾムとその馬鹿な仲間達が居るんです。
私も最初、彼が何者か分かりませんでしたが、異世界から召喚された勇者だそうです。
まあ、異世界と言うより日本から来たらしいです。
私も内心、不愉快な気持ちになりましたよ。
勇者、いやいや違うな。
クズ勇者でしょう? よく小説家に○ろうとかカク○ムとか言う小説投稿サイトに出てくる勇者でしょう。
その後、自己紹介などを終えて、謁見の間を出て、少しだけ王城を友人達と一緒に探索している時に勇者に会いました。
しかもノゾム(コイツ)が最初に狙ってきたのは私でしたよ。
僕のお嫁さんにならないか? とか無理しなくても良いんだよ? と気持ち悪い笑みを浮かべながら話し掛けてきたけど、全て断っておきました。
だって嫌でしょう? 知らない男にお嫁にならないかとか、普通なら拒絶するのに私の友人達が目がハートになって「一緒に居ますわ!」とか「ノゾム様、大好き♥」とか何かで洗脳されたように寄り添って抱きついて行きやがりましたけど、私はカッコいいとは思いません。それとこの勇者は私より年下の癖に生意気すぎるところがあります。
そして、この時友人達とトラブルを起こして友人に「もう貴女なんて友達でも何でもないわ。」と言われてしまったので決別して、その後実家へ帰宅して少しだけ勇者召喚について調べようとしましたが、残念なことに衛兵に止められました。
理由はどうやら王族にとって一番重要な機密事項であるらしく、簡単には見せられないということらしいです。
これでは仕方ない。お手上げだなと踵を返して自分の部屋に戻ろうとした時、衛兵が突然、と言うより小さな声で、勇者がとある村に行って仲間達を集めるとの事です。
何か、嫌な感じがしますが明日か明後日くらいになれば解るでしょう。
そして次の日、オルスター家の朝は早く、まず、最初にベッドから身体を起こして顔を洗い、寝具を脱いでクローゼットにある青いドレスを取り出して着替えます。
着替え終わった後は朝御飯を食べ、部屋で勉強をします。
まあ、勉強というのは自分の趣味ですが、簡単に言えば、読書ですね。
何の本を読んでいるかと言いますと勇者と魔王についての話です。
あまり面白くはありませんけどね。それならまだ、私としては勇者より悪役令嬢の方が良かったです。
だって、嫌ですよね? ハーレムという馬鹿みたいに魔王を倒して平和に過ごしましたという話とか、チート? という成長の欠片もない糞のような能力とか嫌ですよね?
と言って、私もあのジジイで変態神様に無理矢理付けられたんですよね。
確かその能力の名前は『慈愛、愛情、信頼』という少し意味不明な能力を付けらたのですよ。
後、16歳の時に職業を授けられましたが、その職業の名は『不明』というよく解らない職業でした。
まあ、その後家族から無能だと陰口を言われていますが、別に気にしませんし、後関係ないかもしれませんがあの友人達とは絶縁しています。
そして、少し解ったのですが色々と調べていくとこの能力の事が解ったんです。
慈愛は不明ですが、愛情は誰からも愛され、誰にでも愛することが出来る物で、信頼は信頼できる人に使うものらしいです。
まあ、その能力達はあの変態神様にテレパシーで教えられて知りました。
そして、しばらく本を読んでいると外が騒がしくなったので、本を閉じて外に出ると勇者が戻ってきました。
恐らく、あの三人の少女達は姉妹かは存じませんが、神託とやらにあった剣聖、賢者、聖騎士という職業を授かった子達でしょう。
それとあの子は誰なのでしょうか? 第二の勇者か何かでしょうか?
私がそう考えていると近くに居た、地位が高い貴族と私の元家族はその男の子に対して陰口を言ったのです。
私も黙って見てられませんでしたが、我慢しました。
そして、一週間後あの男の子に会いました。
何だか元気があまり無いようですが、話し掛けるとしましょう。
「あら、こんにちは」
「こ、こんにちは、あなたは?」
うふふ、この子は良い子ですね。
自分で言うのもアレですが地位の高い人間に対して、言葉遣いが良く、真面目で丁寧で素晴らしいほどに礼儀がよろしい子ですね。
「私の名前はアイリス・オルスター申します。
坊やの名前は?」
「僕はライトと申します。
それと『剣士』という職業を授かっております。」
良いではありませんか、剣士、私も剣士の職業が欲しかったですね。
まあ、この世界の法則からは抜け出すことは出来ませんけどね。
するとライト君は顔の頬を赤くなりましたが心配いりません。
「大丈夫ですか?」
「はいっ」
少しだけ興奮しているようですが、その内慣れてくるでしょう。
あっ、それとライト君に言いたいことを思い付きました。
「無理はしないでくださいね? それと私のことはアイリスとお呼びください。」
「そんな! 貴族のご息女に対してそんなこと言えません!」
ん? この子、良い子過ぎて色々と抵抗している? 気にしないで欲しいですが、仕方がない。あまり使いたくありませんが能力を使うとしましょう。
「ライト君」
「何でしょうか? アイリス様」
何か聴いてきたが私はライト君の両手を繋いで能力を発動させた。
「これは?」
「秘密よ。
それと約束して、私は決してあなたの事を裏切ったりはしないわ。
何があっても絶対に裏切ったりしない、約束よ?」
「は、はいっ」
少しだけ彼はキョトンとしていたがすぐに返事を返してきた。
私はこの子に恋をしたのだろうか? そういえば私が人に対して能力を使うのはこれが初めてな気がする。
そして、私は彼の目を見てあることを見抜いた。
(これはッ!? やっぱり関係していたのね。)
まさか、あの勇者が関係していたとは知らなかった。
最近、彼がここから来た時に恐らくライト君の恋人であろうユミナさんという剣聖か剣姫か忘れましたけど仲良く話していた所を何回も見たことがありますが、その三日後、ライト君とユミナさんが一緒に居るところを見ることが無くなりました。
何回も話し掛けようとしましたが、衛兵に監視されていたため真面に話し掛けることも出来なかったのです。
そして、次の日、また次の日と姿が少しだけ変わってきました。
変わったのは彼の体つきが少し筋肉質な体質になっているところでしょう。
私はこの時、勇者達とその女性達に怒りを覚えました。
少し、ライト君を見つめていると彼が「どうしました?」と聴いてきたので私は「問題ありませんよ」と返事を返して彼は用事があるので失礼しますと城の方へと向かって行った。
「大丈夫かしら?」
そう呟いてしまいましたが、私は気分を切り替えて屋敷に戻りました。
そして、魔王討伐当日ライト君を入れた勇者パーティーとその騎士団が魔王討伐に行ったようです。
(もし、行くんだったら会った時にもっと話しておくんだった。)
今さら後悔しても遅いですが、彼らの生存を信じましょう。
きっと帰ってくる。
私はそう信じてライト君達の帰還を何週間も掛けて待ち続けた。
そして、とうとう魔王を倒すことが出来たという情報が来たようで、勇者パーティーの姿が見えました。
そして、ライト君も無事でホッとしました。
しかし、魔王討伐で亡くなって犠牲になってしまった騎士団もかなり居たようでようやく倒すことが出来たようです。
これでライト君と話せると心の中で思いましたが、勇者パーティーと騎士団が魔王を討伐してから数日後、事件が起こりました。
私自身もまさか、ライト君があのような事に巻き込まれるなんて思いもよらなかったのです。
まさか、彼が有りもしない罪で追放されるとは思わなかったのです。
ちなみにアイリスの年齢はライトよりも歳上です。
アイリス 24歳
豹変後のライト 20歳
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