第九話 侵入
無事にギルドの中へと侵入したライトは姿を消しながら電源を探し回った。
しかし、本当にここにあるのだろうか? という思考をしながら探した。
そして、早く見つかった。
これが電源か? いくらなんでも早すぎるだろと口に出したかったがどうでも良かった。
早く終わらせて、貴族達を壊さなければならないという事が彼の中に蠢いていた。
(しかし、参ったな。)
早く終わらせたいという気持ちが大きいのだが、どうしても上手くいかなくなってしまう。
何故なら
「見えているのだろう?」
ライトは電源を壊す前に誰かが見ていることをとっくに察知していたため冷静に気配を消している者に声を掛けた。
すると
「ええ、良く分かったわね。」
出てきたのは茶髪を三つ編みにした少女だった。
そうか、ならばこの女が
「なるほど、卿はこのギルドの受付嬢というわけか、では、どうする?」
すると受付嬢はクスクスと嗤いながら彼にこう言った。
「無論、貴方をここで殺すわ。これは」
そして彼女は指を鳴らし、数十名ほどの冒険者が現れた。
それを見たライトはというと
「ほう、良い案ではないか。」
と感心したかのように短く呟いた。
彼にとってはギルドの人間に対して特に何の感情もないのだが、それに対しては良くできたなと上から目線で称賛するだろう。
しかし、今のライトには出てきた冒険者達の事はAランク相当の冒険者達だと推測する。
そして彼は決断した。
「良いだろう、参れ·····卿達の実力を期待するとしよう。」
そう言って、受付嬢以外の冒険者達が剣や杖を構えて、突撃してきた。
(では、ミトラよ·····お前の考えを当ててやろうか? 何、すぐ終わるさ。)
彼はそう考えながら冒険者達の攻撃をすらすらと避けた。
攻撃を避け続けるライトに対して受付嬢は苛つきながら冒険者達にさっさと殺すようにと言った。
しかしそれでも彼は避け続ける。
すると冒険者の一人が「こいつまさか、戦えないじゃないか?」と馬鹿にしたような口で笑い飛ばし、それに便乗するかのように次々と声に出し、囲みだした。
(ふむ、悪くない手だな。)
しかし、ライトにとってはそれはそれで良いと思い浮かべ、彼らの攻撃を次か次へと避け続けた。
そして――――――
「おらよ!」
冒険者の一人が剣を振り下ろされる瞬間
(そこだな。)
振り下ろされる前に一人の冒険者の腹を殴った。
そしてその衝撃で吹っ飛んでいく冒険者は壁に激突して血を吐いて事切れた。
「まさか、これで死ぬなんてな。」
しかし、ライトにとっては弱攻撃でしかなく、手加減した位なのに対してあの男は飛んでいった。
(つまらん。こんな者達に俺の人生とやらは無くなったのか。)
村で村人達を虐殺している時以上の憤怒の感情が出始めた。
(良いだろう、まずは卿達を殺してやろう。)
彼はそう思いながら少しだけ笑い、行動に移した。
ちなみに何故ライトが相手に対して「卿」と呼ぶのかは、相手を信用していない時、または復讐対象、敵対者達に対してのみ使います。
ミトラに対しては徐々に信用しているので呼び方が「お前」あるいは「ミトラ」と呼んでいます。
これは魔族達に対しても同じです。
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