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第1話:戦う男

初めに……


こちらの作品はアンリ様が主催されている「私の神シチュ&萌え恋」企画 参加作品になります。


最後まで楽しんで読んでもらえると幸いです~♪


登場人物

主人公:滝野たきのつばさ

ヒロイン:水澤みずさわ美紗姫みさき



 一体何時の頃からだったのだろうか?


 俺が彼女のために戦い始めたのは……


 物心が付く前?


 それとも物心が付いた後?


 そんな記憶が曖昧になってしまう頃から俺は……


 彼女と過ごす大切な時間を守るため


 ずっと戦い続けてきた。


 彼女はとても可愛く、そして、誰に対しても優しく愛想を振り撒いていた。


 そんな人気者の傍に居続けることは並大抵のことではなかった。



 最初の試練は小学校高学年……


 女の子と遊ぶだけで軟弱者のレッテルを貼られ、周囲の男子達から馬鹿にされる年頃。


 そんな野次に耳を塞ぎながら俺は彼女の傍にいることを選択した。


 おかげで同級生の男子達からは『仲良しコンビ』やら『お似合いカップル』やら好き放題に捲し立てられた。


 周囲の人間からそんな風に言われても俺は全く気にしなかった。


 誰に何を言われようが、彼女の隣には俺がいるべきだと信じていた。


 だが……一緒にからかわれた彼女の顔は真っ赤に染まり、何時も恥ずかしそうに涙を浮かべながら俯いていた。


 俺と違って、彼女はそう言った罵声には耐えられないのかもしれない。


 そう感じた俺は身体を鍛えて罵声を浴びせる奴らを片っ端から力ずくで黙らせていった。


 そして、小学校を卒業する頃には『町内1の不良』という不名誉な称号を手にいれることとなった。



 そんな俺にやって来た次なる試練は……


 色恋沙汰にざわめき立つ中学生2年。


 この年齢になると俺達は個々の能力に応じた格付けが始まる。


 頭の良い奴、運動のできる奴、格好の良い奴、人気のある奴とそういった点を加味されながら判断される。


 その頃の彼女は『愛くるしい』という容姿から『美しい』というに相応しい見た目になっていた。


 そんな彼女に付けられたランクは『Aランク』だった。


 まぁ、当然の結果といえば当然の結果だ。


 頭が良くて性格が優しくて困った人間を放っておけず、見た目が可愛い彼女なのだから。


 一方、俺の方はといえば……


 粗暴で勉強もあまりできず、喧嘩ばかりしてきたせいか、目付きが悪くクラスメイトからは乱暴者と怖がられていた。


 そんな俺の評価は『Dランク』である。


 これも仕方がないといえば仕方がない。


 勉強はともかく喧嘩に明け暮れているのは本当のことだったし、彼女以外の人間と打ち解けようとしてこなかったのも事実なのだから。


 そして、ランク付けされた人間は同じランクの人間と付き合うべきだと周囲から干渉される。


 美人にはイケメンを……


 普通の奴には普通の男を……


 ブスには不細工を……


 本当に余計なお世話である。


 誰が誰と付き合うかなんて、そんなの当人同士の自由だと思うのだが……


 周囲は不釣り合いな恋愛を認めない。


 特に彼女のことを大切に思う親友や彼女のことを狙っているランクの高い男子からの批判が強かった。


 そう言った批判の声を力で押さえられるのは小学校までだった。


 彼女の友達に暴力を振るえば彼女を悲しませてしまうし、クラスの人気者に暴力を振るっても悪評が立ち、周囲からの風当たりはより一層厳しくなってしまう。


 つまり、ここから先は戦い方を変えなければならなかった。


 そこで俺は今までに見たことのないようなファッション雑誌や他人が興味を持つような雑学について猛勉強して、できる限り『親友』と呼べる仲間を増やして俺に加担してくれる人間を増やしていった。


 その苦労の甲斐もあって俺のランクは『Dランク』から『Bランク』まで上昇した。


 その結果、彼女の傍にいても文句を言われることは少なくなった。


 彼女の正式な彼氏という立場ではないにしろ親友という関係は保てるようになっていた。



 そして、次の難関は進学の壁であった。


 彼女は頭がトップクラスに良かったため、県内でも有数の名門校に進学する予定だった。


 俺の学力ではとても狙えるような学校ではなかったが、彼女と離れ離れの学校になりたくなくて必死で苦手な勉強にかじりついた。


 だが、今回ばかりは努力や気合いだけではどうにもならないことであった。


 雑学を身に付けるのと違って勉強の方は積み重ねが必要であり、身体を鍛えるようにやればやっただけ知識が身に付くものでもなかった。


 勉強は知識を蓄積して、その知識を応用して様々な解答に辿り着かなければならない。


 つまり……一朝一夕で何とかなるものではないのだ。


 その事実に絶望した。


 いくら知識を身に付けても俺の頭の中では理解できないという拒絶反応が起こるばかりでちっとも身に付かなかった。


 正直、彼女と一緒の高校に行くのを諦めようと思った。


 だが、そんな俺に救いの手を差し伸べてくれた者がいた。


 それは大好きで大切な彼女だった……


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― 新着の感想 ―
[良い点] 第一話読みました! これからの展開がすごく気になりますね^^ [一言] ネタバレにならなければ、本企画のテーマである『私の神シチュ』『萌え恋』について教えてください。 明日の活動報告で作品…
[一言] スクールカーストってやつですね。 主人公の心の声はよく分かるのですが、「彼女」のほうがどう考えてどう悩んでいるのか見えてこないのが肝っぽいですね。 今後の展開を楽しみにしております。
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