冥界とレアモンスター
ロンズデーライト兄弟によって連れ去られた華琳を救うべく彼らの拠点である冥界へ向かう一刀達
しかし、そこへ向かうには闇属性の悪魔族のモンスターが必要ということで一刀以外闇属性の悪魔族を持つことを禁忌(してはいけないこと)としている魔法使いは窮地に立たされるなか
エリスが闇属性の悪魔族ヴリトラと契約していたのを告白したことにより冥界に行けることになり、一刀、マリア、エレナ、風羅、炎夢、アンソニーは冥界へ向かったのだった。
そして
・冥界
ブゥンッ!
冥界の空に一つのゲートが出現すると
「うわぁっ!? 」
ゲートから一刀が落ち
「きゃっ!? 」
「わっ!? 」
「やっほーいっ! 」
「とっ! 」
「どわぁっ!? 」
マリア、風羅、炎夢、エレナ、アンソニーの順に次々とゲートから出てきた。
「いてて、ここが冥界か? 」
「そのはずですけど 」
「すっごーい!おやつ持ってくればよかったよ 」
「炎夢さん、あまりはしゃいじゃダメです 」
「あなた達ったら 」
一刀以外の皆が話すなか
「お前ら、人の上で楽しく会話するんじゃねぇ! 」
『あっ 』
一番下にいる一刀が叫んだのだった。
「悪い悪い一刀 」
「私としたことがついはしゃぎすぎてしまったようですね 」
「もっと上にいたかったのに~ 」
「ははは┅ 」
アンソニー、エレナ、炎夢、風羅が降りていき、残るはマリアだけとなったその時
「重い~!俺の背に乗っているのが一番重い~! 」
一刀が背に乗るマリアに対して冗談的にそう言った瞬間
ボッカァーンッ!☆ミ
「乙女に向かって重いとは何よ! 」
「ぐふぅっ!? 」
一刀は怒れるマリアに殴られたのだった。
それから少しして
「おいおい、俺達がやって来たゲートが完全に閉じちゃったけど帰れるのか!? 」
帰りを心配するアンソニーであったが
「ゲートを開くには魔力を流し続けなければなりません。私達が冥界にいる間ずっとエリスさんとライラさんがずっと魔力を流し続けるわけにはいかないですからね。帰りの際には通信用魔法道具がありますので連絡してゲートを開けてもらうわけですよ 」
とエレナが言うので大丈夫であった。
すると
「とにかく冥界に着いたわけだし、さっさと華琳を見つけないとな。というわけで┅ 」
一刀は指を鳴らして箒を出現させると
「まずは空から探してみるぜ! 」
「ちょっと待ちなさいよ一刀!? 」
「待てるかよ! 」
マリアの制止も聞かずに箒にまたがって空へ飛び立とうとする一刀であったが
「あれっ?飛ばないな、故障か? 」
箒は空高く飛ぶどころか浮かぶことはなかった。
「あのねぇ、冥界じゃ箒が使えないって常識よ 」
「授業で習っているはずですが 」
「うっ!? 」
マリアとエレナに突っ込まれる一刀
もちろん一刀が授業を聞いているはずがなかった。
「まさか知らないのは俺だけってことは┅!? 」
一刀はお馬鹿仲間であるアンソニーの方を向くが
「すまん。俺も知ってる 」
見応えアンソニーに裏切られてしまった。
ちなみにアンソニーも授業を真面目に聞いておらずたまたま人が話しているのを聞いたのが頭に残っていただけである。
「くそっ!俺だけ知らないだなんて仲間外れかよ 」
「ちゃんと授業を聞かないあんたが悪いんでしょうが! 」
一人不貞腐れる一刀に突っ込むマリア
「くそっ!どうせ俺は馬鹿ですよ! 」
ドカァッ!
腹いせに一刀は近くにあった大きな岩に蹴りを食らわした。
「いててっ、やけに固い岩だな 」
岩が固すぎて逆に足を痛めてしまう一刀
すると
ゴゴゴッ┅
「へっ? 」
岩がひとりでに動き出したかと思うと
ゴホホッーーッ!!
岩が巨大ゴリラへと変化した。
「何だよこれ!? 」
見知らぬ生物に一刀が驚くなか
「すげぇ!こいつはオリハルコング。オリハルコンの体を持つゴリラで、魔法世界じゃ滅多に見られないレアモンスターだぜ! 」
アンソニーがモンスターについて解説した。
「何であんたがモンスターについて詳しいのよ! 」
マリアがアンソニーに聞くと
「実は最近モンスターマニュアルを購入してな、レアなモンスターは暗記してるんだぜ! 」
最近モンスターマニアとしての一面が芽生えてきたアンソニー
勉強の成績は一刀と同じで最下位級だが一部についてはマリアやエレナよりも賢いアンソニーであった。
それはさておき
ゴホゴッホーーッ!
「おい、このゴリラ怒ってるようだけどどうしたんだ? 」
一刀がアンソニーに聞くと
「え~と確かオリハルコングは普段は大人しいけど体の輝きに自信を持っていて体を汚す相手には激怒するって書いてたな 」
そう。さっき一刀が蹴った際にオリハルコングの体が汚れてしまい、ゴリラはその事に激怒しているのだ。
「確か体をきれいにすれば大人しくなるぞ! 」
「そうか、わかったぜ! 」
アンソニーからの言葉を聞いた一刀は
「水よ、放たれよ!アクア・バレット! 」
ゴリラに向けて杖を構え、水を撃ち出す魔法を繰り出そうとするが
しーんっ┅
魔法は出なかった。
「何やってるのよ一刀! 」
「おかしいな?杖が壊れたのか? 」
魔法が繰り出せないことに対して一刀に突っ込むマリア
しかし、箒で空が飛べないのと同じように冥界では魔法が使えないわけではない。
その原因は┅
「たぶん原因はあれだね~ 」
炎夢が指した方向を見てみると
パアァーーッ!
空に薄ピンク色のオーロラが発生していた。
「あれはマジカルオーロラ!?こんな時に出現するだなんて!? 」
エレナが驚いた様子でそう言った。
このオーロラはマジカルオーロラといってオーロラから発生する波が魔力を妨害し、魔法の発動や召喚獣の召喚を不能にする魔法使いにとって厄介な自然現象である。
自然にほっといても約1~2時間くらいで消えるのだが
これは一刀達に最大の窮地が訪れていたことを意味していた。
何故ならば┅
ゴホゴッホーーッ!!
目の前には体を汚されたことで怒るオリハルコング
汚れを落とすには水が必要であり、マジカルオーロラのせいで水魔法や水属性の召喚獣を呼ぶこともできず近くに川や池はなく、更に急いで冥界に来たため水筒すら持ってきていない
これが意味することは┅
「に┅逃げろーっ!? 」
怒れるオリハルコングとの逃走劇を意味していた。
「風羅、お前の格闘技でゴリラを倒せよ!? 」
「無茶言わないでください!? 」
一刀の言葉を断る風羅
いくら風羅が格闘技の使い手であってもゴリラ相手には敵わなかったりする。
冥界では箒が使えず、懸命に走りながらオリハルコングから逃げる一刀達であったが
敵はオリハルコングだけではなく
ギャシャアァーーッ!!
別のモンスターまで出現してしまった。
「あれはサンドワーム!?穴に潜みながら獲物を狙うムカデ型のモンスターです!? 」
名前はエレナの言う通りなのだが
「すっげぇ!魔法世界じゃ精々3メートルなのにこいつは10メートル以上はあるぜ! 」
「興奮してる場合か! 」
未知のモンスターとの遭遇に興奮するアンソニーを注意するマリア
オリハルコングに加え、サンドワームからも逃げることになった一刀達
それから少しして
「はぁはぁ、何とか撒いたな!? 」
一刀達は何とかオリハルコング達から逃げきった。
「と┅とりあえずここまで逃げればしばらく見つからないよな!? 」
「魔法さえ使えれば何とかなったかもしれないんですけどね 」
とりあえずは安心できると思うアンソニーと風羅であったが
「でもここって逃げた先には向かない場所だよね~ 」
『えっ!? 』
一刀達は逃げることに夢中だったため、炎夢に指摘されるまで気付かず、ようやくここがどこだが気付いたのだが
ここは┅
「墓場じゃねぇかぁーっ! 」
一刀が叫ぶようにここは墓場であった。
「馬鹿!オリハルコング達に気付かれたらどうするつもりよ! 」
「おっといけねぇ 」
一刀が叫んだことを注意するマリア
「おいおい、まさか墓場だけにスケルトンやゾンビとかが出てくるんじゃないだろうな!? 」
ビビりまくるアンソニー
その程度のモンスターならば現れてもかわいいものであったが
現れたのは┅
タマシイヨコセー
「死神かよ!? 」
三体の死神の出現に驚き叫ぶ一刀
死神。それはスケルトンやゾンビの方がまだマシというくらいのモンスターであった。
「すっげぇ!物理攻撃が一切効かず、その鎌に触れたものの生命力を奪うとされるレア中のレアモンスターの死神!まさか出会えるなんて感激だぜ!それも同時に三体もだなんて! 」
「感激してるばあいじゃないでしょ! 」
興奮し、感激するアンソニーに突っ込むマリア
しかも恐ろしいことに┅
ゴホゴッホーーッ!!
ギャシャアァーーッ!!
一刀の叫び声を聞いてオリハルコングとサンドワームまでこちらに来ようとしていた。
「何叫んでるのよ一刀! 」
「死神を目の前にして叫ぶなって方がおかしいだろ! 」
「二人とも、こんな時に言い争いしてる場合じゃありません! 」
揉める一刀とマリアを仲裁するエレナ
前門の虎後門の狼ならぬ
前門の死神後門のオリハルコングとサンドワームに囲まれてしまった一刀達
マジカルオーロラによって魔法を使うこともできずこのままではただ死を待つのみ
「冥界に来てもう最終回かよ!? 」
短い間でしたがありがとうございました。
西森の次回作をお待ちください。
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・・・・・・
・・・
と思われたその時だった。
「あれな~に~? 」
炎夢が空を見上げながら言うと
ゴォッ!
光り輝く何かが一刀達目掛けて落ちてきたのだ。
「隕石か? 」
「それにしては小さいわ 」
「流れ星でしょうか? 」
皆がそれぞれ思うなか
ドォーーンッ!!
空から落ちた何かが一刀達の目の前に落ちると
そこにいたのは┅
「何だあれ? 」
「黒いポーンアーマー? 」
「あんなモンスター見たことないぞ 」
一刀達の目の前に全身に黒い鎧を身に纏った何かが現れたのだった。