無魔力体質と魔獣外装
些細なことで華琳と喧嘩してしまった魔法使いの北郷一刀
そして二人が離れたところへ魔法世界を襲撃した脱獄犯ロンズデーライト兄弟と遭遇し、華琳は気を失って連れ去られようとしてしまうも間一髪で一刀が空から現れたのだった。
「んん~っ!ぶはぁっ!苦しかった!? 」
地面に激突した際に頭が地面に埋もれてしまった一刀が頭を引き抜くと
「なぁゴルド兄、本当にあの魔法使いがサタンを倒したのか? 」
「わたしには単なるお馬鹿にしか見えませんけれど 」
「もしかしたら魔法使いの奴らは嘘をついたのかもしれないな 」
あまりの一刀の情けなさに疑い始めるゴルド、ブロン、プラナに対し
「失礼なことを言うな!誰だか知らないが本当に俺がサタンを倒したんだい! 」
ムキになって反論する一刀
「本当か? 」
「本当だっての!あのサタンなんか指一本で倒してやったぜ! 」
疑うゴルドに対してそう答える一刀
それにしてもいくらなんでも話が大きくなりすぎである。
「まぁ貴様がサタンを倒した奴だろうと興味はない。この女は連れていく 」
華琳を連れてそのまま去ろうとするロンズデーライト兄弟であったが
「待てっ!華琳を連れてかれてたまるか! 」
そうはさせまいとばかりに一刀が止めた。
「ほう。この女は貴様にとってそれほど大切か? 」
ゴルドがそう言うと
「あぁ、大切な女だよ! 」
一刀はそう返すが
「だって近々給料日なんだぜ!華琳がいなきゃ給料貰えないからな! 」
最低な発言であった。
「とにかく!華琳を連れていくってんならお前ら三人くらいまとめて倒してやるぜ! 」
一刀が指を突きつけながらゴルド達三人に向かって言うと
「三人だと?何を言っている? 」
「俺達は四兄弟だぜ! 」
「数も数えられないだなんてやはりお馬鹿のようね 」
一刀を馬鹿にした
「何を言ってやがる!一人は俺がブッ飛ばして┅ 」
そう。確かに残る一人であるシルバは一刀が繰り出した魔力弾をまともに食らって戦闘不能になっているはずなのだが
その時
「いたたっ┅兄さん!また僕を盾にするだなんて酷いよ! 」
一刀の攻撃を食らったはずのシルバが平気な姿で起き上がってきた。
「なっ!?どうなってんだよ!?ダメージ受けてないだけならまだしも何で服まで焦げてないんだよ!? 」
シルバが無事であったことに驚きまくる一刀
「だって僕は┅ 」
シルバは自分自身が何故攻撃が通用しなかったのかを話そうとするが
「わかった!寸前で避けやがったな! 」
「えっ?ちょっと┅ 」
一刀の指摘した点が間違いであることを教えようとするシルバだが
「お前の話しなんか聞くか!飛び道具がダメだってんなら接近戦だい! 」
一刀は杖に魔力を込めると
「我が魔力、杖に宿りたまえ!マジックソード! 」
ジャキンッ!!
魔力を杖に集めることで剣となる魔法剣・マジックソードを発動した。
マジックソード
接近戦が不得意とされる魔法使いが使う魔法
だが、とある理由からあまり使用する魔法使いは少ない
「食らいやがれ! 」
マジックソードを構えた一刀はシルバに向かい
「おらぁっ! 」
一撃を繰り出した。
だが
「ねぇ君、人の話は最後まで聞くものだよ 」
「なっ!? 」
何と!?一刀が繰り出したマジックソードはシルバに当たろうとした部分のみ消滅してしまったのだ。
「僕はね、無魔力体質なんだよね 」
「何だって!? 」
シルバの言葉に驚く一刀
無魔力体質とは文字通り魔力による攻撃が一切通じない体質である。
一見無敵のようだが実は自身も魔法が使えず、休めば回復するという魔力も回復できず、生まれもって持っている魔力しか使用できないという魔法使いにとっては問題にしかならない体質である。
つまりシルバには魔法による攻撃が一切通じないのだ。
「お分かりかな? 」
「テメェ!!! 」
一刀を小馬鹿にするようなシルバの態度に怒りまくる一刀であったが
その時!
「ハァハァッ┅!? 」
突然一刀が膝をついて倒れてしまった。
実は一刀が発動させたマジックソードにはとある欠点がある。
それは発動中の間はずっと魔力を出し続けなければいけないため発動時間が長ければ長いほど魔力を大きく消耗するのだ。
「あのさぁ、倒れているところ悪いんだけどさ 」
そしてシルバは膝をつく一刀に対し
「君、さっき僕を斬ってくれたよね。だから僕も君を斬らせてもらうよ 」
レイピアを構えると
「ソニックレイド! 」
「へっ? 」
シルバは一刀に対して高速でレイピアを振りまくり、レイピアを腰に収めた直後
「がはぁっ!? 」
一刀の体に無数の傷痕ができ、一斉に血を噴き出した。
「僕の動きは誰にも見切れないのさ 」
「く┅くそっ┅ 」
一刀を馬鹿にするシルバ
すると
「シルバ兄、一人だけ遊んでずるいぜ! 」
「うおっ!? 」
突然ブロンが現れ、一刀の頭をつかんで持ち上げた。
「お前、たくさんの召喚獣を持ってるらしいじゃねぇか、俺にも見せてみろよ。それとももう魔力が尽きたのか? 」
ブロンは一刀を挑発すると
「だったら見せてやるよ木偶の坊! 」
一刀は密かに召喚リングを填め
「いでよサラマンダー! 」
ケロローッ!
炎を吐く召喚獣サラマンダーを召喚し、ブロン目掛けて炎を繰り出させるが
「ゲゲゲッ!? 」
何と!?ブロンは避けるどころか大口を開けて炎を飲み込んでしまった。
すると
めきめきっ!
「な┅何だ!? 」
ケロッ┅!?
ブロンの体が変化していくことに驚く一刀とサラマンダー
そして
ジャキンッ!!!
ブロンはサラマンダーのごとく全身に赤い鱗を纏った姿に変貌してしまった。
「驚いたか俺は召喚獣やモンスターの攻撃、血肉を食らうことで体を強化させることができる個人魔術・魔獣外装を持っていてな、俺には召喚獣による攻撃は一切通用しないぜ! 」
恐ろしい能力である
「おらよっ! 」
「うわっ!? 」
ケロッ!?
そしてブロンは一刀とサラマンダーを投げると
「お返しだぜ! 」
ゴオオオォォォーーーッ!!!
「うわあぁーーっ!? 」
ケロローッ!?
サラマンダー顔負けの炎を一刀とサラマンダー目掛けて繰り出した。
「けほほっ!?く┅くそっ┅!? 」
サラマンダーが盾となってくれたおかげで一刀には最小のダメージしかないものの、力尽きたサラマンダーは召喚リングに戻ってしまった。
とそこへ
「弱すぎですわね 」
一刀の目の前にプラナが現れた。
すると
「こうなったらお前だけでも倒してやるぜ!食らえっ!接触厳禁! 」
一刀はプラナ目掛けて特殊な魔力弾を放った。
接触厳禁
一刀が5つ持つ個人魔術のうちの一つで特殊な魔力弾を相手の持つ装備(衣類含む)に食らわし、一刀が指を鳴らすことで相手はその装備を一刀が魔法を解くまで装備できなくする魔法である。
だが一刀はこの魔法を主に衣類に食らわせることで相手(女子限定)の下着姿やポロリを目撃することを企んでいた。
ちなみに初期では発動するとお仕置きの雷撃が一刀に襲いかかったが現在ではライラによって解除されている。
案の定、一刀が放った特殊魔力弾はプラナの衣類目掛けて向かっていったが
「あなたのその下品な魔法は存じていますわ 」
プラナはパラソルを構えると
バシンッ!
「えっ?ぎゃあっ!? 」
パラソルを回して一刀が放った特殊魔力弾を一刀に跳ね返した。
パチンッ!
「やべっ!? 」
そして一刀はおもわず指を鳴らしてしまい
バババッ!
「いや~ん! 」
接触厳禁が発動してしまい、一刀は全裸姿になってしまった。
「ふんっ!少しはあなたに脱がされた女の子の気持ちがわかったかしら 」
「く┅くそっ┅ 」
一刀を馬鹿にするプラナ
そしてこの時、一刀は戦いで負けた悔しさよりも女に接触厳禁を食らわせることができなかったことに悔しさを感じていた。
これで残るはゴルドのみとなったのだが
「お前達、いつまで遊んでいる!もうこの世界に用はないのだからとっとと帰るぞ! 」
一刀と戦わずに華琳を連れて去ろうとするゴルド
「ま┅待て、このミイラ男!華琳を返せ! 」
そうはさせまいと一刀は既にボロボロでありながら華琳を連れていかせまいとゴルドの足をつかんだ。
「もはやお前が本当にサタンを倒した魔法使いであろうが関係ない。この女がいればいいのだからな 」
そう言いながら一刀に華琳を見せるゴルド
「それにお前にとってこの女は給料袋のようなものなのだろう。なら俺が数倍の金を出してやる。だから大人しくして┅ 」
ゴルドが一刀にそう言ったその時
「ふざけるんじゃねぇ! 」
ゴルドの足をつかむ一刀の力が強まった。
それを感じたゴルドは
「前言撤回だ。少しだけ遊んでやるとしよう 」
パチンッ!
ゴルドが指を鳴らした瞬間
ゴゴゴッ┅┅!!!
空から大きな黒い隕石が落ちてきた。
「ブラックメテオ。貴様がこの一撃に耐えられたのならばこの女を取り戻しに来るといい、言っておくが助けを求めようとも無駄だ。この周囲一帯に隠蔽の魔法をかけてあるからな 」
「なっ!? 」
ゴルドの言葉に驚く一刀
「それでは失礼する 」
スゥッ!
そしてゴルド達は華琳を連れ去っていき
「ま┅待ちやがれ!? 」
まともに動けない一刀は華琳が連れ去られるのを黙って見ているしかできないのだった。
ゴゴゴッ┅┅!!!
そうこうしている間にも隕石が落ちてようと迫っており
「ち┅ちっくしょーーっ!!! 」
ドッカアァーーンッ!!!
一刀は隕石に潰されてしまうのだった。
一方
自分達の世界に帰ろうとするゴルド達ロンズデーライト兄弟
その道中
「ゴルドお兄様ったら人が悪いですわね 」
プラナがゴルドにそう言うと
「何がだ? 」
ゴルドがプラナに聞き返した。
「だってあの馬鹿な魔法使いが生きていたとしても私達の世界には絶対来ることができませんもの 」
「それならそれでいいだけだ。だが、奴ならどんな手を使ってでも俺達の世界に来るような気がする。ただそう感じただけだ 」
プラナの言葉にゴルドはそう返すのだった。