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サポートキャラ はじめました  作者: 名月ふゆき
第1章 サポートキャラはじめました
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第4話 ネム、初めてのダンジョン!



 サポートの森でモンスターを狩ること2時間。僕のステータスはかなり上がった。

 サポートキャラのインフレを起こすのを避けるためにSTR(物理攻撃)INT(魔法攻撃)の合計値が300以下となっている。


 ランクを上げると撃破した方法によってステータスが上がるので、このまま物理攻撃を使わなければINTが300となって成長が止まる。

 ちなみにトッププレイヤーのINTは9000ぐらいなので僕の30倍ぐらい。INT300は初心者の極振り値とされている。


 そんな低いステータスな為、初心者をお助けするキャラという意味を込めて『サポートキャラ』と言われてる。



「今日はだいぶ上がったね。……あれ?」

「?」



 シラユキが何かに気づいたような顔をしたけど、僕はよくわからなかったので首を傾げた。



「アレなんだろ……?」



 僕はシラユキが指さした方向を見た。

 そこには怪しい雰囲気を出した1つの洞窟があった。



「……もしかして『ダンジョン』かな?」



 『ダンジョン』というのはゲーム内に不特定多数存在していて、中にはステータスが変動するものや状態異常による縛りなども存在する。

 1度クリアするとそのダンジョンは消滅し、数日後に同じエリア内で場所を変えて出現する。

 クリア報酬は挑んだ人数によって変動するが、1人でクリアなどトッププレイヤーでも成し遂げたことがない。基本的に不可能なのだが……



「ダンジョン内の状態異常無効。サポートキャラの全パラメーター5倍で与えるダメージが50倍!? しかもプレイヤーが受けるダメージと与えるダメージは0!?」



 今の僕たちがやらない理由は無かった。

 何故なら僕は【破壊不能】キャラ。シラユキが倒されない限り消えることはない。

 そしてそのシラユキはダンジョン内でダメージを受けない。

 つまり()()()()()()()()()()



「今日はもう遅いんだけど……」



 僕とシラユキは偶々(たまたま)このダンジョンを見つけたのだ。もう一度ここに来られる自身はない。

 ギルドに所属している場合、街の外でログアウトするとギルドハウスに帰されるのだ。

 なのでログアウトしてまた明日ということはできない。



「まあ、明日は日曜日だしいっか! よし、行こうっ!」



 僕とシラユキはダンジョン内に入った。

 すると僕のAGIが5倍になって急加速して壁にぶつかった。



「痛いっ……」

「よしよし、ゆっくり行こうね?」



 僕はシラユキに抱き上げられ、頭を撫でられた。

 そして、シラユキに抱き上げられたまま奥へと進んで行った。



『グルルルルルゥゥゥ……』

「【ウィンドカッター】!」



 シラユキに抱き上げられたまま魔物に向けて【ウィンドカッター】を放つ。

 すると先ほどのサポートの森よりも多くの経験値が手に入った。

 実は【ウィンドカッター】が使えるスキルの中で1番のお気に入り。


 そうして進むこと60分。この短時間でランクがD+に上がり、各スキルレベルが1つずつ上がった。



「見て見て! ボス部屋だよ! 私たちここまでたどり着いたよ!」



 ボス部屋への扉を見つけて興奮しているシラユキ。だがこのダンジョン、プレイヤーはダメージを受けないので来るだけなら誰でもできるのだ。


 僕はその思考をソッと胸の中にしまってシラユキから降りる。

 シラユキは扉に手を置いて押すが、扉はびくともしなかった。



「……あれ? 開かないよ? え? どうして……?」



 シラユキは扉が開かないことを不思議に思い、首を傾げているが、僕の曇りなき眼にはシラユキの右横に1つの看板があった。

 何故彼女はこんなものすら見つけられないのだろうか……?



「アレ」



 僕は近くにあった看板を指さしてシラユキに伝えた。

 看板の内容はサポートキャラが扉に触れないと鍵が開かないとのこと。


 シラユキが僕の手を扉に触れさせると扉の鍵がカチッと開く音がした。

 そして、扉が自動的に開いた。



「開いたぁ!! みんな開いたよぉぉ!!」



 シラユキが独り言をし始めて遂に壊れたかと思ってたが、シラユキの周りに撮影用のカメラが飛んでいたので動画撮影でもしてるのだろう。

 僕は少し安心してため息をついた。


 今頃コメント欄でこの動画を見ているシラユキのアンチ勢が『お前何もしてねぇだろwww』とか呟いてるのが目に見える。



「ネムちゃん、行くよ! みんな見ててね!」



 僕はシラユキに速度を合わせて中に入る。

 すると扉が勢いよく閉じた。



「ぴゃっ!?」



 僕は扉の閉まった音に肩を震わせた。シラユキは驚いて声を出していた。

 すると目の前にある沼から頭が3つある竜が出てきた。



「どうしよう!? 『ミツマタノオロチ』だよ!? ネムちゃん、頑張って!」

「【ウィンドカッター】!」



 ミツマタノオロチと呼ばれた竜の3つある首のうち1つが【ウィンドカッター】であっさりと消えた。

 思ったよりも硬くないのかと思っているとミツマタノオロチに変化が見られた。

 何というか鱗がウネウネして気持ち悪い。早めに終わらせてしまおう。



「【ウィンドカッター】!!」



 今度は2発連続で放った。これで勝ったかと思いきや、ミツマタノオロチは耐性を持ったのか【ウィンドカッター】が容易く防がれてしまった。



「……え?」

「頑張れっ! 頑張れっ! ネムちゃん!」



 端っこで1人応援してるだけのシラユキ。ムカつくけどいま彼女は何も出来ないゴミクズなので放置することにした。

 するとミツマタノオロチが反撃に出たようで尻尾で潰そうとしてきた。



「きゃっ!? ふぅ、危なかった……」



 思ったよりも女の子っぽい声が出た。

 いくら【破壊不能】で死ぬことがないとはいえ、心臓には悪いので、なるべく攻撃は受けたくない。でも「きゃっ!?」って……



「【ファイアボール】!」



 ミツマタノオロチのHPゲージが少し削れたが、そこまでのダメージは入ってない。

 そんな時だった。僕は以前アニメで防御に極振りした人が毒蛇(ヒドラ)を食べてるシーンを思い出した。

 僕の中には2つの選択肢が出てきた。例の少数派(マイノリティー)多数派(マジョリティー)かのヤツだろう。



 ━━━━ミツマタノオロチを食べますか?


   【補食する】 【補食する】



 選択肢が同じ……!? 多数派も少数派も関係無くない!?

 僕には補食する以外の手段はなく、仕方なくミツマタノオロチをいただくことにさせてもらい、僕はミツマタノオロチにかぶりついた。







 名称 ネム(サポートキャラ)


 ランク:D+ 管理者との親密度:35%


 解説:人気VTuber『シラユキ』の可愛い妹。触れた異性を【魅了】にする。


・特性:【自動魅了付与】、【破壊不能】


・パラメーター


 STR(物理攻撃):0

 INT(魔法攻撃):120

 AGI(俊敏性):350 ※管理者(マスター)の値に依存する

 DEX(命中率):80%


・スキル(10枠中3枠使用中)


 【ファイアボール Ⅱ】 :火の弾を作り出し、敵を燃やす。(射程距離 20m)

 【ウィンドカッター Ⅳ】:超振動により強靭な刃を放つ。(射程距離 100m、距離50m以上で徐々に威力減少)

 【アイスランス】:氷柱を作り出し、敵を貫く。(射程距離 10m)


・装備品


 【契約の腕輪】:2つで1組の腕輪。これを付けたものたちは互いに必要不可欠なパートナーとなる。


・固有スキル


 ーーーーLv.0



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