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僕は二人の君に恋をした  作者: ラリックマ
僕と彼女と彼女
8/12

二重人格

「な、なんのことですか……? 僕はただこの道を通っただけですよ……。追いかけられてるなんて……ちょっと自意識過剰なんじゃないですか……?」


 僕はおびえながらも必死に言い訳をする。

 いつからばれていた?

 もしかしてあの信号からばれていたのだろうか……?

 というか何故ばれた?

 こんなに暗いし、距離も十分とって追いかけていた。

 ばれる要素は一つもなかったはずなのに、どうしてばれてしまったんだろう……?

 僕は焦りと疑問で内心生きた心地がしなかった。

 もしかしたら明日にはストーカー野郎としていじめられてしまうかもしれない……。

 僕は冷静を(よそお)いつつ、目を逸らすように斜め下を向いていた。

 すると笹川詩織は、ドンっと大きく一歩ほどこちらに寄ってきた。


「ふーん……。あくまでしらを切るつもりね……。言っとくけど、どんなに言い訳をしても無駄よ。あなたが最初からつけてきてるのなんて分かっていたから、あらかじめ携帯で撮影していたの」

 

 ……。

 笹川詩織のその言葉に僕は絶望した。

 もうだめだ。

 多分明日から変態ストーカ-眼鏡としていじめられながら生きていくんだ……。

 どうして笹川詩織を追いかけようなんて思ってしまったのだろう……。

 あの時笹川詩織が話しかけてこなければ、こんな過ちを犯すこともなかったのに……。

 そうだ……。

 もとはと言えば全部こいつが悪くないか……?

 コイツが朝話しかけてこなければ、こんなことにはならなかった。

 そう思うとだんだんとむかついてきた。

 

「僕は確かに君のことをストーカーしました。だから何? 学校の奴らに言いふらすの? 別にいいさ、今更どう思われようが知ったことじゃない! 僕にはもう失うものなんて何もないんだから!」


 開き直ったように、僕はそう言ってやった。

 さすがの笹川詩織もこれには驚いたのか、口を歪めていた。

 

「あなた、急に別人のようになったわね……。もしかして二重人格? それとも精神病じゃないの?」


 冷たい声でそう言ってくる笹川詩織だが、それだけはコイツに言われたくない。


「二重人格って、君の方こそそうじゃないの? 昼間と性格が全然違うじゃないか」

 

 今の笹川詩織と昼間の笹川詩織は全く性格が違う。

 きっと普段は猫を被っていて、今が素の状態なのだろう……。

 ここまで性格が変わってしまうなんて、女は怖いと思った。

 僕が笹川詩織にそう言い返すと、言われた笹川詩織は図星をつかれたような顔になった。


「に、二重人格って、あなた中二病じゃないの? そ、そんな人いるわけないじゃない」


「いや、二重人格の人は実際に存在するけど……」


 明らかに動揺していた。

 もしかして本当にそんなことがあるのか……?

 確かに昼間と性格が全然違うけど、まさかそんなこと……。

 っと思ったが、笹川詩織の顔はみるみるうちに青ざめていっていた。

 え?

 本当にそうなの?

 自分から僕に二重人格とかいっといて、自分がそうなの?

 だとしたら相当頭が悪くないか?

 僕は笹川詩織の方をじーっと見ていると、笹川詩織はいきなり僕の腕を掴んで走り出した。


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