表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕は二人の君に恋をした  作者: ラリックマ
僕と彼女と彼女
4/12

質問の意図

「はぁ……」


 学校に着くなり勝手に大きなため息が出る。

 でもこれはいつも通りだ。

 いつも校門を抜けるとだいたいため息が出てしまう。

 もはや癖を通り越して習慣となりつつある……。

 そんな気分が優れないまま、僕は自分の教室へと足を運ぶ。

 教室に着いた僕はいつも通り、椅子に座ると塾の教材を出す。

 そして塾で出されていた課題を進める。

 家では授業の復習をして、学校では塾の課題をやる。

 この勉強サイクルを僕はもう一年ぐらい続けている。

 これほど有意義な時間の使い方は他にないと断言できる。

 早速勉強に取り掛かろうと、鞄の中から筆箱を取り出して時間を確認するために時計の方を見ると、その前に立っていた笹川詩織と一瞬だけ目が合ってしまった。

 ほんの一瞬なのだが、僕はすぐさま目を()らすように机の方を向いた。

 そして勉強に取り掛かろうとしたとき、前の方からすたすたと歩いてくる足音が聞こえた。

 そしてその足音は僕の机の前で止まると。


「ねぇ……」


 っと、僕のことを呼んだ。

 だが誰だ?

 というか本当に僕を呼んでいるのか?

 何の用があって?

 もしかしたら僕の近くにいる生徒に話しかけているのかもしれない。

 もし僕が声の主の方を向いたら、何勘違いしてんだ? っと思われるかもしれない……。

 そうだ。

 多分僕の近くの生徒に話しかけているんだ……。

 僕は微動だにせず、勉強の続きを始めようとすると。


「おーい。二年E組出席番号3番の秋口勇気くん。聞こえてるんでしょー?」


 今度は確実に、丁寧にクラスと出席番号まで言って僕のことを呼んだ。

 さすがに動揺した僕は、その声の主の方を見るとあの笹川詩織が僕の目の前に立っていた。


「え、あっと……なんですか……?」


 普段家族以外の人間と喋らないので思わず敬語になってしまった……。

 僕があたふたと慌てていると、笹川詩織はにこっと小さく微笑むと。


「別にそんな緊張しなくていいよ。一つ君に聞きたいことがあるんだけどいいかな?」


 そう聞いてきた笹川詩織は、僕の目を真っすぐ見て。


「昨日の放課後さ、どこかで会わなかった?」

 

 っと聞いてきた。

 なぜこんなことを聞いてきたのかよくわからないが、確かに昨日僕と笹川詩織は一応会っている。

 あれを会っていると言っていいものなのか分からないが、とりあえず昨日僕はコンビニで笹川詩織を見かけた。

 でもあっちの方は覚えてなさそうだし、僕だけが一方的に覚えてるというのはなんか負けた気がするので。


「いや……。多分……会ってないと思います……」


 っと返す。

 そういうと笹川詩織は、そっかと言って自分の席の方に戻っていった。

 何だったんだいったい。

 何であんなことを聞いてきたんだ?

 僕は彼女の質問の意味が全く分からずに、少しの間混乱していた。

 でも考えるだけ無駄だと思った僕は、また塾の課題を進め始める。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ