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僕は二人の君に恋をした  作者: ラリックマ
僕と彼女と彼女
12/12

開けられた扉

 屋上に入るための大きな扉が、ギギギと鈍い音をたててゆっくりと開いていく。

 いったい誰がこんなところに?

 もしかして僕と同じで、一緒に食べる人がいないからここに来たのか?

 だとしたらまだいいのだが、問題は複数人だった場合だ。

 もしかしたら陽キャとか言われてるうるさい集団たちが、ここを嗅ぎつけてきたのかもしれない。

 そうだった場合、僕は今後二度とこの場所には来れない。

 陽キャたちがワイワイ騒いでる横で、一人弁当を食べるなんてことは僕には出来ない。

 そんな度胸があったら、今頃友達ぐらい出来ている。

 っと、ごちゃごちゃと考えているうちに、屋上の扉は完全に開かれた。

 そしてその開いた扉から、ひょこっと顔が出てきて。


「あ! やっと見つけたよ」


 僕を見るなりそう言った。

 

「…………」


 そして僕は、その声の主を見て思わず絶句して、持っていた(はし)を地面に落としてしまった。

 何でコイツがここに……。

 僕が今地球上で一番会いたくない奴が、僕の昼食を狙ってきやがった。

 そしてその声の主は、扉から出てくると僕の方に近づいてきた。


「ねぇ秋口君。となり、いい?」


 にっこりと笑った表情で、その少女は僕の許可なしに僕の隣に座ってきた。

 そしてその少女は、屋上の柵に手をつけて。


「いい景色だね」


 っと言ってきた。

 何なんだコイツはいったい?

 何が目的で僕の所に来たんだ?

 まさか僕と仲良くなりたくて来たわけじゃないだろう……?

 僕は落ちた箸を拾うと、その少女の顔を見てある質問をする。


「何か用なの? 笹川さん」


 僕は少し声を低くしてそう聞くと、笹川詩織は困ったような顔をして。


「ごめん急に。迷惑だった……?」


 上目づかいで、あざとく言ってきた。

 その顔は反則だろ……。

 でも別に僕は昨日の笹川詩織を知っている。

 だから今の偽物の笹川詩織に騙されたりはしない。

 僕は落ちた箸をポッケに入っているハンカチで拭くと、無視して弁当を食べ始める。

 僕がそのまま弁当を食べ始めると、笹川詩織は何も言わずに自分の弁当を取り出して食べ始めた。

 何勝手に横で食べてるんだ? 

 そう思ったが、流石にどっか行けとは言えないので、二人無言で食べ続ける。

 僕が弁当を食べ終えると同時に、笹川詩織も食べ終えたらしく、弁当の箱を袋にしまいだした。

 結局何しに来たんだ?

 そう思い笹川詩織の方をじーっと見ていると、笹川詩織はゴホンと咳ばらいをして僕の方を向いてきた。


「秋口勇気くん。実は私がここに来たのは、君に聞きたいことがあったからなんだけど……」


 ようやく喋りだした笹川詩織は、僕の顔を真剣に見つめてそう言った。

 僕は何も言わずに、笹川詩織の方を見つめていた。

 すると笹川詩織は続けて。


「今朝の君の言った言葉……。あの意味を教えて欲しいんだけど……」

 

 

 

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