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僕は二人の君に恋をした  作者: ラリックマ
僕と彼女と彼女
10/12

夢であったら

「ただいま」


 家に着き帰りのあいさつをするが、誰の返事も帰ってこない……。

 もう二人とも寝てしまっているのだろうか……?

 笹川詩織から解放されて、僕はすぐに家に帰った。

 今日は本当に散々な目に合った。

 そしてその散々な目は、多分明日以降も続くのだろう……。

 もう嫌だ……。

 いっそのこと不登校になってしまえば、楽になれるのではないかと思ってしまう……。

 でもそんなことはしない……。

 そんなことをすれば、僕が今まで頑張って勉強してきた今までの人生が無駄になる……。

 それにあの憎き笹川詩織に負けたことになってしまう。

 そんなのは僕のプライドが許さない。

 何としてもあいつの化けの皮を人前で()がしてやる。

 あの誰にでも優しい笹川詩織の裏の顔は、こんなに酷いってことを学校中に知れ渡らせたい。

 でも僕がそう言ったところで信じる人間は誰もいないだろう……。

 だからいつの日かあいつの本性が皆にばれることを願うことしか僕にはできない。

 僕は疲れ切った体を何とか布団まで運ぶと、そのまま横たわる。

 そして目をつむると、日差しがカーテンの隙間から僕の顔を照らしてきた。

 もう朝か。

 こんなに布団についてから寝るのが早かったのは初めてかもしれない。

 もしかしたら昨日起こったことは全部僕の夢で、何事もなくまたいつも通りの一日が始まるのではないかと思っていたのだが、この疲れた体が昨日のことは全て真実だと教えてくれている。

 僕はまだ疲れが抜けていない体を起こすと、学校に行く準備を始める。


「はぁ……」


 思わずため息が出る。

 いつも憂鬱(ゆううつ)だが、今日はいつも以上に憂鬱だ……。

 笹川詩織はもう昨日の僕のストーカー行為をばらしてるんじゃないか? 

 もしかしたら学校の奴に、昨日笹川詩織と一緒にいるところを見られたんじゃないか?

 いろいろと不安なこと多すぎて、全てが嫌になる。

 そんなことを思いながら学校の支度を済ませると、僕はいつも通り自転車に乗り、いつも通りの道を進んで学校に行く。

 そして学校に着くと、すぐに教室に行く。

 僕は教室に着くとすぐに自分の机で勉強を始めようと思っていたのだが、たまたまドアの前に立っていた笹川詩織と目があってしまった。

 そして僕と目が合った笹川詩織はにこっと笑うと。


「おはよ」


 っと挨拶をしてきた。

 いつもの僕ならお、おはようございます……っと下手な敬語で挨拶を返すところだが、昨日のコイツを知ったからにはそうはならない。

 僕は笹川詩織のあいさつを無視して笹川詩織の横を通るようにドアの方に行き、ちょうど笹川詩織の横を通った時。


「いつまでも優しい笹川詩織でいれると思うなよ」


 っと、耳打ちするように笹川詩織に言ってやった。


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