第8話 王都
今の俺のスキルを見る限り竜騎士になることもできそうだけどまだ決めるのは早いよな。とりあえずは【念話】だよな。ジョブスキルってのも気になるし、とりあえずロアに使ってみるように指示するか。
「ロア、【念話】で俺に何か話しかけてみろ。」
「ピュアァ?ピュー。」
(ご、、主人、さ、、、ま)
お?今のが念話かもう少しスムーズにはできないのかな?
「もう少しスムーズにはできないのか?」
(しゃ、、、べ、ルノ、、むず、かぁ、、、しぃぃ、、、)
「じゃ、今後の課題だな。念話ってMPは使っているのか?」
(いち、、ど、使う、、と、、、消費し、、ません。)
「わかった、俺と会話しながら慣れて行けばいいさ。意思疎通はかなり大事だと思うし、ロアが色々喋れたほうが俺も楽しいしな。」
(はぃぃ、、、がん、ば、、リマス。)
ロアの会話能力は今後鍛えていくとして、やはり今後の一番の課題はLv上げだよな。あって困ることはないし、王都に着くまでにはもう少し上げておきたいな。
なんだかんだありながら10日後に俺たちは王都についた。予定よりも2日遅れたがなんとか王都までやってきた。さすがは王都と呼ぶだけあって、街に入るために通る関所はかなり大きく馬車が2つ余裕で通れる。さらに騎士の待合所には何人もの騎士が駐屯していて、かなり厳重にチェックされているようだ。そんな大きな門の他に貴族用と冒険者用の小さめの門もあった。
「王都はすごいなぁ、、、」
「これからお前たちが暮らす予定の街だからしっかりと見ておけよ。」
「ルクソル!ロアちゃん!宿に着いたらお買い物に行きましょう!」
「「お嬢、それは無理ですね。」」
「なんでよ!少しくらいいいじゃない!!」
「準備がありますので無理です。」
「やらなければならない手続きが終わらないとダメです。」
ユーリとヴァイスはダメだと言い張った。少しくらいならいいんじゃないかとは思うものの、俺が口を出すべきではないと判断し口は出さなかった。
「ルクソルお前は俺と一緒に行く場所があるから俺に着いてくるんだ。お前ら荷物は全部任せるぞ!」
「「「「「「へい!お頭」」」」」」
「どこに行くんだよ。貴族に捕まったらやばいんだろ?直接王宮に行けばいいじゃん。」
「そうもいかない。一般人の俺には謁見の許可が降りない。だから謁見させてもらえる立場のやつに頼むのが早い。この国の中央騎士団副団長ローアンの元に行くぞ。」
何もわからないまま俺はガルバンさんと一緒に大きな屋敷の前に来ていた。
「ローアン副団長を呼んでくれて。ガルバンが来たと言えば伝わるはずだ。」
「かしこまりました。しばしお待ちください。」
門の前にいた執事のような人が屋敷の中に戻っていった。なんで副団長なのかがわからないけどガルバンさんにも考えがあってここに連れてきたんだろうけど。ロアは入っても大丈夫なのかな?
「ガルバン様、ローアン様がお会いになられるそうです。どうぞこちらへ。」
「あぁありがとう。行くぞルクソル。」
大丈夫らしい。屋敷の中に入り大きな吹き抜けのロビーを通ってすぐの部屋に通され俺たちはローアンという人を待っていた。それにしてもすごい人と知り合いなんだな。
「待たせたなガルバン。で、なんのよ、、、、、そいつもしかして。」
「久しぶりだなローアン。お前の想像通りこいつはお前らが探しているガキだよ。」
「詳しく聞かせろ。」
ガルバンさんは俺と出会ったところから全てを話した。ロアのことも含めて全てをだ。
「なるほどなぁ。改めて、俺はこの国の中央騎士団で副団長をしているローアン・バルザックだ。君を保護すると俺の名にかけて誓おう。」
「ありがとうございます。ローアンさんはガルバンさんとどのように知り合ったんで、、すか?」
「普通に話して構わないよ、俺しかいないからね。こいつとは子供の時に学校で知り合ったのさ。俺もこいつも国に保護されたスキル持ちだったからな。」
「へぇ。なるほどね。じゃあ旧友ってわけだね。」
「まぁ、ともかく国王には言っておくよ多分すぐに会うことになると思うから準備をしておいてくれ。ジャン!国王に言伝だ、例の子供を保護したと伝えてきてくれ。返事も聞いてくれ。」
「御意に。」
王宮でアイエス王は安堵していた。副団長から報告のあった商会が王国に着いたと衛兵から連絡があったためだ。その知らせに対し商会が王宮にきた際には、すぐに自分の元へと向かうようにしていたのだがガルバンはそれを知らずローアンの元に向かっていた。
「王様、ローアン殿の執事から伝言です。『例の子供を保護したのだがどうすればよろしいか』とのことです。」
「おぉ、、、おぉ、、、よくやった至急我の前に連れて参れ!!至急だぞ、他の用事は全て後回しだ!」
「では伝えてまいります。」
「あぁ、それと我が息子とリューベスも呼んでおいてくれ。」
「承知いたしました。」
アイエス王は場合によっては保護だけでなく何かしらの功績を作らせ国に仕える貴族にしようとしていると思っている。いまの貴族たちは腐敗がひどく国の半分近くの貴族が汚職に手を出しているという状況だった。汚職をしていないのは新興貴族と呼ばれるアイエス王が登用し始めたいわゆる若手の貴族だ。世代交代もしていないような貴族たちは汚職をするよりも自分の息子にいまの地位を残すのに必死で汚職に手を回すような余裕がない。
アイエス王は自分の息子に苦労して欲しくないと思っており、優秀な部下を見つけるとともに腐敗した貴族を減らしていこうと考えている。そのために王になってすぐに学園を作り優れたスキルを持つものに教育を与え少しでもこの国を良くしようとしている。
「やはりローアンを副団長にして正解だったな。どうせクルストは自分の仕事もしておらんのだろう。あのボンボンめが!今回のことを功績にローアンを騎士団長に据え職務怠慢でロック家は貴族位没収だのう。」
目の上のコブを少しだけ取り除けるであろうことにアイエス王は満足しながらルクソルたちが王宮に来るのを待つのであった。
執事のジャンさんが帰ってきて国王が至急来るように言っていたことを聞き俺たちはすぐに王宮に向かった。王宮はかなり広く国王の前まで行くのにかなり時間がかかった。通された部屋はちょっとした応接室のようで、あまりきらびやかな感じではなかったが目につく調度品は全て高級そうで出されたお茶のよさは全くわからないがいい香りがした。
「国王がおいでになられました。」
「よくぞ来てくれた、この子を保護したガルバン商会には何か褒美を後でやろう。そして我はその子と少し話がしたい。良いか?」
「無論でございます国王陛下。この子はルクソルと申します。言葉遣いが不慣れなのですがどうか寛大な心でお許しください。」
「うむ、我もそこまで狭量ではないある程度で良いぞ。」
「は、、、はい、ありがとうございます。お、、、私の名前はルクソルと、、、申します。ピッツの街からきt、、ました。ここにいるドラゴンはロアです。」
緊張してかなり言葉とか変になってしまった。すんごい恥ずかしい、穴があったら入りたい。そんな俺を国王は微笑みながら見つめている。粗相の無いようにしないとな。