第2話 商会
悪ガキ達をやっつけた後俺はリンチにあっていた3人に声をかける。
「終わったぞ。」
「ありがとうございます!私トルヤー商会の会頭ガルバンの娘ソフィアです。」
「僕は下働きさせてもらっているユーリです。」
「同じくヴァイスです。」
身なりがいいなとは思っていたけど、商人の娘だったのか。でかい商会かはわからないが下働きを雇えるってことは、稼いでいるんだろうな。
「俺はルクソル。ところでなんで絡まれていたんだ?」
素直に疑問に思った。悪ガキ達は平民だが金に困っているわけではないし、金をせびるほどの悪党でもない。
「ソフィアさんに急にすり寄ってきて僕ら下働きをバカにしたんだ。そんな貧乏な奴らとつるむなって。」
「それにソフィアさんが怒って関わらないでほしいこととか話したらあいつらがキレて僕らを囲んで殴りかかってきたんだよ。そこに君がきてくれたってわけ。」
「ふーん。なるほどね。」
ソフィアは可愛いからな、着ている服もかなり上等品だろうし。髪はブロンドで肩のあたりで切りそろえられていて、瞳は青色、身長は俺より少し小さいくらい。下働きの2人は着ている服は俺より少し綺麗かなという程度髪はかなり短く切りそろえられていてほとんど坊主だった。
「あの、お礼がしたので一緒に父のところに来て頂けませんか?」
少し頬を赤くしながらソフィアが不安げに俺に聞いていた。
「俺、孤児だし何言われるかわかんないからなぁ。」
「会頭はそんなことで人を判断したりしませんよ。だったら僕ら雇われてないです。」
ヴァイスの発言にユーリは頷き同意していた。それに2人はなぜかニヤニヤしている。
「それなら、、、」
「では、行きましょっ!!」
「「ソフィアさん待ってくださいよ〜!!!」」
俺はソフィア達とともにトルヤー商会が泊まっている宿に行くことになった。
「この商品は先に卸しに行けって言ってただろが!!!!」
「す、、すみませんでしたぁ!!!」
入るなり怒声が聞こえた。正直マジで怖い。え、何あれすごい強面なんだけど。スキンヘッドでしかも筋骨隆々、目元に切り傷。冒険者の間違いでしょ。
「父さん。只今帰りました。」
「おぉ、ソフィア。おかえりな、、、誰だそいつは。」
「私達を救ってくださったルクソルさんです。」
「ルクソルです!」
なんかすっごい見られているんだけど。怖い怖い怖い。これが恐怖ってやつか。俺が恐怖している間に3人は説明を終えたらしく
「ルクソルね、、、お前ちょっと奥に来いや。」
「は、、、はいぃ!!!!」
なんで?どうしてこうなった?俺は宿の奥の部屋に行く会頭であるソフィアの父について行った。奥の部屋に着くなり。
「お前どんなスキルがある?スキル次第では仕事を紹介できる。俺はな、お前みたいなやつが少なくなる世の中にしたいんだよ。流石になんの得もなしに雇えるほど儲かってはいねぇが娘の恩人くらいなんとかしてやりてぇのよ。お前孤児だろ?職を紹介してやる。ピッツに仕事はないかもしれねぇがな。」
俺は驚いた。こんな言葉をかけられたのは初めてだった。みんな俺を孤児だとバカにしてくる。そんな生活から抜け出せるチャンスだと思った。だが
「俺はスキルなんて持ってないよ。天からも見放されたんだ。」
「バカかお前、5人相手になんのスキルもなしにただの孤児が勝てるかよ。それこそ、相手の方がスキルなしだと言われる方が納得できる。俺を舐めてんのか?あ?」
俺のスキルは安易に話すことはできない。話せば何をされるかわからない。だけど
「秘密にしてくれる?」
「もちろんだ。商人にとって情報とは命だ。おいそれと人に言って回るもんじゃない。それにお前はきっと、、、」
「そうですか。俺のスキルはユニークスキル。大抵のスキルは代償を払って使うことができるんだ。」
「っっ!?それってお前国に保護されるべきスキルじゃねぇか。そうか、、、やっぱりな。俺はこの国でいろんなやつに物を売っている平民から貴族、子供から老人までな。そして最近貴族や騎士連中が探している子供がいるらしい。平民には知られていないがな。」
「いや違うよ。俺は鑑定されたときに貴族の人にスキルがないって宣告されたぜ。」
「それがそもそも間違いだったんだよ。お前鑑定された時なんか異変がなかったか?それはスキルなしにはあり得ない状況なはずなんだよ。それを貴族は報告しなきゃならない。ここの貴族はその義務を果たさなかったんだ。罰金ですまないかもしれないがお前がいれば帳消しだと躍起になって探しているらしい。」
「だったら今からでも教育は受けられるの?」
ここで報告すれば王都で高等教育を受けれる。ならば自分がそうだと言わない手はない。
「やめとけ。ここらの貴族はあえてお前を報告しないことでここの領主の座を狙っている。もし自分から名乗り出れば教育受けるどころか消されるぞ、お前。」
俺の思いとは裏腹にこの国の貴族は思った以上に狂っているらしい。俺はそんな腐った国に怒りを覚えた。孤児だからどうでもいいのか、自分が出世するために他人を蹴落とすだけなのか、民を守るはずの存在が全く逆のことをするのか。この国は腐ってやがる。
「どうかしたのか?」
不思議な顔をして会頭は俺の顔を覗き込む。
「お前が怒るのは最もだ。そこで提案がある。俺と一緒に王都へ行く気はないか?」
「は?」
「なぁに、先行投資みてぇなもんよ。お前が偉くなった時うちを贔屓にしてくれればいい。」
「まぁ、連れて言ってくれるなら俺も文句はないけどさ。」
「じゃぁ決定だな!1週間後にピッツを出るそれまでに準備をすませておけよ。」
こうして俺はトルヤー商会のガルバンたちとともに王都に行くことになった。