桜
春一番が吹いている ビュービュービュー
力強く吹いている ビュービュービュー
幹を揺らして吹いている ビュービュービュー
そろそろ春だ そろそろ春だ
枝には我先にと 蕾が現れ
風に揺られる ユラユラユラ
春だぞ 春だぞ
枝の蕾は いよいよ綻んで
桜の花が現れる
やがて満開となって お花見の客が訪れる
桜は彼らを 優しく 優しく 抱きしめて
そよ風に揺られて パラパラパラと
花を散らして 彼らを 優しく 優しく 抱きしめる
しかし その花も 全て散り 新たな季節がやって来る
夏だぞ 夏だぞ
枝には我先にと 葉っぱが現れる
葉っぱは 新緑の服を 身に付けて
夏の青空に 上手く溶け込む
幹には セミが止まって ミンミンミンと 鳴いている
暑いよ 暑いよ
木が苦しそうに 唸ってる
直射日光に晒され 木が唸ってる
アイスを食べながら 人が歩いてる
木は その冷たく甘い物を
全力を振り絞って 欲しがるが
伝わらずに 彼は去ってしまう
そして 再び 新たな季節がやって来る
秋だぞ 秋だぞ
葉っぱは 新緑の服から 秋色の服に 衣替え
子供たちが 根本で 落ち葉を纏めて 火を着けて
薩摩芋を焼いている
桜は 彼らを 優しく 優しく 見守って
ついでに 焼き芋が欲しいと 駄々をこねる
しかし 伝わることわけもなく 彼らは去ってしまう
そらから 葉っぱは いよいよ枯れてきて
いっぱい いっぱい 散らしてく
そして またまた 新たな季節がやって来る
冬だぞ 冬だぞ
枝の葉っぱは 全て無くなり 桜は裸になる
冷たい風に揺られて 桜はブルブル震える
根本には 枯れ葉が落ちている
茶色で シワシワの 枯れ葉が落ちている
でも 桜は 決して諦めない
桜は 全力を振り絞って 冬を越えようと 努力する
いつか また 花開くことを 夢に見て