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第84話 メイド達とサングラス

 文化祭まであと三週間と迫った午後の授業。普通はここで文化祭に何を出店するか決める会議がなされるのだが・・・


 「どうだ優。似合ってるだろ?」

 そう聞いて来る女装の金髪メイド姿に小さい溜息がこぼれる。女装よ、もうお前は完璧な女装だな。そんな感想しか頭に中にはない。

 そしてクラスを見渡せばメイドだらけ男も女も皆メイドである。正しくは僕とわんこ以外メイドである。もうメイドのインフレだ。


 「似合ってるよ」


 そう言う僕の引きつった笑みに、俺は私はと聞いて来るクラスメイト。めんどくさい。




 女神喫茶。

 女神である兎月優様の憩いのひと時を拝見出来る喫茶店。混雑が予想されるため滞在時間十五分までと制限され、席数も二十席設置し二人以上で来店すること。最多人数百名。当日は屋上に女神様の部屋を設置しオープンテラス席のみ。午前午後の初営業時のみ予約が可能(ビンゴ大会の景品)。メニューはアイスティーとホットティーのみでクッキーは無料提供。お持ち帰り可。

 衣装及びメイク並びにメイド作法はラビットテールが完全監修。わんこ様には特別なわんこスーツを製作。優様には六回ある営業すべて別の衣装を製作。



 最近の胃の痛みの原因です。


 思えば文化祭や学芸会などいい思い出がない。

 保育園から中学校までにシンデレラをした回数五回。もちろんシンデレラである。

 白雪姫も二回ほどした。一度悪い王女の役が回ってきたが、鏡役の女子が固くなに「世界一美しいのはあなた様です」と言って聞かないのだ。白雪姫が登場しないと先生が困った顔で役の交換を申し出た。

 かぐや姫もした。本気で求婚してくる男子生徒と月に帰る際ガチ泣きの生徒と保護者達。このまま家に帰りたかった。


 美しいのは罪なのかもしれない・・・



 「では皆さんもう一度行きますよ。おかえりなさいませ、ご主人様お嬢様」

 メイドズのお手本に合わせて頭を下げるクラスメイト。何なんだろうねこれ。




 そんなこんなで家路についたわけだが・・・


 夕食後、ソファーで寛ぐ秘書ちゃんに緑茶を差し入れした時の事だ。

 TVに写る見た事のある女子がメイドを従え歌っている。右上には新人アイドルデビュー曲二人の帰り道の文字が・・・


 「ねぇ秘書ちゃん」

 「何です優様?」

 啜ろうとしたお茶を戻した秘書ちゃんは伏目がち。


 「僕の知らない所で重音ちゃんがデビューしてるんだが」

 「不思議ですねぇ」

 「確かに不思議だね。僕が着々と準備してきた予定が完全に吹き飛んだのだが」

 「九月は台風が多く吹き飛ぶ事もありますねぇ」

 ダメだ。会話にならない・・・


 「ちなみに秘書ちゃんはこの事知ってたの?」

 コクンと縦に頭を振る。

 「せめて報告だけはしてよ。色々準備したの知ってるでしょ。どうせ母さんがしたことだろうし、と言うか母さんぐらいしかこんな事しないだろうし・・・出来たら止めてよ」

 大きく溜息をつきお茶を啜る僕に秘書ちゃんは溜まっていたものを吐き出した。


「優様、この事は知っていましたし、奥様には内緒にと口止めされました。私だって本当は内緒にしたくなかったです。

 優様が「最高のアイドルを誕生させる」って息巻いていましたし。

 で、す、が、奥様はいちから芸能事務所を起ち上げてボイスレッスンから楽曲提供などもう生き生きとこなされて・・・やめろなんて言えません!

 他にもコネを使って他の音楽家や雑誌にも宣伝や協力を仰ぎ大型新人現るなんてことになり、本日のTVデビューになりました。

 しかもデビューがあのミュージックス〇ーションですよ! 普通あり得ません! 優様がもし秘書をしてたとして奥様の行動を阻止できましたか? 

 えぇわかってます。これは言い訳です。ですが、ですが・・・」

 ウルウルした目で見てくる秘書ちゃんに罪悪感が・・・うん、ごめんね。


 「取りあえず落ち着いてお茶飲もうよ」

 「はい・・・」


 TV画面ではタ〇リさんと楽しくトークする重音ちゃん。トークの内容は新事務所から始まりデビューのきっかけなど話している。


 後で母さんに聞いたが紅白にも出るらしい。母のコネがこわい・・・




 久しぶりの投稿なのに短くてすいません。

読んで下さった方ありがとうございます。

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