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第71話 筆頭株主


 「はい、あ~ん」と親鳥気分でペルちゃんとアシュレちゃんに一口サイズのケーキを食べさせている僕は、綾香さんがする『どれだけ優様が優れている美しさを持っている』という話を聞き流しながら少し昔を思い出していた。




 あれは確か中学二年の時にはじめて自分一人で株に手を出した。

 社会勉強のつもりで買ったグラス株式会社。それが二上院さんの会社であった。

 秘書ちゃんと相談して買ったこの株なのだが、もちろん理由もある。観覧者からの景色がとても綺麗で夕日に染まる街を一望できた。その風景に感動したのだ。できたらこの風景を多くの人に見せたい。残したい。

 そう思って下火になっていたこの会社を守るためにも株を買ったわけなのだが・・・


 株式には多くのルールがある。例えば通称5%ルール。たった5%取得するにも金融商品取得法などがあり金融庁に報告の義務がある。

 それを知った僕は一気に面倒くさくなり秘書ちゃんに丸投げしたのだ。


 「この通帳使っていいからできるだけこの株買って」


 「私がですか・・・」通帳の預金高を見て目を見開く秘書ちゃんの驚き顔は今でも覚えている。


 「このような金額をいち秘書に持たせるのはどうかと・・・」若干青ざめた顔に変わった。


 「大丈夫! 秘書ちゃんは信頼しているからね!」


 「はい、頑張ります!」と涙目で応えてくれた。


 当時の僕は専属になったばかりのメイドちゃんに料理を教えるのが楽しくて、その事で頭がいっぱいだった。二人で楽しくキッチンに立ち和洋中を極めんと一緒にネット検索して、作った事のない料理を覚えていったのだ。


 そんな事もあり株の事などすっかり忘れ半年ほどした時だった。


 「優様すいません」と謝ってくる秘書ちゃん。


 「どうしたの?」


 「どう頑張っても親族と社員が持つ40%ほどが買い取れません」


 「何それ?」


 「半年ほど前にグラス株式会社の株を全て買い取れと仰ったじゃないですか。あの事なのですが・・・筆頭株主にはなれましたが全てとなると・・・」


 「うん、ごめん・・・忘れてた」言い訳とかしても意味ないと謝った僕。


 ジト目で見てくる秘書ちゃんに、はじめて恐怖を覚えた瞬間だった。


 「それでですね、私が代わりに出席していた株主総会で今回の株購入の件について命令した主に合わせてほしいと言われまして、来月ある株主総会には是非出席していただきたいとの事です」


 「もちろん土日だよね?」


 「いえ、月末の火曜日です」


 「時間は?」


 「10時からと・・・」


 「僕学校があるんだけど・・・」


 「はい、その事は相手側にも申し上げたのですが、どうしてもと」


 「じゃあ今から連絡して、そっちのトップと食事会でもしてさ、それでどうにかならない?」


 「よろしいのですか? 以前にもお食事会の誘いがありましたが、メイドちゃんと料理するからダメだと言われていたのに・・・」


 「ごめん、全く記憶にないや・・・でも、それで済むならそれで」


 「畏まりました。日時の方はいかがいたしましょう」


 「今夜でもいいし・・・任せるよ」


 「畏まりました」と部屋御出て行く秘書ちゃん。




 「あぁ懐かしい・・・」


 「どうされました優様?」と聞いて来る綾香さん。


 「いや、何でもない。そう言えば綾香さんはどうして僕の事知っているの?」


 「まぁ、綾香だなんて・・・」と頬を赤く話してくる。答えになってないよ?


 「申し訳ありません。優さんとの写メを見せてしまいまして、それから姉様は崇拝する様に変わってしまい」あぁ~あの時の怒った顔で一緒に撮った写メか。(第16話参照)


 「あれ? 僕の呼び方変えた? 前は兎月くんって呼んでなかったっけ?」


 「あっ、いや、その、優さんだって私の事はお嬢とあだ名で呼んで下さってるじゃないですか! お相子です!」顔を真っ赤にしながら捲し立てるお嬢。美人が取り乱す姿に少し笑えた。


 「私の事はハニーとお呼びください」綾香さんは完全に脳内がお花畑だな。


 「綾香さんは大学生ですか?」


 「はい、ダーリン。わたくしは絢爛大学の三年ですわ!」綾香さんは話を聞かないタイプだ。扱いがめんどくさい。


 「これ綾香! 失礼だぞ! こちらにおわす方はうちの筆頭株ぬ「修也さん!」」思わず叫んで話を止めた。気まずくなるから筆頭株主だとは内緒にしてくれと前に言っておいたのに。(第34話参照)


 「兎月会長様、申し訳ありません。綾香に姫香、これからも失礼のない様に接しなさい。特に綾香! お前は先走る事が多い、特に注意すること。ダーリンなんて呼ぶな! 恐れ多い!」


 「えぇ~もう優様に嫁ぐと決めてますのに・・・」何それ聞いてない。

 「そうです姉様! 優さんには私が・・・キャッ」両手で頬を押さえ、赤い顔して照れるな!

 「そうなのデス? ペルもユウおにいちゃんと婚約しタイ!」椅子を飛び出し右手に抱き着くペルちゃん可愛い!

 「アシュレもです!」左手に抱き着くアシュレちゃんお持ち帰りで!

 「あらあら」微笑ましく見つめるアンネさん。マリアンヌさんとは違いおとなしい人だった。


 なんだろう・・・後ろから殺気が・・・ゲレンデの許嫁こと田中美佐さんから殺気? 殺意? を受けてからこの手の気配に敏感になった。(第56話参照)

 今抱き着いているペルちゃんとアシュレちゃんは好意ではなく守ってほしくて僕にくっ付いているようで、ガタガタ震えている。後ろにはメイドちゃんと秘書ちゃん(般若)が二人いるものね。


 早くお茶会終わらないかな・・・



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