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第70話 お茶会

 ひと騒動終わった僕は秘書ちゃんに強制エスコートされ、またお礼の手紙を製作中。

 僕の手書きの物と印刷されたフランス語訳で書かれた物。そしてあのパーティー会場でのUSAの写真が一緒に送付される。

 総数は323枚。それを1時までに書き終えた。


 このあと3時からは昨日お茶会に招待したアンネさん(レオンさんの妻マリアンヌさんの妹)とアシュレちゃん(その娘)そして二上院姉妹を迎えなければならない。

 もちろんアシュレちゃんと仲が良いペルちゃんも一緒に参加する。二人は3時まで一緒に夏休みの宿題があるそうで今は別行動。この城のメイドさんが先生となって宿題を教えているらしい。


 「優様、今日は快晴ですのでお茶会は中庭のテラスをお使いいただいてはどうですか?」と秘書ちゃん。普通ならそれが良いだろうが僕には少し考えがある。


 「日差しが入る室内がいいな。あと出来るだけ外部の人が来ないような場所が・・・そう言う部屋はある?」


 あのパーティーの後、この城には多くの来客が泊まっているのだ。中庭でお茶会などしたら乱入してくる人もいるかもしれない。特にあの肉団子親子とか・・・


 「離れの屋上はいかがですか?あそこはこの城で一番高く覗かれる可能性はほぼ皆無です。そちらでよろしいですか?」


 「じゃあそこで」


 「では段取りを決めてきますので」

 そう言うと秘書ちゃんは僕の部屋を後にした。


 小さく溜息を吐きながら頭の包帯を外していく。最後にシップだけ残る。このシップ一枚張ればいいのでは? とか思うがVIP対応された感じからすると、多少仰々しくするのも向こう側の考えなのだろうと思うしかない。


 「優様申し訳ありません。無理にでも止めるべきでした」とメイドちゃん。そんなに悲しい顔しないでよ。こっちの心が痛くなる。


 「大丈夫だよ。母さんに逆らえないのは知ってるし・・・出来たら早く忘れてほしい」これが本音である。すまない、申し訳ないの言葉より早く忘れてほしい。


 「はぃ・・・」小さく返事をするメイドちゃんの顔が赤くなる。

 思い出さないで~




 時刻は3時。僕は完全USA装備で離れの塔の屋上にいます。

 屋上は多くの花壇があり色とりどりの花が咲き乱れている。その中心には日よけの大きな屋根と大理石テーブルがありお茶会や静かに読書するには最適の場所。吹き抜ける風も穏やかで真夏の日本とは違う景色を楽しめた。


 「優様、皆様お揃いになりそろそろ上がってこられます」と秘書ちゃん。


 僕は皆をエスコートする前に自分の身なりを確認する。紺のワイシャツに白のジーパンとシンプルな服装。ワイシャツはボタンを上から2つまで外して袖も肘辺りまで捲り上げている。

 ちなみにこの服はレオンさんから借りた物だ。未だに母さんが隠した僕の服は出てこない。何度か問い詰めたが「嫌よ!」の一点張りだった。


 「USA! 来てやったわ! って、何そのシップ。ぷっ! あの無駄に高い衣装から落ちたの? ぷっ!」と二上院綾香さん。敵意むき出しは今も変わらずだ。


 「USAさんすいません」と謝る二条姫香さん。パーティーの時の服装とは違い落ち着いたブラウンのサマーワンピース。つばの大きな白い帽子がとても似合う。


 「パーティーには出れず申し訳ありません。二人の父の二上院修蔵しゅうぞうです」とスーツ姿のおじさん。僕も会釈で返した。


 「USAサマごきげにょう」スカートをつまみ上げるペルちゃん。

 「USA様ごきげんよう」同じしぐさのアシュレちゃん。

 二人は不思議の国のアリスのような服装。ペルちゃんが青でアシュレちゃんはピンク。とっても可愛らしい。

 そしてナイス翻訳秘書ちゃん。今も通信機でアシュレちゃんのフランス語を翻訳してくれている。


 「USAさん娘が懐いたようでご迷惑ではありませんか?」と聞いてきたのがアンネさん。見た目がマリアンヌさんにそっくりで股間を鷲掴み(第62話参照)された事を思い出してしまう。


 「迷惑なんて、とても良い子ですよ」と笑顔で返した。


 皆に席についてもらいメイドちゃんやこの城のメイドさんに紅茶を入れてもらう。

 テーブルにはチーズケーキやフルーツタルトやチョコレートケーキが一口サイズで並び、クッキーやマカロンといった焼き菓子もある。


 「本日はお越しいただきありがとうございます。実はちょっと知ってほしい事がありまして・・・」


 「何よ!」と喧嘩腰に相づちを打つ綾香さん。「姉さん!」と止めに入る姫香さん。話の腰を折らないでほしい。


 「メイドちゃん手伝って」


 僕は黒のカラーコンタクトをはめ、クレンジングシートで化粧を落とす。メイドちゃんは丁寧に白のウイッグ二本外して髪の毛を整えポニーテールへ。


 「これがUSAの正体です」といつも通りの僕へ変わった。


 持っていた紅茶のカップを静かにソーサーへ戻し青い顔した綾香さんは立ち上がり、ゆっくりとその場に土下座した。

 いや、別に土下座が見たくてしたわけじゃないよ。


 そして驚いたのがもう一人。そう二上院修蔵さん。彼の会社の筆頭株主でもある僕が急に現れたのだ無理もない。目と口をあんぐり開けて奥歯まで見えた。


 「ちょっと姉さん! 何やってるの!」と綾香さんを起こそうとする姫香さん。


 「アシュレちゃん驚いた?」とフランス語で話すペルちゃん。


 「嘘みたい・・・」両手で口を押えるアシュレちゃん。


 「本当に優ちゃんなの?」とアンネさん。レオンさんから僕の事を聞いていたのかな?


 「今までのご無礼な態度、誠に申し訳ありません。まさか優様とは知らず・・・」


 「綾香さん、起きて下さい。別に怒ってませんし、椅子に座って下さい」


 「そうです姉様! 早く起きてください! 優さんはお優しい方ですわ。お父様もいい加減にして下さい! USAさんの正体知ったぐらいで驚きすぎです!」


 「いや、いや、いや、兎月優様・・・昨日は申し訳ありません。どうしても外せない交渉がありまして、その、あの、」とテーブルに額をこすりつけて謝罪する修蔵さん。


 「二上院さん頭を上げて下さい。気にしていませんので・・・」


 謝罪する二人が元に戻るまで、しばらく時間を要した。


 バラさない方がよかったかも・・・



 読んで頂きありがとうございます。

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