第7話 部活紹介と入学試験の真相
5、6時間目は部活紹介。体育館まで並んで歩き7クラスすべての生徒はパイプ椅子に座りステージの部長達の話を聞いていた。
放課後は忙しいので部活に入る気がない僕は教室にいてもいいのでは?とか思ってたりしますが流石にさぼりはまずいよねぇ。
手に顔を乗せポケ~と体育館の天井を見上げた。なぜバレーボールが必ず引っかかっているのだろう。体育館あるあるを実感しながら少しざわつき始めた生徒の声に耳を傾けた。
「あれが例の美人」
「ほんとだすごい美人」
「メガネないだけで違うな」
「でしょでしょ! さっきなんて美人で有名な生徒会長と一緒にいたけど確実にこっちの方が上よ」
「誰か写メくれないかな。一組に誰か友達いたっけ? 頼んでみねえ?」
何やら雲行きが怪しい。このざわつきはすべて僕の噂?マジかーぼけっと天井見てた顔見られてたのかよー。
何か全員こっち見てないか? おいバスケ部部長の紹介続けろ! こっち見んな! 頬を赤く染めるな!
仕方なく顔を覆うように下を向く。ため息が重い。
トントントン?
肩を叩かれ後ろを見ると,担任の先生と目が合う。一々顔を染めるのはやめてほしい。
「兎月くんは放課後忙しいから部活入らないわよね?」
僕は黙ってうなずく。
「じゃあちょっと出ましょうか。このままじゃ部活説明会が終わらないわ」
先生にドナドナされながら教室へ戻った。
教室につくと先生が「では部活紹介が終わるまで自習しててください。先生は戻りますので」
「先生聞きたいことがあるのですが」
教室から出る足を止めてくれた。
「兎月くんなんですか?」
「入学試験の事です。確かに難しいテストだとは思いますが、5教科とも僕のテストは80点にしたつもりです。主席になるのはおかしいと思うのですが」
「その事ですか。確かにあなたが一番ですよ。そもそもどの教科も80点なのは、この学校の先生達全員が知っています。そこまで点を取れるように作ったテストじゃないんですよ。すごい天才が現れたとか話題になったんだから。数学なんて数学オリンピックの難問を基にしたり、国語に至っては漢字検定1級から出題したり。そんなテストで80点獲ってるあなたがどうかしてるのですよ。ちなみに合格者の平均点は42点よ。私にだって80点取れないわよ」
通りで見たことがある問題だと思った。数学のテストは楽しくて難問から先に解きたくなったぐらいだしな。
「一体あなたは……って、さっきの話だと80点にした。と言いましたね。わざと80点にしたのっ!」
「主席は新入生挨拶とかあって目立つじゃないですか。できるだけ普通に学校生活送りたいので、やる気になれば全部100点獲れましたよ?」
先生の驚いた顔。埴輪みたいになってる。
「あなたはどれだけスペック高いのよ。高校生で会社経営して勉強も完璧で、そして美人……話をしたら性格もよさそうね。これはアリかも!?」
後半の事は聞かなかったことにしておこう。
「先生時間大丈夫ですか?」
「えっあああ、そうね。私は行くけど自習しててね」
「はい、ありがとうございました」
ぺこりと頭を下げながら先生を見送った。
今日は失敗が多すぎた。メガネ粉砕から始まって生徒会長、一年生達に部長達、最後にテストと担任のアレ……
そんな反省をしながら新聞片手におっとメールだ。スマホで秘書ちゃんからの報告メールに目を通した。
放課後は逃げるように秘書ちゃんの車に乗り込んだ。