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第69話 ごめんなさい

 目が覚めたのは病院のベッドの上だった。

 鈍い痛みが頭にある。そして全てを思い出して顔に熱がこもった。


 僕は体を起こし周りを見渡すと、椅子に座って眠る秘書ちゃんとメイドちゃんがいた。またこの2人に迷惑をかけてしまったな。そんな事を思いながら余っている毛布を二人の肩にかけた。


 それにしても酷い目にあった。拉致されて風呂って・・・今頃母さんやメイドズは反省しているだろうか。してないだろうな・・・


 軽い尿意を感じた僕は部屋を出てトイレを目指す。トイレはすぐに見つかり壁掛けの鏡で今の自分を見つめた。眉毛から上が包帯でグルグル巻きにされている。痛みも多少あるが傷が残ったらモデル引退もあり得るか・・・それもいいかもしれない。この長い髪のケアだけでも大変なのだから。

 用を済ませ部屋に戻る途中で一人のおばさんナースと出会った。

 フランス語を捲し立てて話をされるが正直わからない。「英語でお願いします」と英語で言うと「イエス」とご返答を頂けた。


 「プルサンス家の方ですよね?」と聞いて来るナースさん。


 「そうですが、何でしょう」


 「いえ、昨日も急患で入らしたもので家の方で何かトラブルでもあるのでしょうか?」

そうだよね・・・昨日の夜にレオンさんが運ばれて、今朝祖父が運ばれて、今僕が・・・そりゃ家に何か問題があると思われても仕方ない事だろう。全部僕が悪いんです。はい。


 「大丈夫です・・・それよりもこの怪我は」

 僕が額を指さしながら話す。


 「骨にも脳にもダメージが無くコブもすぐ引くはずです。外傷は残りません。」


 「そうですか・・・」モデルは継続になった。


 ナースさんが突然僕の両肩を掴みながら威圧する様な顔つきに変わった。

 「そんなに綺麗な顔しているのだから、もっと注意しなきゃ!」


 「男ですいません・・・」思わず謝ってしまった・・・


 そこから男の子でも美人なんだから顔を大切にしろだの、うちの娘がが可愛いので紹介したいだの、青い目が神秘的で綺麗だの言われ、話が切れた所で逃げる様に病室に戻った。




 病室に戻るとカーテンの隙間から朝日が射していたが、二人はまだ椅子で寝ていた。


 それにしてもこの病室の入院費はいくらになるのだろう。シックな作りの病室には絵や花が飾られ、ガラス製のテーブルに革製の大きなソファー。冷蔵庫や50インチはありそうな薄型TV。天井にはシャンデリア・・・完全にVIP用だな。


 冷蔵庫を開けるとワインやらシャンパンが・・・それらを無視して紅茶のペットボトルを取り一口。祖父の家で入れてくれる紅茶の美味さを思い出してしまう。

 何か暇つぶしできるものがないか部屋を見渡す。昨日の新聞だろうか? それをテーブルから取る。そうだよね、フランス語だよね。読めない・・・


 ゆっくりと伸びをしていると病室のドアが勢いよく開き、目を真っ赤にした母さんが僕に抱き着いてきた。


 「優ちゃんごめんなさい! ごめんなざい! びょべんばばい!」もう泣きながら言ってくるからごめんなさいに聞こえないよ。


 「「「「「申し訳ありませんでした」」」」」

 そろって頭を下げるメイドズ。


 これはみんな反省してくれたのだろう。頭をぶつけてみるもんだな。もうあんなのは懲り懲りだ。


 「みんな、今早朝だから煩くしないでね。それと・・・うん、ごめんなさい。心配かけてごめんなさい」


 素直に謝ると泣いていた母さんがさらに大泣きした。そしてメイドズも・・・その結果なぜか僕が先ほどのおばさんナースからやんわり怒られた。




 家につくとペルちゃんとアシュレちゃんが抱き着いてきた。二人共僕の頭を見て泣きそうな顔になったがフランス語で秘書ちゃんがもう大丈夫な事を伝え、僕が二人の頭を優しく撫でると笑顔に変わってくれた。

 時刻も10時を過ぎていた為か食堂に親戚は居らず、僕達だけで遅めの朝食を取り始めた時だった。

 効果音を付けるとしたら、ババーーーーン!! と登場の祖母。観音開きの食堂のドアが勢いよく開かれた先で仁王立ち。そこから速足で歩いてきて僕を抱きしめた。


 「自分を傷つける悪い子にはお仕置きするわ」と秘書ちゃんが訳してくれた。その後も僕を心配する言葉をいくつも掛けてくれた。

 ひとしきり言いたいことを言うと祖母は立ち上がり、今度は母さんの元へ。


 「牡丹ちゃん・・・今回の事はどう考えてもあなたが悪いわ・・・どんな罰を与えようかしら・・・」

母さんの顔色がみるみる青く変わる。座っていたメイドズも立ち上がり逃げる様に部屋の隅に固まったほどだ。


 「ごめんなさい・・・ちょっとしたイタズラだったの・・・」ちょっとじゃねぇーよ!


 「それに何で誘ってくれなかったの!」そっち!?


 「私が最後に優とお風呂に入ったのは4歳の頃よ! あの頃は照れながら背中も流してくれたのに! あーもうっ! 牡丹ちゃんばっかりずるい! ずるい! ずるい!」立派に母さんの母さんだ・・・


 怪我した頭が余計に痛くなった。早く日本に帰りたい・・・



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