第67話 姉とお礼
ゆっくり歩いて登場する二人の美人。二人とも黒目黒髪で・・・というか一人はクラスメイトのお嬢こと二上院姫香さんだった。
「はじめてお目にかかります二上院綾香です。それとこっちは妹の姫香」
スカートの裾を持ちぺこりと頭を下げるお嬢。姉の方は睨むような視線で僕を見つめてくる。
なんなのこの人? そう言えば初めてお嬢と会話した時も(第11話参照)喧嘩腰だったな・・・
僕も会釈で挨拶を返す。
「USAさんの人気はたいしたものですね。こんなお城に呼ばれて王女気取りで謁見ですか。しかもそんな高い位置から人を見下して素晴らしい趣味ですこと」
うわぁ~絡み方までお嬢にそっくりだよ・・・
「姉様いい加減にして下さい」とお嬢が止めに入る。が、
「何よ。本当の事じゃない。滅多に人前に出てこない引きこもりモデルが出てきたと思えばこの扱われようよ。ムカツクったらありゃしない!」
「姉様、本当にやめてください」オロオロ対応のお嬢。見ているこっちが不憫に思ってしまう。
「そもそも今日は優様に会うはずだったのに何でUSAになんか挨拶しなきゃいけないのよ! こんな引きこもりモデルよりはるかに優様の方が美しいんだから!」
どっちも僕ですと言ったらこの人どうなるんだろうか?この崇拝ぶりからしたら気でも失わないか心配になるな・・・
「今は持てはやされてるかも知れないけど、三年後には私の方がモデルとしてトップに立ってやるわ! 大体ラビットテール専属だけじゃない! なにがトップよ!」自分の話に自分でキレるなよ・・・
「姉さんもう行きましょう。USAさん、すいませんでした」と頭を下げるお嬢は耳まで真っ赤な顔をしていた。身内の支離滅裂な恥を目の前で見たのだものね。惚れてじゃないでしょ? でしょ?
「最後に一つだけ言っておくわ!いつかギャフンと言わせてやる!」
ビシッと僕を指さすお嬢の姉に僕は一言「ギャフン」と別れの挨拶をした。と言うか二人との会話はギャフン以外言わなかったな・・・
「あの二人もお茶会に招待して。先方の予定が開いていたらだけど」
「畏まりました」
こうしてUSA初めての謁見が終わった。
衣装下段の外部装甲を見ながらしみじみとため息を吐き、そもそも何でこんな事せにゃならんのか考えているとペルちゃんとアシュレちゃんに抱き着かれた。
「USA様ステキでソタ」噛んだのか日本語の間違えだかわからないが可愛いぞペルちゃん。
「USA様お茶会楽しみにしています」とアシュレちゃん。今だに秘書ちゃんが通信機で翻訳をしてくれている。この旅では本当にお世話になりっぱなしだ。
「二人ともありがとう。パーティーは楽しかったかい?」
「マカロンがビミしかったモス」
「あのマカロンは美味しかったね」
この二人の笑顔が貰えて4時間も置物にされた疲れが吹き飛ぶような気がする。
思わずしゃがんで二人を抱きしめてしまった。
「「はうっ~」」と声が重なるペルちゃんとアシュレちゃん。リアクションまで可愛いとは。
「USA様、そろそろ。パーティー自体は終わりましたが、来客からのプレゼントの確認とお着替えをされないと困ります。その後はプレゼントのお礼の手紙を書いていただいたりしませんと」
「えっ!?」
「えっ!? じゃありません。牡丹様も言っていたじゃないですか。こちらのパーティーは面倒くさいと。それに安心してください。文面は私やここのメイドさんも手伝っていただけます。ただ書くだけです・・・300通ほど・・・」何その新しい拷問・・・
「PC社会のこの時代に手書き?」
「はい、相手への誠意が伝わりますから」
僕は強制的にエスコートしてくる秘書ちゃんに連れられ、パーティー会場を後にした。




