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第62話 鷲掴み


 部屋に着いた僕達はペロちゃんと一緒にダブレットを眺めている。

 ダブレットに表示されているのは僕が10歳だった頃のUSAの映像。ペルちゃんが10歳と言う事もありデータ化したUSAの写真集を見ているのだ。


 「コノ時のウサ様とお友達にナリたかったデス」


 「今のUSAは嫌いなの?」


 すごい勢いで首を横に振るペルちゃん。


 「優お兄チャンはたまにイジワルするのデス。イジワルはダメなのデス」つーんと顔をそむけるペルちゃん可愛すぎる。


 「ごめん、ごめん」そう言いながら頭をなでなで。


 天使の笑顔を貰って時計を確認。外はまだ明るいのに夜の9時。日本にはない現象に驚く。10時には暗くなるらしい。


 「ペルちゃん眠くない?」


 「少し眠いデス・・・デモ、もっとウサ様の写真見たいデス」


 「じゃあ、いつ寝てもいい様にベッドで横になって見ようか」


 「はい」そう返事をくれベッドに走りジャンプ。もぞもぞと中に入った。


 そこから数分でペルちゃんは眠りに落ちた。眠かったのもあるだろうがベッドに入ってからずっと頭を撫でていたのも原因の一つだろう。

 以前風邪を引いたメイドちゃんを寝かしつけたのもこの方法だ。(第48話参照)

 もはや特技と言ってもいいだろう。


 さて、僕はひとつやる事があるのでベッドから起き上がり、ソファーで紅茶を飲む秘書ちゃんとメイドちゃんに出かけると言って部屋を出た。

 英語が通じると分かればもう怖いものはない。この城は攻略したも同然だ。フハハハハハ・・・なんだろう、虚しい。


 長い廊下を進むと一人の黄色いドレスを着た金髪美人とメイドさんに出会った。軽く会釈をすると向こうも返してくれた。

 横のメイドさんが何やらフランス語で金髪美人さんに話している。おそらく僕の紹介をしているのだろう。荷物を持ってない方の手のひらが僕の方を向いている。


 近づいてきた金髪美人さんにフランス語で何やら言われ、思いっきり抱きしめられた。

とてもいい匂いがしました。


 「助けて! 助けて! 助けて!」

 必死にハグから解放されようと英語で助けてを連呼した。金髪美人さんはゆっくり離れ英語で謝罪してきた。


 「ごめんなさいね。私はマリアンヌです。英語は少し苦手だけど・・・あぁ! レオンの嫁よ。よろしくね」ドレスをちょんと摘み頭を下げる。


 「僕は優です。牡丹の息子です」


 「息子?」小首をかしげてくる。


 「男です。こんな見た目ですが男です!」


 マリアンヌさんは納得いかないのか、頭の先から足の先までよく眺めてくる。


 「う~~~~~~ん・・・・えい!」

 「はうっ!」


 マリアンヌさんは悩んだ末に僕の股間を鷲掴み。痛くはなかったけど変な声が出た。逃げるように後ろに下がる。この人の行動力おかしいよ!

 今までも散々「男?」と疑われてきたが鷲掴みされた事はない。てかさ、しようと思うか普通。


 「あるわね」あるよ!


 後ろのメイドさんの顔が真っ赤になってる。僕もだろうけど・・・


 「何するんですか!」思わず叫んで睨んでしまった。


 「あら、そんな表情もするのね。確かに男らしい顔になった・・・と言うかドストライク! 超好み! レオンより魅力的だわ!」手をワキワキしながらこっちへ来ないでほしい・・・


 そこから僕は逃げるように走り去った。

 あの人は危険人物だ。今後近づくのはよそう・・・



 結局やる事も出来ないまま自室へ戻ってきた。部屋にはパジャマ姿の二人と寝ているペルちゃん。


 「あれ? 二人の部屋は隣では?」


 当たり前の疑問を二人にぶつける。


 「優様が間違いを犯さないか監視するためにも一緒に寝ます」と秘書ちゃん。

 「優様、男女7歳にして同衾どうきんせずです」とメイドちゃん。

 

 二人と寝る方が問題ある気がします・・・それにさっきの出来事もあるし・・・

 女怖い・・・


 僕の中で素晴らしい案が浮かんだ。


 「じゃあ二人はここで寝て、僕は隣の部屋で寝るか「「ダメです」」ら・・・なぜ?」


 グイっとこちらに詰め寄る二人。


 「この城のメイドに襲われるかもしれません」と秘書ちゃん。

 「レオン様に襲われるかもしれません」とメイドちゃん。


 どちらかと言うとマリアンヌさんに襲われる気が・・・ってレオンさんとの事バレてる!?


 「レオン様から先ほど謝罪を受けました。お出かけになり、病院で点滴を受けるとの事です」良かった。生きてた。


 「それとペルちゃんがこちらへ泊るのも承諾されました」


 なんだ。初めから僕が出向かなくても要件は済んでいたのか。それなら部屋にいればよかった・・・


 「ですから優様」

 「こちらで寝ていただけますよね」


 迫るふたつの笑顔に「ハイ」としか答えられませんでした。




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