表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/595

第6話 委員決めと生徒会長

 

 先生が教室に入ってくると自然と静かになる。


 「はい皆さんおはよう! あら兎月君メガネやめたの? そっちの方が美人で素敵よ!」


 そうです美人でステキな顔なので眼鏡で隠していたんです。


 「はあ、どうも」


 「昨日も言ったけど、これから委員を決めてもらいます! まずは学級委員から行きましょうか~」


 テンション高く先生が役員決めを進めていく。基本挙手でなりたい役員を決定していく。委員長は眼鏡におさげの地味娘さんに決まり、副委員長は自己紹介を潰された吉田君に決まった。


 ちなみに僕の狙いは保険委員。理由は簡単で放課後の活動が無い。放課後忙しい僕にピッタリである。


 「じゃあ次は保険委員になりたい人~」


 僕の挙手。


 一斉に挙手。


 なんでだよ!明らかに俺の反応が一番早かった。僕と同じ委員になりたいのか?


 「えぇ~と、保険委員なんだけど……あぁ、そう言うことか!」


 先生の推理? が終わったのか何やら納得して話をはじめた。


 「兎月君は保健委員以外にして頂戴」

 

 「へっ、いや何でですか?」


 驚いて間抜けな返事をしてしまった。入学式でもそうだが僕の癖みたいだな、このリアクション。


 「あのね、ちょっと考えたんだけど兎月君が保険委員になると、わざと怪我して保健室までデートなんて考える生徒が出る可能性があるのよ。いや絶対にいるわね」


 それは考えすぎじゃ……


 「「「「「チッ」」」」」


 うわ~大量の舌打ちが……このクラス怖いんですけど。


 「わかりました」


 プチ恐怖体験して納得したよ。


 「何で保険委員がいいの? 理由でもあるの?」


 隣のわんこの疑問に答えると先生が「それなら美化委員はどう? 放課後の活動はないし、汚れが目立つ所を報告したりするだけよ」


 なるほどそれはよい条件だ。


 「それでお願いします」


 「みんなもいいわね~」の声に「は~い」と返事をくれる生徒達。


 「じゃあ吉田君クジ作って!」


 吉田君には迷惑をかけてばかりな気がする。


 出来上がったクジはわんこ提供のエコバックに入れられ、淡々とクジが行われた。当選者は水樹琴音みずきことねさん。自己紹介では吹奏楽部に入るとか言ってた子だ。スラットした長身で目鼻立ちがくっきりした美人さん。フルートでも吹くのだろうか?


 その後、問題なく委員決めは進んだ。



 さて、昼休みになりボッチ飯をしようと机の上に弁当箱を置くと左から軽い衝撃。


 「一緒に食べましょう」と言いながら机を隣へ寄せてきたわんこ。


 「俺らもいいだろ」と机を回転させるゲレンデと普通。


 「おぅ」若干引き気味に返事を返してしまった。


 「やっぱり綺麗、兎月君って男子だよね?」


 「ああそうだよ。あと男の事も好きじゃないからな」


 これは強めに言ったほうが良かったかな?


 「マジかー」

 「告白前にフラれたー」

 「初恋だったのに」

 「女子でよかったー」

 「付き合えるかは別でしょ」

 「なに? あんたらも狙ってるの?」


 強めじゃなくても伝わったらしい。ただ女子がめんどくさいな。それにしてもミートボールうまいな。


 「午後は部活説明会だっけ?」


 僕の言葉にわんこが「そうだね。やっぱり兎月くんは部活しないの?」


 「放課後は暇がないからなぁ。今日だってモデルの仕事あるし、お見舞いにもいきたい」


 「お見舞い?」


 「母がちょっとね」


 「ごめんね、何か悪いこと聞いちゃって」


 わんこが卵焼き落としてまで謝罪してきた。落ちた先がご飯の上でよかった。


 「気にするな。ゲレンデは体格いいし部活するのか?」


 「俺は柔道部に入るぞ。小学校から続けている」


 柔道だけでこんなに筋肉質になるのだろうか?


 「俺はバスケ部。少しでもモテたいからな!」


 普通よ。お前は焼きそばパンをもっと上手に食べれるようになった方が、モテる気がするぞ。

 それとゲレンデ。お前の弁当はバナナひと房ってツッコんでいいかもわからない行動。どうしたらいいんだ……

 わんこのお弁当は無駄にかわいいな。ウインナーが象さんの形になってる。


 「そうそう、兎月くん昨日の放課後生徒会長が呼んで……


 わんこの言葉が終わる前に叫びに近い声が教室に木霊した。


 「兎月優はいるかぁぁぁぁぁ!!!」


 まるで殴り込みに来たような叫び。入って来た女生徒の胸元には黄色のスクールリボン。三年である。と言うか生徒会長である。


 「先輩何の御用でしょうか?」


 すぐに目が合い顔を少し赤く染めビシッと僕を指さした。

 

 「すぐに生徒会に入りなさい! 学年主席は入るのが暗黙のルールになってるの!」


 何その横暴。生徒会に入ったらやること多くて大変じゃないか。それに放課後だって活動があるだろうし、マジかー めんどー 誰かこの人とめてよ~。


「先輩すいません。自分忙しいので生徒会とか無理です。」


 正直に説明すると生徒会長の眉間にしわが寄る。


 「その無理は無理だ! 諦めて生徒会に入れ! お前のような美人が生徒会に入れば他の生徒だって協力的になるメリットだってあるんだ! 絶対入れ! と言うか入らないの選択肢はない!」


 何この人。超危険人物なんですけど。自己中すぎる。まぁこの手の人の対応はしたことがある。会話にならないなら話の方向をずらせばいい。中学までに学んだことでもある。


 「今日もすごく髪の艶がいいですね」はいここで一番のスマイル。


 生徒会長さんの顔は耳まで真っ赤に……


         作戦名:褒めてうやむやに

 話題の方向を変えつつ褒めることで相手の気分もよくなる。ここからシャンプーの話にでも持って行き昼休みが終わればそれで逃げ切れる。ふっ


 「みゃみゃみゃ……みゃた明日来る!」そう言い走り去る生徒会長。


 珍しい噛み方する人だな……それにしてもあっけないほど作戦が成功した。


 「なぁ大丈夫か? あの生徒会長たぶんだけど、お前にホレたぞ」


 何を言うゲレンデよ。人の心は変わりやすいとか言うけど、そこまで簡単に惚れる奴なんていないだろうに。髪の艶を褒めただけだぞ。


 「ストーカーにでもなったら大変だな。今のお前はメガネなしの超美顔だし」


 「あっ」忘れてた。メガネはわんこに破壊されていたんだった……


 「うわっマジ美人!」

 「あれ昨日の新入生代表でしょ~」

 「一組いいなぁ」


 そんな外野の声を聞きながら、自分の席に突っ伏した。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ