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第583話 第一回 USAにあ~ん権争奪ビンゴ大会



 ビールサーバーを使い量産していると料理が運び込まれます。


 真っ赤な毛ガ二にザンギと呼ばれるカラアゲや船盛りのお刺身に、輝くイクラが盛り放題の桶と炊き立てのご飯。

 他にも色取り取りの料理が並びテンションが上がります。


 上がりますが、僕はいつまでビールを量産すればいいのでしょうか?


 ずらっと並べられたビールジョッキにビールを注ぎ続けますが、目の前でぐびぐびと無くなって行くさまを見ると……これは新しい刑罰になるのではないかと思うほど心にきます。


 大きい口を開けイクラとご飯を口に入れるMINIUSA。


 海苔にご飯とウニを乗せて大口で頬張るKUROUSA。


 甘エビをモグモグしながら笑顔を浮かべるウィレオくん。


 大きなザンギに噛り付き熱々だったのか、すぐに冷たいウーロン茶を口にするレオーラさん。


 母さんと祖母もビールを煽りながらお刺身を口にし、満面の笑みを浮かべています。


 メイドちゃんはカニを腕力で粉砕し噛りつき、ゲレンデと美佐さんはひたすらカニに夢中です。


 クリスさんはサーモンのマリネを口にして叫び、レオネーネさんはマグロの握りを手で食べ……


 僕も何か食べたいのですが……


 右手に疲労感を覚えはじめると何やら配られるビンゴカード。


 メイドズたちが何やら立て看板を搬入してきます。


『第一回 USAにあ~ん権争奪ビンゴ大会』


 どうやら僕には食事の自由が奪われている様です。


「それでは本日のメインイベント! 第一回、USA姫あ~ん権争奪ビンゴ大会を開始致します! 手元にビンゴカードが配られましたか? 持っていない人はこちらに予備がありますから申し出て下さ~い」


 メイドズの司会で開始されるビンゴ大会。参加者の皆さんはテンションを上げビンゴカードを掲げています。


「USA姫にあ~んしたいか~~~~~」


「おおおおおおーーーーーー」


「目の前で噛り付くUSA姫を近くで見たいか~~~~~」


「おおおおおおーーーーーー」


「いつもメイド長ばかりUSA姫と接してずるいぞ~~~~~」


「ずるいぞーーーーー」


 何やらメイド長へ矛先が向きますがそれを肯定してか、会場の参加者たちへ笑顔で軽く会釈です。


「それではクジで当選番号を決めたいと思います。MINIUSAちゃんとKUROUSAくんはこちらにお願い致します」


 一段高くなっているステージへ向かう二人。MINIUSAはイクラ入りのご飯茶碗を置いて行きましょうね。


 ワンコママからご飯茶碗を奪われながらも壇上へ上がる二人に拍手が巻き起こります。


「こちらの番号が入ったピンポン玉に数字が記入されていますので、二人には交互に引いて頂きましょう。まずはMINIUSAちゃんに、と思いましたが口元を拭きますのでKUROUSAくんにお願い致しましょう! では、どうぞ!」


 メイドズの司会がおしぼりを持ちMINIUSAの口元を拭います。ご飯粒がつくまでは理解できますが、イクラの粒がついて気が付かないという奇跡に驚きです。


 綺麗になったMINIUSAの横でKUROUSAがボックスに手を入れかき混ぜひとつ取りだします。


「えっと、三番!」


 三と書かれたピンポン玉を掲げると宴会場に叫びが上がります。


 まだひとつ目なのだからそこまでテンションを上げなくてもと思うのは、僕が参加者ではなく商品だからなのでしょうか?


「はい十五番!」


 今度はMINIUSAが引き、またも大絶叫です。


 近くでビールのフォローをしてくれているメイドズもビンゴの番号を気にしているのかカードを見て肩を落とします。


「三十一番!」


「リーチの方は手を上げて下さいね~真中はフリーになっていますから、早い人はここでリーチですからね~」


 ビールフォローのメイドズが嬉しそうに三十一番を見つけ穴を開けます。初めて開いた穴をうっとりと見つめ……早く次のジョッキを下さい。


「四十番!」


「リーチ!」


 大きな声でリーチ宣言をする三名。


 一人はメイドズの中でもシングルナンバーで序列が五位のメイドズ。


 二人目はメイドズ。


 三人目もメイドズです。


 会場の半数近くはメイドズなのでメイドズになる確率は高いです。メイドズ意外の人たちも頑張って下さい。


 運ですが……


「二番!」


 背伸びして二番と書かれたピンポン球を高く掲げるMINIUSA。


「リーチ!」


 ラビットテールの人事部長だと思われる女性が手を上げます。


 ビールフォローのメイドズはフリーも合わせて、まだ穴が二つです。頑張れ!


「これでリーチは四名ですね! みなさんも気合で番号を引き寄せましょう!」


 中々無理な事をいう司会のメイドズに、会場からは唸り声を上げて手を前に出す人も現れ始めています。


「二十番!」


「リーチ!」


 経理部課長が手を上げジョッキを煽ります。あの人には税金関係の事を以前聞いた事があり、とても親切にしてくれた人なので頑張ってほしいです。


 おっ、ビールフォローのメイドズもひとつ穴が開きましたが、真ん中と右上とその真下が開き絶望的です。


「三十五番!」


「リーチ!」


 高々と手を上げるレオネーネさんは晴れやかな顔ですが、「ビンゴ!」の声が上がり崩れ落ちました。他にも崩れ落ちるメイドズやラビットテール関係者。


 ビールフォローのメイドズは手にしていたビンゴカードをクシャリと握りつぶし、注いだばかりのビールを勢い良くグビグビです。


「どれでは経理部部長は前の方へお越し下さい。それと殺意の籠った視線を向けるのはやめて下さいね~嫉妬は醜いですよ~」


 壇上へと上がる経理部部長の背中は何となくですが逞しく見えました。



 お読み頂きありがとうございます。

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