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第552話 祖母の家



 祖母の用意した車に乗ると思い外へ出ると、大型のヘリがグランドに着陸しています。


 卒業生やその保護者たちがスマホで写真を撮っています。


 撮影されながらヘリへと乗り込みパラパラと浮き上がると、そこからは早かったです。


 上昇し山が見えてくると着地です。


 乗車時間は五分もなかったかもしれません。


 到着したのは郊外の山裾にある洋館です。


 昭和モダンというのか紫がかった屋根に、ステンドグラスの窓が中央にあります。


「ここは昔教会だったのよ。それをリノベーションして私の好みの部屋割にしたのよ」


「さ、流石ソフィアさま……お金持ちはやる事が凄いわね」


「私なんてさっきのヘリコプターの中ぐらいの広さに住んでるのに……」


 一緒に乗り込んだ二組の担任教師の言葉に思う所があります。


 それはヘリが広かったからだと思いますよ。あのヘリも元軍用で多くの兵士がパラシュートで降下する為のヘリコプターだったと思いますし、先生の部屋は2DKぐらいありますって。


「ほら、みんなも待ってるわ。行くわよ」


 二階になるのか、高い窓から顔を出すワンコとレオーラさんに一華ちゃんが見えます。隣の窓にはペルちゃんとアシュレちゃんにリリアナちゃんの姿まであり、みんなで手を振ってくれています。


「あら、可愛い子たちがいっぱいだわ」


 ショタコンを拗らせている二組の教師に若干の不安を感じますが、一華ちゃんは制服姿ですし大丈夫でしょう。


 広い庭を抜け大きなドアの前には五名のメイドがおり「お帰りなさいませ」とフランス語で出迎えてくれます。


 軽く会釈し中へ入ると吹き抜けの真っ赤な絨毯の敷かれた階段があり、二股に分かれています。

 正面には祖母と祖父の肖像画が飾られ、その脇にはレオンさん夫婦やペルちゃんの肖像画もあるのですが……


 顔を上げて気が付いたのですが、吹き抜けの高い天井に空を飛ぶ魔法少女の姿があります。


 箒に跨り飛ぶクラシックな魔法少女や、ロボ的なパーツを体に付けて飛ぶ魔法少女や、ひとつ目を光らせ飛ぶ赤い三倍のモ○ルスーツに、タンバリンを叩く四等身の魔法少女などが吊るされています。


 元教会が祖母の手によってアニメ博物館へ変わったのかもしれません。


「うわ~懐かしい作品ばかりだわ」


「あれなんて小学校の時の作品じゃない。オープニングのアニメを踊ったのを覚えてるわよ~」


 小学生の時に見たアニメで年齢が解りますよね~。


「それも特注で作ってもらったのを持ってきたの。高い吹き抜けに飾ると空を飛んでいる様でしょ」


 祖母が自慢げに語りますが他にも多くの場所にアニメ作品が飾られていそうですね。


「みんな~いらっしゃ~い」


「会いたかったです!」


「優も早くおいでよ! 面白そうなものがいっぱいあるよ!」


 二階の通路には手すりがあり、そこからみんなが僕を呼んでくれます。


「優ちゃんもみんなと合流してきなさい。夕食の準備はこっちでするし、桜ちゃんと秘書の子もそろそろ到着するわ。用意した部屋へ行ってらっしゃいな」


 どうやら今日はお泊まりが確定しているようです。何かしらのサプライズがあるかもしれませんね。


「左手の階段を上がった三番目の部屋になります」


 メイドさんからカードキーを渡されましたが、できたら昔ながらのゴツイ鍵が良かったです。折角の洋館がハイテク機器に……


 良く考えれば身の安全という意味でもカードキーの方が信頼できますね。


 階段を上がりペルちゃんにアシュレちゃんが左右にくっ付き、リリアナちゃんは正面から受け止めます。


 幼女に囲まれ下からひそひそ聞こえますが、こんなに懐いている子供たちを遠ざける事ができる人がいるとは思えません。


 だから、臼ちゃん先生のいう、ロリコンという単語は使わないで下さい!


「卒業おめでとう!」

「大学生ですか?」

「社会に出るのですか?」


 確かに卒業式でしたが、僕はまだ高校生ですよ。


「えっと、僕はまだ二年生だから卒業は来年だね」


 僕の言葉に抱きついている少女たちは顔を赤くします。


「ペルが卒業だっていうから~」


「リリアナちゃんだって卒業ならお祝いだ~って言ったもん!」


「ワンコちゃんは卒業したと言ってましたよ?」


 アシュレちゃんの言葉にワンコを見ると両手で口元を隠し笑いを堪えています。


 どうやらワンコに騙されたのでしょう。


「ワンコちゃんだけ飛び級で卒業したのですね!」


 アシュレちゃんのピュアな喜びにワンコの笑いが治まりますが、目が死んでいませんか?


「そうだったのですか!?」


「ワンコちゃんは凄いです!」


 アシュレちゃんとリリアナちゃんもピュアなようでワンコが少し震えています。


 ワンコの成績を考えると、飛び級よりも留年の方が……


「ご、ごめ~ん、みんなを騙してごめ~ん」


 半泣きになりながら謝罪して、少女たちに抱きつくワンコ。


 僕の前には少女の塊が更に一人増えました。


「やっぱり兎月くんはロリ……」


「違いますからね!」


 後ろから聞こえた二組の担任ショタコンの声に否定し、臼ちゃん先生もニヤニヤした顔を向けて来ます。


「ほらほら、部屋を確認して来なさいな」


 祖母の言葉に言い訳を重ねるのを諦めて足を進め、られないですね。


 ペルちゃんとアシュレちゃんとリリアナちゃんにギュッと掴まれている事もあり、ワンコが落ち着くまで待ちましょう。




 お読み頂きありがとうございます。

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