表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
538/595

第538話 推理しますか?



 ホームルーム終わりの教室内では、ざわざわ……ざわざわ……とした期待に胸を膨らませた男子たちとは対照的に、女子たちはキャッキャしながら友チョコを渡し合っている。


 食べ始めている女子たちもおり甘い匂いに甘い空気が教室内に充満する中、メイドがチョコを配り始めました。


「いや~朝からまいったわ。着替える時間すらなかった。そうそう、今日は余りものだけどみんなプレゼント!」


 そう言いながらメイドがチョコを配り始めたのです。


 三人も……


 ジョセフィーヌを部長とした美術部員はこのクラス二三名おり三名ともメイド服のまま配り始め、複雑な表情をしながらも「ありがとう」とお礼をいう男子たち。そして女子たち。


 一個十円の小さなチョコですが、それには丁寧に小さなリボンが巻かれています。


「まぁ、ありがとう! って、それよりも着替えてメイクを落として来なさい!」


 一時限目の担当である臼ちゃん先生に怒られましたが、どことなく晴れやかな表情で返事をする美術部長と部員たち。


 同じ美術部の部員である取り巻きBは呆れた顔で見ています。


 美術部員たちはメイド服を着てチョコを渡したかっただけかもしれませんね。





 午前中の授業が終わり昼休みになると、ざわざわ……が加速して流れているのか、男子たちがお昼も食べずに教室から出て行きます。


「男子たちみんないなくなっちゃったね」


 ワンコの言葉に確かにと思いますが、ジョセフィーヌにゲレンデに僕も一応男ですからね。


「腐腐腐腐腐、行き先が気になりますか?」


 気になるのは牛酉さんの笑い方と蓋を開けたお弁当です。


 お弁当箱の中にはギッチリとチョコの玉が並んでおり、態々お弁当箱に入れる理由はあったのだろうか? 

 もうチョコの箱ごと食べればいいと思う自分がいますが、それは無粋でしょうか?


「どこ行ったんだ?」


 ゲレンデもチョコを食べているのですが、去年のお弁当箱いっぱいに固まったチョコではなく、チョコレートケーキをホールごと机の上に出し食べています。


 どこに隠し持っていたのでしょうか……


「私も気になる!」


 ワンコは普通のお弁当です。バレンタインに浮かれる気持など一切ない、普通のお弁当です。


「そんなの決まってるだろ~校舎内を歩いて落ちているチョコがあれば拾ってるんだろ」


 そんな野犬みたいな考え方のクラスメイトはいないと思うよ。


 ジョセフィーヌの言葉に心の中でツッコミますが、安定のパンです。チョコが塗られた菓子パンですが、パンなのでセーフです。


 それにしても男子たちはどこへ消えたのでしょうか?


「腐腐腐腐腐、今日はバレンタインということはみんな知っている事実です。では、バレンタインといえば?」


「告白!」


 目をキラキラさせ叫んだのはワンコです。


「えぇっと……告白もそうだけど、バレンタインといえばチョコを渡したいの。では、誰の元にチョコが渡ると思う?」


 何やらクラス中の女子たちの視線を受けるのですが……


「そして、そのチョコをどうやって渡そうと思う?」


「わかった! 優ちゃんに直接手渡したいから、休み時間か放課後に時間を作ってもらって渡す!」


 ワンコが元気な声で答え、僕としては嫌な予感が……


「腐腐腐腐……そう、直接手渡したい! その為にクラスメイトの男子をまず呼び出して、手紙を渡して貰うのよ! きっと呼び出された男子生徒は胸を時めかせて行ったのに、総帥へ渡して下さいと、手紙を受け取っているはずよ! 腐腐腐腐腐……」


 なにそれ怖い……


「そっか……だから男子生徒だけいないのか……」


「やっぱり優はモテモテだね!」


 おにぎりをモグモグしていたレオーラさんですが、貴女も登校中に大きな袋二つ分貰っていますからね!


「総帥なら仕方ない事ですが、去年はそんな事なかったですわよ」


「それは卒業生たちが家庭学習期間に入った時期が関係しているのよ! 去年の十四日は登校日だったけど、今年は十五日が登校日になっている! だからこのクラスの男子たちを呼びだしてチョコなり手紙なりを渡して貰うんだわ!」


 なにやら取り巻きAさんが犯人を当てそうなテンションで推理し、メガネをクイと直しキラーンと光っています。


「それだと男子たちが何だか可哀想だね……」


 優しいワンコに僕も同じ気持ちです。


 バレンタインに呼び出されれば、きっと期待するだろう……


「あっ……俺ちょっと涙出てきた……」


 ジョセ村の呟きにみんなでその瞳に視線を向けますが、涙よりも口の周りに付いたチョコの方が気になります。


「腐腐腐腐腐……男子たちが戻ってきたわ……」


 牛酉さんが言うようにゾロゾロ肩を落とした男子たちが戻ってきます。が、中には喜びを隠しきれない表情で口元を押さえチョコを持つ生徒も数名おり、こっちはチョコが普通に貰えたのでしょう。


「天国と地獄ですわね……」


 ポーズを決めるお譲を無視して食べ終わったお弁当箱を片付けていると、手紙を持った男子生徒が僕の前にきますが……


「あの、これ、受け取って下さい。卒業生と下級生に同級生たちからです」


 大きな紙袋に入れられた手紙の多さに引く自分がいます。


「優はモテモテだね!」


 ちょっと笑いながらイジってくるレオーラさんですが、僕と同じように紙袋に入れられた手紙を受け取り顔が引き攣っています。


「レオーラさんもモテモテですね」



 お読み頂きありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ