第525話 和朝食
みんなでダイニングへ向かうとお酒臭さはなくなっており、メイド長とメイドちゃんに感謝です。
酔っぱらって転がって寝ているメイドズの姿もなく足を進め、ダイニングにあるテーブル席へと向かいます。
テーブル席に付くとメイド長とメイドちゃんが動き回り朝食を並べてくれます。
土鍋で炊いたご飯に豆腐のお味噌汁に白菜の浅漬けが並び、出汁巻き玉子にアジの開きとほうれん草のお浸しにヒジキの小鉢が添えられた一般的な日本の朝食です。
最近ではパンやシリアルといった家も多いですが、昔ながらの朝食というか、旅館の朝ごはんといった感じのメニューです。
「うわぁ~憧れた日本の朝ごはんです!」
リリアナちゃんが目をキラキラさせていますが、珍しいものに興味を持っていますね。
ペルちゃんとアシュレちゃんもリリアナちゃんに触発され、同じ様に朝ごはんをキラキラした瞳で見つめています。
「リリアナちゃんは日本の朝ごはんに憧れてたの?」
一華ちゃんの言葉に「はい!」と笑顔で肯定します。
「ペルとアシュレに自慢されましたし、メシテロアニメや、我儘に食事をするサラリーマンのドラマが大好きです! 向こうの朝食はクロワッサンだったり、シリアルだったりして、ずっと日本の朝ごはんに憧れてました! ほかほかなご飯が一番のご馳走です!」
先ほど聞きましたがリリアナちゃんは十歳まで日本で暮らしており、ここ二年ほどをフランスで過ごしていたそうです。
ペルちゃんやアシュレちゃんと同じ学校に通い仲良くなって、父と姉であるジャドさんにお願いしオークションでUSAの看板を落札したそうです。
「いただきます」
いただきますの声が重なり、朝食の開始です。
「リリアナちゃんもお箸を上手に使えて偉いね」
ワンコが褒め「えへへ」と照れながらアジの開きの身を取り出し口へ運びます。
「美味しいです! メイド長さん、我儘を聞いてくれてありがとう」
リリアナちゃんからのお礼に笑顔で応えるメイド長。
「このお魚は骨がないです!?」
「知り合いの鮮魚店で特別に作って頂いたアジの開きです。ピンセットを使い背骨を残し、それ以外の骨は総べて取り除いて頂きました。焼く前にこちらでもチェック致しましたが、取り残しはないと思われます」
最近多い骨を全て抜いてある魚の切り身ですね。食べ易くていいと思いますが手間のかかる大変な作業をありがとうございます。
「あれ? ジャドお姉ちゃんは一緒に食べないの?」
ワンコと同い年なのにお姉ちゃんと呼ぶのか……
「お姉ちゃんはパパとママと一緒にこのホテルの名物のクロワッサンとエックベネディクトを食べています。私以外はみんなパン派でルームサービスを取っているはずです」
「クロワッサンもたまに食べると美味しいよね。サクサクするしサンドイッチにしても美味しいよね」
ワンコは甘いパンが大好きですよね。
「私もご飯派かな。玉子かけご飯とか大好きだよ」
「ペルはパンケーキが好きです!」
「私も朝はパンケーキとカリカリに焼いたベーコンにサラダが好きです。もちろん、和食の朝食も大好きです!」
「U? ゆ? 優お兄ちゃんは何が好きですか?」
ペルちゃんは僕がデニムのロングスカートを着ているので、USAか僕か悩み優お兄ちゃんにしたようですね。
「僕は和食も洋食も好きだよ。朝食なら和食かな、玉子かけご飯も好きだし、炊き込みご飯も好きだよ」
「炊き込みご飯知ってます! 人参にゴボウに鶏肉を入れて出汁で炊き上がるご飯ですね!」
リリアナちゃんは料理が好きなのか、大まかな作り方を知っているようです。
「この前はヒジキを使った炊き込みご飯のおにぎりを持って来てたよね」
ワンコから先日のお弁当内容をばらされましたが、確かにヒジキを使いおにぎりにしたものです。ただ、炊き込みご飯ではなく、混ぜご飯ですね。
「おにぎり!? おにぎりも大好きです! 日本のおにぎりは面白い開封の仕方で楽しいですよね」
「面白い? ああ、コンビニのおにぎりは真中を下に引いてから、左右を引っ張って開けるもんね」
一華ちゃんがコンビニおにぎりだと推理しトークを広げます。
コンビニおにぎりの開け方は面白いですし、海外の人は開け方が解らなくて苦戦すると聞いた事があります。
「あれは画期的な開け方です! 海苔がパリパリで食べられます!」
おにぎりトークにリリアナちゃんのテンションが上がってきました。
「海苔巻きも面白い開け方だよね」
「そうです! 海苔がパリパリで画期的であり美味しいのです!」
何やら拳を振り上げたリリアナちゃん。
「サンドイッチも後ろから開けて取り出せるよね」
ワンコもサンドイッチの話で画期的な開け方のトークを広げますが、リリアナちゃんは拳を戻し、お味噌汁へと興味が移ったのかお豆腐を口に入れ頬笑みます。
「玉子焼きが甘いです!」
「オムレツとは違った美味しさがありますね」
ペルちゃんとアシュレちゃんも笑顔で朝食を食べ終わりましたが……
この後にジャドさんのコスプレに付き合う事になると思うと、気が重いです……
お読み頂きありがとうございます。




