第521話 寿司とは……
「甘くて美味しいです! 日本の玉子料理は美味しいです!」
リリアナちゃんが玉子のお寿司に厚焼き卵に茶碗蒸しを頬張り自然と笑顔になり、隣に座るペルちゃんやアシュレちゃんもお寿司を頬張り笑顔です。
「アナゴのお寿司はタレが甘くて美味しいし、ツナマヨ軍艦は最強です!」
「コハダに昆布締めしたタイも、奥深い味わいで美味しいです」
ペルちゃんは子供が好き系な寿司をお好みで、アシュレちゃんは何というか渋いです。
「ご両親方やジャドさまに、USA姫さま方も如何ですか? この日の為に名店から回転寿司まで回り修行の度に出ておりました! 寒ブリにノドグロなどの旬の食材も取り揃えております」
寿司メイドズは寿司を握るポーズを取りながらお勧めを教えてくれますが、手元にはお重があり、こちらも中々凝った料理で美味しいですし……
「私はイカを下さい!」
「こちらには寒ブリ? をくれるかな。それとマグロを頼むよ」
魔法少女がイカを注文し、レオンさんが寒ブリを知らないのか語尾上がりで注文します。
「私はエビとトロタクにカリフォルニアロール!」
「まぁ! 私もカリフォルニアロールをお願いね」
「寿司の天ぷらはあるかな? アメリカで食べた事があるが、あれは美味しかったよ」
母さんが注文し、リリアナちゃんのご両親も注文しますが、カリフォルニアロールに寿司の天ぷらですか……美味しいのかな?
「畏まりました。握りなら総て天ぷらにできますが、火を通して美味しいのはサーモンと白身魚ですね。サーモンとタイにヒラメなどを寿司の天ぷらに致します」
寿司メイドズは流石ですね。寿司の天ぷらのリクエストまで応えられるようです。
これも回転寿司を修業先に選んだ意味があるというものです。
老舗や名店だったら大将にブン殴られるか、鋭い眼光を向けられているはずです。
「私も注文いいですか?」
MINIUSAの声に握りながらも笑顔を向ける寿司メイドズ。
「もちろんです!」
「マグロとサーモンにエンガワを刺身で下さい」
「ぼ、僕も同じものをお願いします!」
「私も頼めるかな」
「畏まりました!」
MINIUSAにKUROUSAにレオーラさんの注文が通り、寿司メイドズに刺身を注文したMINIUSAには、僕の心の中でファインプレー大賞を送ります。
お重は美味しく量もあるので、寿司よりも刺身だったら食べられそうです。
「ジャドさんは、お寿司は嫌いですか? 生ものが苦手なら玉子やカニにエビなんかもありますよ」
「いえ、好きなのですが注文のタイミングが難しいです。どのタイミングで話しかければいいのでしょうか?」
凄く共感のできる話ですね。
急がしそうにしていたら申し訳なくなって、注文するのを躊躇いますよね。
回転寿司ならパネルで選んでとかできますが、寿司メイドズがいま握ってるようなカウンターでの食事だと適当に一人前を頼んでから好きなお寿司をとか思いますが、タイミングは難しいですよね~
ひとり共感しているとKUROUSAが声を上げます。
「ぼくは今みたいに同じものを頼んじゃうよ……好き嫌いも特にないし、見てると美味しそうだなって思う事が多いから友達の注文に乗っかっちゃう」
「それなら板前さんの手間も減りますね!」
手を合わせ納得するジャドさん。
「私はどんどん注文しちゃいます! 欲しい物はちゃんと伝えたいです!」
魔法少女にイカ到着し口に入れ表情を崩します。
「できるだけ急ぎますので、好きなものを注文して下さい。エビにトロタクです。カリフォルニアロールは少々お待ち下さい」
トロタクを口に含んだ母さんは、うんうんと何度か頷きビールを呷ります。
「ジャドさんは何が食べたいですか?」
「そ、それなら、マグロとトロと中トロに鉄火と大トロをお願いします」
ひとりマグロフェアーですね。
「畏まりました。こちらがカリフォルニアロールです」
母さんとリリアナちゃんのお母さんへ煌びやかなカリフォルニアロールが届きます。アボカドにカニカマにフレッシュチーズにキュウリを海苔と酢飯で巻き、周りにはとび子のタマゴに覆われ、オレンジ色した巻きずしには金粉が振られています。
「ゴージャスですね」
「何だか日本の寿司がシンプルに見えるね」
「日本の寿司とは対極にあるけど、味は美味しいのよ」
母さんの言葉にKUROUSAも食べたいのかエアもぐもぐをしています。
「頼みづらいのならひとつあげるわね」
母さんの優しさにKUROUSAの目がキラキラです。
「こちらがサーモンとタイにヒラメの寿司天ぷらです。お熱いのでお気を付け下さい。塩か醤油か麺つゆを付けてお楽しみ下さい」
湯気を上げる寿司の登場に皆の視線が集まりますが、いま行ったら火傷必死ですがリリアナパパは行く気です。
「はふはふ、これは美味しいよ! 酢飯が驚くほど熱いけど、サクサクとした衣に適度に火の入ったサーモンが美味しいし、天つゆと良く合うよ!」
何だろう……凄く美味しそうに見えるのは僕だけじゃないらしく、手を上げるMINIUSA。
「私もサーモンのお寿司を揚げたの下さい!」
「ぼ、僕もお願いします!」
「ペルも! ペルも!」
「私もお願いします!」
子供たちが一斉に続き、そこから寿司を揚げるブームが到来しました。
ジャドさんもマグロを揚げた物を注文し、満面の笑みを浮かべています。
寿司メイドズに感謝しながらも、寿司とはこれでいいのかと最後まで悩む自分がいました。
味は美味しかったですよ。
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