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第487話 白紅歌合戦



 夕食の年越し蕎麦を食べ終えた僕たちは、そのままお店に残りお酒を飲む祖母たちに御酌をするウィレオくんやアニーちゃんにペルちゃんやアシュレちゃんを見て癒されています。


「孫が注いでくれた日本酒はうまいのう……うまいのう……」


「まったくじゃ! わしも息子が御酌をしてくれ……嬉しいぞ!」


 祖父と国王さまが御酌され泣きながら喜んでいます。


「何て感動的なのかしら」


「日本も海外もまだまだ捨てたもんじゃないわね!」


 臼ちゃん先生と二組の先生も貰い泣きをして感動していますが、飲み過ぎではないですか?


 臼ちゃん先生はシャンパンをラッパ飲みにしていますし、二組の先生の前には多くの飲みかけの日本酒が並び、利き日本酒でもしているように見えます。


「みんな~今年は応援ありがとう~これからも重音雪を宜しくお願いしま~す!」


「マース!」

「マース!」


 外から聞こえた放送に驚きましたが、それよりもウィレオくんとアニーちゃんが条件反射で声を上げる方が問題かもしれません。


「雪ちゃんの声が聞こえたよ! 世界の歌姫の雪ちゃんの声が聞こえたよ!」


 立ち上がり耳に手を当て声の方向素探すKUROUSAとMINIUSAも同じ様に耳を澄ませます。


「本日は正面玄関の前の庭園で白紅歌合戦の中継が行われております。ご覧になりたいのであれば、外に向かわれてはどうですか? この店は裏庭に面しており店からは見る事ができませんので向かわれるか、ネットの中継しか……」


 申し訳なさそうに説明してくれた店員さんにお礼をいって走り出すMINIUSAとKUROUSA。僕も後を追った方がいいのでしょうか?


 ウィレオくんとアニーちゃんも後を追うように走り出し、慌ててSPさんとメイドズが追い掛けます。


 僕も席を立つとペルちゃんとアシュレちゃんも席を立ち左右にくっ付きます。


「重音雪ちゃんの歌を聞きたいです!」


「重音雪ちゃんの歌はどれも耳触りが良くて大好きです!」


 ペルちゃんとアシュレちゃんも重音ちゃんのファンなようで、二人を連れてホテルの入り口近くまで向かい収録風景を見学しましょう。




 エントランス近くまでやって来ましたが凄い人です。


 エントランスホールでは通路を塞ぐようにワーキャー叫ぶ大人が多く、先に進める気がしませんね。


「MINIUSAちゃんとKUROUSAちゃんが可愛過ぎる~」

「二人揃って雪ちゃんを見つめて可愛過ぎる~」

「後ろ姿だけでも可愛過ぎる~」

「二人を育てる事ができたらどんなに幸せか!」

「あんたはまず結婚しないとね!」


 重音ちゃんのファンではなくMINIUSAとKUROUSAファンが道を塞いでいるのかな。


 どちらにしても進めないので諦めて、静かな所でスマホ使って見る方が良さそうですね。


 そんな風に諦めた所で僕の手を握っていた握力が若干強まりました。


 ペルちゃんとアシュレちゃんは見学したい様です。


 気合を入れ、頭を使ってこの危機を切り抜けましょう!


「よし! 二人とも重音ちゃんのライブ見たいよね」


「見たいです!」

「私も見たいです!」


 元気な返事をくれる二人に、僕はきっとこの辺りにいるだろうメイド長へ向かい話し掛けます。


「メイド長ならこの危機をどう解決しますか?」


「もちろん腕力です」


 目の前に現れたメイド長から恐ろしい言葉が発せられ、僕はドン引きです。


「誰も傷付かない方法でお願いします」


 僕が頭を下げお願いすると、ペルちゃんとアシュレちゃんも頭を下げました。


「あらあら、三人から頼まれては腕力だけでなく脚力も使わないとですね。彼方たちも聞きましたか?」


「もちろんです!」


「お任せ下さい!」


 メイド長の脇には序列二位と四位が現れました。


「ここは我々にお任せ下さい。では失礼します。」


 僕と手を繋いでペルちゃんが序列二位に奪われ、アシュレちゃんは序列四位が連れ去ります。


「USA姫さまもリラックスして私に体を委ねて下さい」


 僕を含めた三人はメイドたちにお暇様だっこされ、ジェットコースターのはじまりです。


 走り出したメイド長は僕を抱きかかえたまま飛び上がり壁を蹴って高く舞い、エントランスホールに設置されたシャンデリアに右手を伸ばして更に高く飛び上がります。着地した先は二階の吹き抜けで、下には多くの大人が玄関にいるMINIUSAとKUROUSAに向かいワーキャーしている所が見えますね。


 一瞬の移動でしたが股間な辺りがヒュンとなって怖かったです。


 そんな恐怖を振り返っているとペルちゃんとアシュレちゃんも到着しました。


「怖かったけど楽しかったです!」


「ラビットテールのメイドさんはみなさん凄いです!」


 怖さよりも楽しさや凄さが勝ったようで……僕としては恐怖でしかなかったです。


「それではこちらから外へ向かいましょう」


 窓を指差し鍵を開けると二階のバルコニーへと抜けられますね。


 みんなで進むとライトアップされたステージが見え、中心で踊りながら歌う重音ちゃんの姿が見えます。


「重音ちゃんが歌っています!」


「ですが後ろ姿ですね。これもファンとしてはレア体験なので嬉しいです!」


 あと数時間後に発売される魔法少女重音ちゃんのテーマ曲を歌う重音雪ちゃんの後ろ姿を見つめながら、白紅歌合戦で堂々とアニメDVDの宣伝する重音ちゃんの逞しさを応援したいと思います。





 お読み頂きありがとうございます。

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