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第43話 やっかい事

 昨日は大変だった。

 わんこを抱きしめて放さない母の説得に「着せ替え人形にしたら?」と言ったのがまずかった。

 そこから3時間ほどわんこの着せ替えショーが続き、夕食を作っているとメイドちゃんから「そう言えば撮影は終わったのですか?」との言葉。途中で抜け出したのだと、そこで気が付いた。

 そこから母にわんこを預け違う部屋でUSAになり、違うウエディングドレスに着替え撮影。ここで終わればまだ楽だったのに・・・


 「ほら、あれがUSAよ」母さん何で連れてきたー!!!!


 「うわーうわーうわー」ジャンプして喜ぶわんこ。


 どや顔の母よ、あんたは何でやっかい事を持ってくる!


 「あれ? 優ちゃんは?」そんな演技要らん!


 メイドズの一人が何やら話を合わせているがどうしたもんか・・・


 「よかったら一緒に撮る?」


 「いいんですか!?」


 母よ、今どれだけ自分が悪い笑みをしてるか教えてやりたいよ。


 そこから緊張するわんこと一緒に撮影。穴埋めの写真はいいのかよと思いながらも笑顔でわんこと一緒に写真を撮った。


 僕の考えたUSAの設定を思い出し、休憩中ひとりトイレに逃げ込んだり挨拶してくるわんこから少し距離を置いた返事で対応した。声も緊張した感じにしたりね。

 ばれて無いようでずっと笑顔のわんこ。それに癒されながらも、母へどう仕返ししようか考えた次第です。


 最後におみあげと言って一緒に写った写真をわんこにあげていた。

 メイドの一人がわんこを送っていくらしくマンションの下まで行き見送った。


 「本当に可愛いわね。優ちゃんあの子と結婚しなさいよ! そうすれば合法的に手に入る!」何言ってる! 寝言は寝て言え! これ以上苦労を増やすな!


 「そうだ!良い事思いついちゃった~」絶対悪事だろ・・・


 それだけ言い残しひとりご機嫌でその場をあとにした。




 そんな事もあってHRから疲れているのだ。


 「兎月くん元気がないけど大丈夫?」


 そう声をかけてきたわんこ。「心配してくれるのは嬉しいが、ほぼ君の事で疲れています」とは言えない。


 「ありがとな、大丈夫すぐに良くなるよ」


 わんこの頭を撫でながらそう言葉を返した。



 「「「「我々は兎月優さま親衛隊である!」」」」


 昼休みこの言葉が教室に木霊した。もう帰りたい・・・


 言葉を発した4人は元副会長とバスケ部主将とあと二人は知らん。と言うか元副会長何でいる! 捕まってないのかよ! 軍人共は何をしていた!


 「また伝説ができたな」ゲレンデもうやめて・・・


 「昨日はケーキごちそうさまでした」わんこは誘拐されたと思ってないのか。


 「よかったな、親衛隊だってよ」普通にバカにされるだと・・・


 「元副会長さん・・・また病気が再発しました?」


 ビッシと敬礼して「私は心を改めたのだ! 兎月優さまを守る存在へと。ここに誓おう!我々兎月優さま親衛隊は学校での安全を保障し未然に危機を無くす事を!」


 うわぁ~手のひら返しが半端ない。昨日まで僕の事をピーやピーさせようとした人を信じれるかよ・・・


 「それはありがとうございます。僕のストレス削減のためにも視界に入らないように行動してくださいね」僕酷くないよね? さっきから胃がキリキリ痛むのだもの・・・


 「「「「もちろんであります!」」」」


 一糸乱れぬ返事。練習でもしているのだろうか。


 「「「「失礼します」」」」その言葉を残し去っていく親衛隊のみなさん。新たなやっかい事が増えてしまった。


 お弁当で癒されよう。今日は久々のササミチーズフライ弁当。ササミにチーズを入れて大葉も刻んで入れた。チーズ入りの割に大葉でさっぱり食べられる。ほうれん草を巻き込んだ卵焼きも色合い鮮やか。ひじきの煮つけとアスパラベーコンもナイスな味付け。最後にふりかけ。カルシウム不足を補える逸品。カツオの香りが食欲をそそる。

 パンは普通を食べていたし、ゲレンデはパイナップルを食べていた。わんこはサンドイッチを小さい口でモグモグしている。

 少し癒されたかな・・・


 そんなランチの最中にメールの着信。

 秘書ちゃんからだ。メールの内容は・・・


 ご褒美コーヒーが売れすぎてクレーム対応が処理できなくなっているとの事。もう一つは昨日の事で母がわんこを連れてきなさいとの事。最悪誘拐しても可。

 可じゃねーよ! 僕だって二日連続で誘拐された事ないぞ!


 わんこ来てくれるかな?茶川さん大丈夫だろうか・・・


 やっかい事ばっかり増えて行く。もう帰って寝たい・・・




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