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第404話 美術部の一周年記念



 折角の土曜日なのに僕は今タキシードを着てダンスを踊っています。


 アーケード商店街に設置されたステージで美術部たちに混じり社交ダンスを何故か踊る羽目になっており、女装してないだけましだと思って踊りますが、僕が踊る理由はないと思うのですが……


 最高顧問とか言われましたが顧問は臼ちゃん先生であり、僕は何も……


 美術部の皆さんには毎日の登校時に助けて頂いていますが……


 恩返しも必要なのでしょうね……


 心の中で折り合いを付けジョセフィーヌをターンさせます。


 土曜日と言う事もあり人通りも多くステージ前で立ち止まり僕らのダンスを見て行く人もおり渋滞が起きない事を祈りながら踊っていると、警備員さんたちが現れ交通整理や安全確認などを行ってくれています。


 心の中で感謝しているとカメラを持ったメイドや幼女を抱いたヤ○ザやミーヤちゃんをペットキャリーに入れた元王子などの姿が見えます。

 どれも身内なのですが今日の事は黙って出てきたのに、どうしてこの場に現れたのでしょうか。


 まさか裏切り者が!?


 一番に裏切りそうなのは秘書ちゃんです。裏切りと言うよりも筒抜けでしょう。


 二番目に裏切りそうなのはメイドちゃんです。誕生日が近くパーティーの打ち合わせで連絡を頻繁に取っているので、口を滑らせたのかもしれません。


 三番目に裏切りそうなのはレオーラさんです。昨晩ドレス姿で炬燵に入っていたので一番怪しいです。


 四番目に怪しいのが美術部でもあるクリスさんです。執事姿に兜を被るというトリッキーな衣装です。コンセプトを聞いてみたい気もしますが触れないのが一番でしょう。


 犯人は解りませんが二曲ほど踊り終わりお互いに礼をしてステージを降ります。


 入れ替わりで美術部のメンバーがステージへ上がり社交ダンスを踊りますが、これは一体何なのでしょうか?


 一周年記念に商店街のステージを借りて社交ダンスを寒空の下で行う事が一般的なのでしょうか?


 一般的でない僕が言うのも変ですが、ちょっと可笑しくないですか?


 普通に食事会やお菓子を持ち寄ってワイワイすればと思うのですが……


「兎月くんのダンス姿はやっぱり様になっていますね。観客の皆さんの拍手が治まりませんね」


 この部の顧問である臼ちゃん先生に褒められましたが、あまり嬉しくありません。


「孫の晴れ舞台が見られて良かったわ」


 祖母にも褒められましたが、今日のこの場は僕の晴れ舞台ではなく美術部の晴れ舞台です。


「やっぱりあの子は女装の才能があったわね。内に秘めている乙女心がお花畑だわ」


 母さんの言葉に頭痛を覚えます。ジョセフィーヌという存在を誕生させたのは母さんでしたね……


 拍手も治まりステージでは新たなダンスが披露され四組のペアが踊り出します。


 ステージ裏へと向かうと緊張した美術部員たちの姿が見えます。


「みんなどうした。緊張するのは解るが練習もしてきただろう」


「それでもあんなに観客がいるとは聞いてないっす!」


「確かに多くの人が見ていたが、それは私たちの晴れ姿を見せつける事ができるって意味でもある。私たちは美しく凛々しい!」


「私たちは美しく凛々しい!」


 ジョセフィーヌの言葉に美術部員たちが声を合わせ復唱する。


「そうです! 美しく凛々しいのです! 一番に踊った私と総帥の姿はモニターでチェックしていましたね。あれをしろとは言いません。私は緊張しましたが何より楽しかったです。緊張を楽しめるようになるのは難しいかもしれませんが、晴れ姿を見てもらえるチャンスなどこの先あるかどうか……折角のチャンスなのだから最高の笑顔で楽しまなきゃ勿体ない! みんなは社交ダンスを初めて一年も経っていない素人なのだからミスするのは当たり前! もっと肩の力を抜いて楽しめ!」


「はい!」


 ジョセフィーヌが部長らしい激を飛ばしています。

 まるで本当の部活の様です。

 いや、本当の部活ですがキラキラと尊敬の眼差しを受けるジョセフィーヌ部長に違和感があるというか、何をやっているのだろうと思ったり、それに関わっている自分は何なのかとか……


 深く考えてはいけない気がします。


 用意されている椅子に座るとクリスさんが暖かい紅茶を差し出してくれました。


「とっても素敵でした。デース!」


 無理して語尾を付けなくても今の格好は十分個性が滲み出ていますよ。


 暖かい紅茶を口に含みモニターに目を向けると緊張し表情が硬く感じますが、楽しそうにダンスを踊る四組の美術部員さんたち。

 その中でも取り巻きBさんは苦笑いしながらも楽しそうに踊っています。

 何やらパートナーの男装執事ではなく視線を会場の一角に固定しているようです。


「そこでターンですわ! そうそう! 相手の気持ちになって寄り添うのがダンスですわ!」


 会場の一角で大声を張り上げダンス指導するお譲の姿が……


「誰かお譲の回収をお願いします」


 暇そうなメイドズにお願いし、お譲を回収しました。




こちらも宜しくお願いします。

異世界転移お鍋系ファンタジーです。


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お読み頂きありがとうございます。

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