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第33話 ご褒美

 

 GW明けの教室はいつもよりどんよりしていた。


 五月病

入学や進学といった気が張りつめた時期が終わり、急に来る連休により心がだらける病気である。


 そしてその感染者が僕の左前の席にも、普通である。


 「学校なんて滅びろ~」と机に顔をうずめながら言っている。それと対照的なのがわんこ。軽く頭を左右に振りながら笑顔だ。


 「わんこは元気だな。何か良い事あった?」


  横でちょこちょこ動く尻尾サイドテールが大きく動きこちらを見つめてくる。


 「な、なんでもないよ。久しぶりの学校が嬉しいだけだよ」


 学校大好きなのか。前の奴にもその気持ちを少しでも分けてやってほしい。


 「さぁみんな~今日も頑張っていくわよ~」


 担任ちゃんも元気そうである。多少のうざさも感じるが・・・




 普通の五月病は帰りのHRまで続いていた。


 「それじゃみんな気をつけて帰ってねぇ~兎月くんは誘拐されないように注意よ~」余計なことを言うな!


 「また明日も学校だぁ~」普通よ、相手にしてほしそうな目でこっちを見るな!


 普通が元気になる事ってなんだ? ? ? ?

 おっ良い事思い出した。


 「なぁ普通よ、今夜のバラエティー番組見ろ。きっと元気出るぞ」


 「若手芸人の? 奇跡体験?」


 「若手の方。じゃな!」


 それだけ言って下校、下校。今日もモデルの仕事がある。さて明日には元気になってほしいものだ。



 時は少し戻りGW少し前の日曜日。


 この日、僕とメイドズは七宝ビルのスタジオである作業に集中していた。みんなOLの姿と言えばわかりやすいだろうか。ベスト、ブラウス、タイトスカートを装備。

 一人メイド長だけはメガネを装備して年が増すようにお願いしている。


 今しているのはOLコスプレ大会ではなくCM撮りである。


 ご褒美コーヒーが形になり販売となった所で茶川さん(1話参照)にCMを作らせてほしいとお願いしたのだ。

 僕が提案したご褒美コーヒーなのだから売れてほしい。そのためにUSAを使おうと決めた。

 今まで一度も動いた姿のUSAをメディアへ出した事はない。確実に話題になるはず。と確信している。


 「は~~~~い! 本番いきますよ~」


 完全USA装備で薄暗い中、指し棒を持ち棒グラフや円グラフを指していく。そこではプロジェクターの光で誰かわかりずらいぐらいの見え方。

 そして明るくなる会議室内。ここで完全にUSAだとわかるだろう。

 カットが変わり無表情のメイド長が笑顔に変わる。そしてUSAも笑顔へ。

 プレゼンも終わり自販機前でご褒美コーヒーを飲むUSA。

 「よっしゃ!」と言いながら両手の拳を作りポーズ!

 最後にジャンプ!


 「はいOK!」


 ちなみに声はメイドちゃんに吹き替えてもらう。流石に声まで僕にしたらクラスメイトばれかねないよね。

 これがOL編。


 次は告白編の撮影である。

 これは白黒の無声映画風に撮る。メイドちゃんの負担を減らすため。


 スーツを着た男性の後ろ姿。その奥にUSAが不安顔。

 画面に入ってくる花束。それを見て笑顔に変わるUSA。

 花束を持ち男に抱きつくUSA。ここで男の肩へズームしてUSAの顔をアップに。

 男の車に乗り込むUSA。そして車中のドリンクホルダーにはご褒美コーヒー。

 そこで一度暗転して白黒終わり。

 カラー映像になりパジャマ姿のUSAがベッドから起きる。

 夢落ちである。

 朝日が差し込むテーブルには空いたご褒美コーヒー。


 8時間掛けて、この二本を撮り終えた。演技とは難しいと改めて思い知りました。

 特に起きる演技。「あざとさが残ってる!」「恥ずかしがらない!」

 散々言われた・・・


 CMを見た茶川さんは引くほど絶叫し喜んでくれた。



 そのCMが初放送される。もちろん普通に教えた番組のCMで。

 秋物の写真撮影を受けながら、今頃見ているだろうか? と思う次第です。


 次の日になる前から反響はすさまじく、その日の夜からニュースに取り上げられていた。メイドちゃんはそのニュースを見るたびに自分の声が恥ずかしいようで頬を染めていた。微笑ましい限りである。


 そして学校では・・・


 「兎月知ってたろ! なんでもっと前から教えなかった! 録画したかったのに!」


 すっかり元気である。


 「USA姫の声超かわいい~」

 「動くウサ姫かわええなぁ~」

 「あのコーヒーどこに売ってる?」

 「駅の自販機にあるよ。売り切れだったけど」

 「あんなに美味しそうに飲むもんな。どんな味だろ」

 「それよりUSA姫のOL姿!よかった~」

 「何言ってる! パジャマだろ!」

 「あのパジャマ姿は反則だよな」


 思ってた以上に成功なようでホッとする。


 あぁ今ご褒美コーヒー飲みたい。



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