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第31話 相談

 

 今、僕はおじさん達を引き連れて小さな町工場まちこうばを視察中。油と鉄の香りが充満する町工場は少し傾いていた。もちろん経営も・・・


 ことの起こりはGW前に遡る。


 「だ か ら! たまには学食を利用したいって言ってるの! 毎日パンだと飽きるんだよ! お前らは弁当作って来るからいいけど俺はパンなの! たまには米を食いたいんだよ!」


 普通よ。作ってもらえる彼女を作れ。


 ちなみにゲレンデの弁当はゆで卵20個です。


 「学食はまずい事で有名だろ?」ゲレンデより。


 「そうかもしれないけどお前ら食べた事ないだろ? 一度くらい行ってみようぜ」


 ウサギリンゴをぱくつくわんこに癒されながら僕もお稲荷さんを食べる。

 今日は秘書ちゃんリクエストのお稲荷さん弁当。珍しくお弁当をお願いされた。普通のお稲荷さんとレンコン入りの食感活かしたお稲荷さん。見分けがつくようにレンコン入りの方は油揚げを裏返しにしてある。浅漬けと肉じゃがにレンコンのはさみ揚げを添えた。


 「俺も米が食べたい! あばよくば、温かいものが食べたい!」普通の力説が続く。


 「うまっ」レンコンのはさみ揚げを食べて思わず言葉が出てしまった。


 ジト目で見てくる普通。


 「悪い、わざとじゃない」


 「明日は学食だからな! 絶対だぞ!」


 明日からGWなのに・・・


 そんな中、学食組が教室に帰ってきた。


 「なぁなぁ学食ってうまいのか?」吉田君に絡むな!


 「値段考えれば普通かな?」


 確かカレーが300円。カツどんが500円。日替わり定食が400円。だった気がする。他にもうどんや煮魚とかあるらしい。


 「兎月くん、相談事があるんだけどいいかな?」


 相談事? 吉田君からの言葉に「何?」と一言で答え最後のお稲荷さんを口に入れた。


 「ここだとちょっと、まだ休み時間あるし人がいない所で聞いてほしい」


 あら告白? じゃないよな・・・


 弁当箱を片付けて二人で購買近くの自販機の前まで移動した。


 「で、何かな?」


 言いずらそうにしている吉田君に話を振ると、吉田君は何か決心したのか話はじめた。


 「実はさ、両親が離婚しそうで、原因なんだけど・・・たぶん親父の工場がうまくいってないみたいなんだ。こんな事相談できるのは兎月くんぐらいだし、何かアドバイスとかあれば教えて欲しい。お願いできないかな?」


 「工場は何を作ってるの?」


 「精密部品? よくはわからないけど増産に向かない物とか前聞いた気がする」


 スマホから今日の午後の予定を確認。椿さんの所で向日葵ちゃんの誕生日会か。


 「放課後少しだけなら時間取れる? 家に行ってもいいかな? 吉田君部活あるっけ?」


 「ないない、良かった。是非来てよ。うちの裏に小さな工場があるから」安心したのか笑顔で招待してくれるようだ。


 「帰りは自転車? そうじゃなきゃ車で送るよ」


 「ありがとう」手を握るな!


 こうして放課後の予定が新しく決まり秘書ちゃんにメールで伝えた。



 吉田君の家は平屋で中々年期の入った木造建て。地震対策ができているか少し心配になる。

 工場はというと・・・年期は入っているが綺麗に片付いた事務室。それにプレス機は使い込まれて入るものの丁寧に掃除され作り手の思いが伝わってくる。

 壁に飾られたトロフィーや感謝状などもあり腕のある職人なのだろうと品を見なくても想像できた。


 「わかった。腕はあるけど依頼がないのか」


 「そうなの?」首を傾げる吉田君。


 「多分だけどね、今不景気から上昇しつつあるけどさ、真っ先に切られるのってこういった下請けなんだよ。だからさ、お父さんは今必死になって契約を取りに走り回っていると思うよ。最近は作業着よりスーツ着てないかな?」


 コクコクうなずく。


 「なら話は早いや、今度の日曜日空けておいて。お父さんもね」


 「GW中の月末だよね。わかった」


 「じゃ日曜日の10時頃迎えに来るから」


 それだけ言い残し僕は秘書ちゃんと車に乗り込む。


 「優様。少しきな臭い匂いがします。こちらでも少し調べてもよろしいでしょうか?」


 「ん? よろしく」


 何を感じ取ったのだろう。秘書ちゃんのカンは当たることが多いし注意は必要だろうか?

まぁあと2日以内に調べてくれるだろうし気にするのはよそう。




 本格的な日本庭園を走ってくる向日葵ちゃん受け止め「誕生日おめでとう」


 今日は向日葵ちゃんの誕生日。僕が家につくなり玄関から走って来て飛びついたのだ。4歳の衝撃だから耐えられるが、この衝撃が成長していくと思うと少し怖い。


 「待ちきれなくてプレゼント開けちゃった。ワンピースありがとう!」


 今朝届くよう送った白のワンピースを早くも着てくれている。本当にかわいい幼女だ。片手で抱え頭をなでなでいい笑顔。


 「優ちゃんいらっしゃい。早く家にいらっしゃいな」


 椿さんもご機嫌みたいだ。その横で強面若頭もいい笑顔である。だがそんな門から玄関までの約10メートルには強面黒服の兄さん達が道の両端に並び頭を下げている。

 こんなの恐怖だろうが!


 パーティーは無事終わり、「泊まっていって」と言う幼女をなだめ、家路についたのは10時だった。




 17時にもう一本。

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