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第254話 男女と女男


 「レオラ第一王子よ。すまなかった。本当に申し訳なかった」


 台車の上で一番の被害者であるレオラさんへと謝罪する祖父。

 謝罪をされた本人は依然として固まっています。

 気が付くのが遅れましたが、妹さんも固まっています。


 このまま固まっていても迷惑なのですがどうしましょうか?


 レオラさんと一緒にいるシャルと呼ばれるメイドさんなら王族である二人を、軽くゆすったり叩いたりして正気に戻す事が出来るだろうか?


 僕は一緒に固まるシャルさんの前に行き「シャルさん、シャルさん、固まった兄妹を何とかして下さい」と肩を揺すってお願いする。


 「ふぁっ!? USAさま!? USA姫さま!? ミステリアスUSA姫さま!!!」


 はいそうですが、リアクションが大きすぎませんか?

 全部の言葉に驚きが入り、攻撃を受け流すアニメに出てくる剣士の様な動きで上半身を仰け反らせたのだ。


 この人も変わっているのですね……

 変な知り合いばかり増えていきます。


 最後には驚き過ぎて転び絨毯へと座り込むメイドのシャルさん。


 「あの、大丈夫ですか? 何処か打ち付けたりは……」


 慌てて駆け寄りシャルさんへ手を差し出す。


 「はわっ!? はわわわっ!? はわわわわわわっ!?」


 はわ、のたびに後ろへと逃げるシャルさん。

 もしかしたら僕は嫌われているのかもしれません。


 床に倒れ込みながらも凄い勢いで後退するシャルさんは、壁際で「はわわ」言いながら口元を隠しこちらを見つめ「はわわ」です。


 助ける事を諦めました。


 依然として固まる兄妹をどうするか考えていると、メイド長がゆっくりと近づきデコピン二発を王族へとお見舞いした。


 「大変失礼しました。これ以上固まられると王族であっても失礼にあたりますので、実力行使させて頂きました」


 デコピン自体が失礼だと僕は思いますし、気を使った今までの行動が無駄だったようです……


 「いったーって、すいません。ミステリアスUSA姫が居て……本物ですよね?」

 「うむむむむ……そうだね。失礼した。これほど驚いたのは初めてだったのだ……」


 額を押さえる王族兄妹は正気に戻ったけど、メイド長も結構な威力のデコピンを打ったらしく、おでこが赤く色づいている。


 「メイド長が失礼したわ。でも、彼女だって優ちゃんが襲われれば怒りもするわ。もちろん私もね」


 絶対零度の視線を王族へ向ける母さんはソファーから立ち上がり仁王立ちです。


 「最悪は戦争にでも発展していたかもしれないわ~スフォルム王国の軍事力がどの程度かは知らないけど、フランスと日本とアメリカ……連合国軍に勝てるかしら」


 うちの祖母は国をも動かす力があるのでしょうか?

 はったりですよね?

 僕も米軍に助けて貰った事がありますが(第48話参照)戦争まではしませんよね?


 「そ、それは……すまない。本当にすまない事をした」

 「ばかな兄が申し訳ありません。本当に本当の本日は申し訳ありません」


 兄は優雅さのある一礼を妹は何度も頭を下げる。

 王族に何度も頭を下げさせてもいいのだろうか?


 「それは私ではなく優ちゃんに向かってするのが、筋ってもんでしょう」


 「そうだが、ここには……」

 「そうです。優さまはどちらに!?」


 部屋を見回す兄妹の頭の振りがシンクロするが、USAが僕だとは気が付いてない様子。


 そうだよね。

 ミステリアスUSA姫が男だと推理するのは難しいよね……


 「良く聞きなさい。ここにいるUSAが優よ。貴方が襲い、バスローブをひん剥いたのがUSAであり、優ちゃんなのよ!」


 迫力ある母さんの言葉が二人へ向けられ、ぐぎぎとシンクロしながら首がスローで動き僕を捉える。


 「えっと、兎月優です。修学旅行先で何故か女装する羽目になった兎月優です……」


 口に出すと心にくるものがありますね……


 「はっ!?」

 「うぇい!?」


 二人とも驚きを隠せない様子で短い奇声を発した。

 リアクション対決なら口をあんぐりと開けて面白いので妹さんの勝ちです。

 イケメンは驚き顔もイケメンです。


 「そうか、そうだったのか! 君も僕と同じで……なんだ。ならどうだろう。僕と一緒にならないかな。僕は男装する女で、君は女装する男だろ。それならっ!?」


 イケメン王子の告白が途中で止まったのは、この空間にいる者たちからの威圧というか殺気というかオーラというか……

 妹さんに至ってはぶるぶると震え、狼の前にいる子ウサギのようです。


 もちろん狼はメイド長であり、目を吊り上げ鋭い犬歯がキラリと輝き背中には真っ白い狼が今にも飛びかかりそうです。


 他のメイドズも殺気を露わに指をポキポキしています。

 恐らくですが第九の旋律をポキポキで奏でています。


 母さんと祖母には怒った様子はないが、薄らと笑顔でいるのが逆に怖さを助長しているというか……


 祖父は土下座のままで震えています。


 メイドズを宥めた方が良さそうです。

 思ったら行動を起こしましょう!


 僕は横に控えるオーラ全開のメイド長を軽く抱きしめます。

 メイド長の固く力が入っていた体が、徐々に柔らかさを取り戻して行くのが分かります。


 「僕の為に怒ってくれるのは嬉しいけどさ、あんまり怒ると体に悪いから怒らないでね。他のメイドズたちもだよ!」


 「はい」と揃えて返事するメイドズはメイド長の横に整列しています。

 「他のメイドズたちもだよ!」の言葉を受け取ったのだろうけど、他のメイドズたちもハグするよと理解している気がします。


 はい、連続ハグ頑張ります……


 三十名ほど並ぶメイドズを片っ端からハグしていくと、このお城のメイドさんや王家に仕えるシャルと呼ばれ壁際まで逃げて行ったメイドさんも並んでいて……


 頑張ってハグしました。




 お読み頂きありがとうございます。

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