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第251話 ダメな大人



 目が覚めると目の前には小さな足の裏があり、ベッドの下へと体が続いていた。


 ペルちゃんをベッドへと戻し、アシュレちゃんの横へと寝かせる。


 ベッドの下で毛布に包まり丸まっていたワンコも、ペルちゃんたちに混ぜました。


 グッと背伸びをし、修学旅行最終日の始まりです。


 予定では朝食を済ませたらワイン工場と醸造施設を見学し、昼食を取り博物館の見学し夕食です。


 身支度を整えているとメイドちゃんと秘書ちゃんの二人が現れました。


 「やっぱり自然な黒の方が似合いますか?」

 「黒い髪の毛の方が威厳ある日本人に見えますか?」


 態々髪の色を黒へと戻した二人だが見慣れた黒髪の方が僕は好きです。

 金髪キャラはクリスさんが一番に獲得した個性なのだから……


 秘書ちゃんに髪をまとめて貰い支度完了。


 リビングには制服姿のゲレンデが早くも荷物を纏めている。


 「おはよう」


 ゲレンデへ朝の挨拶をすると「おぅ……」と自信なさげな挨拶が返ってきた。

 顔を赤くして……


 僕は男だしボクサーパンツ一枚の姿を見られても恥ずかしくはないのだが、意識されると不思議と恥ずかしく感じます。

 本当に不思議です。


 「昨日はごめんな……」


 ゲレンデからの何度目か分らない謝罪を受け、僕は姿勢を正し確りと向きあう。


 「次謝ったら田中さんに言い付けるから謝るな! ゲレンデの事は友達だし、親友だし、気にし過ぎるな! いいから堂々としてくれ、な!」


 「おう」


 頭をぽりぽりするゲレンデに僕は胸を張り頷く。

 いつも一緒ではないけれど僕の事を男と認識し、適正な距離感で対応してくれるゲレンデには感謝しかありません。

 出来るだけ守りたいし、守られる関係を、対等な関係でいたいです。

 ほぼ守られてばっかりですが……

 そもそもゲレンデの守護騎士という役職も……


 考えるのは止めて「コーヒー飲むか?」と聞いてみる。

 「おう」


 短い会話を終えキッチンへ向かいお湯を沸かす。


 カップでドリップできるコーヒーを二つセットしお湯を注ぐと、こちらを見つめるふたつの視線に気が付きました。


 「濃い友情デース」

 「熱い友情ですね。うふ腐ふ腐ふ腐ふ」


 この二人はどうしてもそっち系へ話題を持って行きたいのだろう。

 クリスさんにも腐った親友ができて良かったです。

 そう思わないと、やってられません!


 結局人数分のコーヒーを用意し声を掛けると、メイドちゃんに秘書ちゃんと腐った二人にゲレンデがリビングに集まった。


 女性陣はミルクに砂糖を入れコーヒーを飲み、僕とゲレンデはブラックで香りを楽しみ飲むのだが、適当に入れたコーヒーなのに美味しいです。


 商品のパッケージから商品名と製造メーカーと連絡先をスマホにメモしていると、幼女たちも起きて来たようで目をこすりながら三人がやってきた。


 幼女たちにはココアを作り、最後に小さな氷を入れて火傷防止。


 「優お兄ちゃんの手料理でしゅ!」

 「ありがとうございます」

 「優くんおはよう」


 ココアひとつで満面の笑みを向けてくれる幼女たちに、おはようしました。


 みんなも支度を済ませ朝食を食べるため、一階にある広いレストランへ向かう。

 向かうのだがエレベーターで出会った、ゾンビを思わせるほど顔色の悪い集団がお酒臭いです。


 「み、みなさん……おはようございます……」


 臼ちゃん先生をはじめとした教師陣たちは二日酔いのようです。

 修学旅行で二日酔いになるまで飲むのは、教師として大人としてどうなのだろうか?

 思春期の学生相手でストレスが多く大変な仕事だと思いますが、ダメな大人を見ているようで……


 レストランには多くの生徒が指定された席に付き、食べ始める合図を待っている。


 「みなさん、今日も一日頑張りましょう……先生たちは深く反省しているので深い追求や正論なんて要りません……みなさんも大人になったら理解できると思うので……今は優しくして下さい……」


 真っ青な顔した臼ちゃん先生の挨拶というより言い訳を静かに聞きました。


 「それでは皆さん頂きましょう」


 テーブルに突っ伏した臼ちゃん先生をはじめとする教師陣の代わりに委員長が頂きますを代行し動き出す生徒たち。


 僕は近くにいたメイドズにスポーツ飲料と二日酔いの薬を教師たちへ差し入れするようにお願いし、幼女を連れてビッフェに参加します。


 適当に見て回っていると中国粥が目につき、メイドズにお願いして教師陣へ配るよう勧める。


 鶏の出汁で炊いた中華粥ならあっさりとしていて、二日酔いでもするっと食べられるだろう。


 「直ちに行動します」


 指示されたメイドズは朝からやる気が満ち満ちているようで、中華粥入りの大きな寸胴を持ち上げ人波をすり抜けて行った。


 取り分けて運ぶという選択肢はなかったのだろうか?


 横で寂しそうな目で中華粥を見送るワンコの頭を優しく撫でて、トマトリゾットを一緒に食べました。


 「トマトとチーズは美味しいのです」





 お読み頂きありがとうございます。

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