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第19話 ファンクラブ


 朝、恒例のラブレター回収。今日は8通。それを内ポケットにしまいため息。

 もう下駄箱にラブレター禁止と張り紙をしよう。そう決意し教室へ向かった。


 今日片づけたい事案はファンクラブの事である。確か三つあるとか。色々聞いて回ったほうがいいな。


 「あら兎月くんおはよう」

 テニスの姫から挨拶を受けた。この人なら顔が広いしわかるかも。


 「二上院さんおはよう。ちょっと聞きたい事があるんだけどいいかな?」

 

 「あら、何かしら?」いい笑顔だ。


 「僕のファンクラブがあるって聞いて、何か知ってる?」


 「知ってるわ。それに入ってるわよ。私が入ってるのはLOVEラビット。一番勢力が大きい組織ね。代表は生徒会副会長よ」 


 うわ~生徒会が絡んでる。生徒会長も絡んでそうだな。


 「他の組織については何か知らないかな?」


 「あとは優神会ゆうしんかい兎同盟うさぎどうめいだったかしら。優神会は一年五組がほとんどで、兎同盟は部活の主将達が作ったと思うわ」


 優神会って、神って、宗教じゃないだろうな・・・もう一つは部活紹介での失敗が原因だな。


 「ありがとう。もう一つ二上院さんに頼みたいことがあるんだけど」




 昼休み、僕は二上院さんを連れ生徒会室へ。


 「やぁやぁ兎月くん! やっと生徒会に入ってくれるか!」


 めんどくさい生徒会長は無視して副会長へ視線を向ける。

 メガネの細身で真面目そうな人。それが副会長の印象。


 あれ? 目が合ったのに頬を染めない・・・


 「よく来てくれた兎月くん。生徒会は君を快く迎えよう」


 何か違和感がある。なんだろうこの人。


 「いえ、その事ではなく副会長が僕のファンクラブを勝手に立ち上げたと耳に入ったので」


 その言葉に反応して目つきが一瞬変わった。明らかに睨まれている気がした。


 「それは君公認にしてもらえるのかな?」


 胡散臭い笑みを浮かべた副会長。


 「違います。潰しに来ました。ファンクラブ自体は僕が管理し運営します。会費を取ってるらしいじゃないですか。それに隠し撮り写真を売るとか、やり方がどうも気に入りませんので」

 これはさっき二上院さんから聞いた事。会費は一人500円、写真は一枚千円から。こんなことされてたまるか! 肖像権も知らんのか!


 「それは困るよ。もう200人の大所帯なんだ。急に潰したら暴動が起きるかもしれない。まぁ僕を君の作るファンクラブの代表にしてくれれば考えなくもないが」


 したり顔で話してくる副会長。

 わかったこの人自分が上じゃないと気に入らない人だ。副会長になったのも会長がアレなのもなんか納得いった。美人だけど性格がアレな人をトップに置いて自分が裏で操ってプライドを保っている。そんな感じだろう。


 ハイハ~イ これからボッキリ折りますよ~


 「運営はここにいる二上院さんに任せます。

 今日、帰りのHRで全校生徒にプリントでその旨を伝えてもらいます。(担任ちゃんの仕事の速さは褒めるべき)

 あとですね、僕が作るファンクラブは会員費無料! 特典は僕が運営する七宝グループから試供品なりを提供しますよ。

 あぁ株主優待で貰った遊園地のチケットや映画のチケットもあるから、それらを景品にしたビンゴ大会なんてのもいいですね。

 ラビットテールの試供品なんてのも提供しましょうか。一本4万するコンディショナーなんて魅力あるし目玉商品になりますよね。

 そうそう、他の二つのファンクラブも潰しますよ。安心してください先輩。メンツが潰れるのは一人じゃないですから」


 顔を真っ赤にさせながら歯を食いしばる副会長。


 「ふふっふざけるな! そんな事させるか! 何がファンクラブだ! あれは僕が作った僕の私兵だ! この学校を好き勝手する組織なんだ! 勝手なことさせるか!」かーかーかーかー


 学校中に響く最後の「かー」


 馬鹿が釣れました♪


 校内放送から聞こえた自分の声に驚く生徒会副会長。

 無策でここに来ると思っているのかよ。この前知り合った放送部の佐音先輩がマイク片手にドアの裏にいるのだ。この作戦の事を話したら爆笑しながら話に乗ってくれた。


 「私兵でしたっけ? すごい事考えますね副会長。今の話を聞いて生徒の皆はどう思うか。まぁこっちの話は終わりましたので失礼します」


 二人で廊下へ出て佐音先輩とハイタッチ!

 「いや~良い物が見れた」「権力者にあるまじき発想ね」

 など二人共楽しげに笑ってくれた。まぁこの後しっかり担任と学年主任に怒られました。


 ちなみに生徒会役員共は強制的に辞職させられた。調べたら出てくる出てくる横領の限り。教材売るなよ!


 次は普通の人が生徒会に入ってほしいものだ。



 帰りにわんこから「あのね、友達がね、兎月くんに会ってみたいって言ってね。明日とか暇な時間ある?」


 明日の午前中は孤児院へ慰問だったかな?


 「午前中なら孤児院へ行くけど・・・一緒に行く?」


 満面の笑みで「はい!」いい返事だ。尻尾サイドテールも揺れている。


 「明日9時に車で迎えに行くよ。家の場所聞いてもいい?」


 場所を教わり教室をあとにした。

 

 あとの二つも潰さないとな。


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