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第15話 会長になった理由

 

 ハグ後のワーキャーが落ち着き委員長から再度質問。


 「高校生で会社の経営してるのは、やっぱりラビットテールが関係しているの?」

 「それ気になる~」

 「普通の高校生じゃできなんもんな」

 「もしかして超お金持ち?」


 委員長の言葉にクラスメイトが乗っかり適当に濁すのも難しくなった。では語りましょうか。僕が会長な理由を。


 「少し長い話になるから、みんな席についてください」


 そうそれは今から八年前まで遡る。父の死。これが一番大きな理由だろう。

 生前父は「人を助けられる男になれ!」が口癖だった。

 父もファッションデザイナーとして母と共に、子供服からスーツまで幅広く製作し人気を集めていた。

 そんな父にガンが見つかった。全身に転移して余命先刻までされた。最後は笑うように亡くなった父。

 35年という短い生涯だが、幸せな人生だったのだろう。

 この時(小2)僕は父が生前言っていた「人を助けられる男」を目指すようになった。


 小学校では地域ボランティアに参加したり。泣いている子供がいれば慰めた。運動会の準備や、宿題を忘れた友達にノートを見せてやったりと自分なりに努力していた。


 そんなある日、僕は誘拐されました。

 ボランティア活動の最中に黒いごみ袋に入れられ車に押し込まれ、初めての誘拐は声も上げられなかった事を覚えています。

 息苦しくなってきたゴミ袋の中で車の止まる音。ゴミ袋から出され無精ひげの男がナイフ片手に「騒ぐな。お前の母親は兎月牡丹うずきぼたんだな?」と、声もなくうなずきました。

 この時男が笑った顔は忘れられないと思います。


 貧乏と一目見た瞬間にわかるアパートに入るよう指示され、ゴミの散らかった部屋に座り込む。

 抵抗なんてできませんよ。その時僕は小3。大人になんて勝てない。もちろん今も殴り合いの喧嘩すらしたことが無いです。


 ガムテープでグルグル巻きにされながら男は泣いていた。泣き止んだ男は電話片手に「お前の息子を誘拐した。5千万用意しろ。警察には連絡するな。今声を聞かせる。おい」と。

 「僕です」そう答えると相手はラビットテールの受付だった……


 この犯人ばかだ。


 「えっ? タカシじゃないの? 優様!? なんで優様が? えぇ~と、あぁ、どうしたら!」


 「落ち着いてください! 母に連絡だけしてください。要求は聞きましたよね? 五千万です」この時僕は、僕の値段が五千万なのかとか、何で誘拐の手助けみたいな説明しているのだろうとか、僕の個人口座にはお小遣いで貯めた八千万があるのにとか……冷静な自分がいました。


 電話も終わり犯人の男から謝られました。

 悪い人ではないのかもしれない。誘拐してる段階で悪い人なのだけれど。話だけでも聞いてみよう。


 「あの、誘拐の理由はお金だけなのですか?」


 優しく話しかけると男は自分の事を語り出した。


 会計事務所を経営している事。娘の目の手術でまとまった金が必要な事。会計事務所の金を持ち逃げされて給料が払えない事。最後は嗚咽交じりで聞き取りにくかったです。


 「五千万で足りるのですか? 僕が出資しますよ」


 はじめは意味が分からないと言う顔をしていたが、ゆっくり諭す様に自分の貯金額を説明し父のから言われた「人を助けられる男」の事を話した。


 「本当に、本当に、いいのですか?」


 小4相手に敬語になったよこの人。


 「もちろんです。でも、この状況を何とかしないといけませんね」


 オロオロする男。彼は誘拐犯なのである。今頃、母やメイドズが僕の携帯やポケットに入ってるGPSで居場所を特定しているだろう。


 取りあえずガムテープを外してもらい「今から言うものをすぐに用意してください」


 僕は物を指定してすぐにスマホである曲をダウンロードした。


 「一緒に作りましょう。二人で持てば説得力も出ると思います」


 そこから5分。何とか作り終わり「ほら笑顔にしないと笑顔」突入を待ちました。


 一番に突入してきたのはメイドズのメイド長(今入院中)が手に薙刀を持ってドアを蹴り破った。

 そこでスマホからBGM。





 テッテテーーーーー♪


 僕ら二人の手には「ドッキリ大成功!」の文字が書いてある段ボールで作ったプラカード。


 メイド長の顔が般若に見えました。

 その後は説教され、男は何とかイタズラとして処理されました。

 後日、母さんにはばれていたらしく説明を強要されました。話を聞いた母さんは泣きながら僕を撫でていた。


 そんな誘拐劇が終わり会計事務所は建て治り、娘さんの手術も成功。一人の男を助けることに成功した僕は達成感で胸いっぱいです。


 「あなたのように困った人がいたら僕に紹介してください。今回のように何か力になれるかもしれません」


 誘拐未遂犯にその事を伝えた。


 その後すぐに相談が立て続けに2件。病院を乗っ取られた院長。自己破産しようときた不動産屋経営のおじさん。(この人の娘が秘書ちゃん)

 これらを助けたのが悪かった。

 このトップ三人が勝手に七宝グループなんてものを起ち上げ、強引に会長職へ就任(この時小4)させられたのだ。

 ちなみに七宝の由来は僕のポニーテールだとか。


 これ天下りじゃね?


 「これが会社を経営する理由です。これでいいですか?」


 話し終わるとリアクションもなく黙ってうなずく委員長とクラスメイトがいた。



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