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第14話 イジメ対策

 いじめに対する表現がありますが、胸糞悪くなるほどでもないと思います。

嫌な方は読み飛ばしてください。


 朝、お弁当を詰めながら昨日の事を反省した。

 放送での告白のお断り。確実に目立つ行動である。これは身内(仲間)を増やしたほうがいいな。

 炊き込みご飯をおにぎりにしながら(秘書ちゃん用)作戦を練るのだった。



 HR終わりの先生へ相談。


 「あら兎月くん、やっぱり先生にするの?」


 こいつまだ言ってやがる。


 「いえ、一時間目の現国の時間を少しいただけませんか? いじめに関する事をクラスメートに話したいのですが、」


 両肩を鷲掴みにして、「兎月くんいじめられてるの?」意外と力あるな。


 「先生、痛いです」


 「あらごめんなさい」


 そっと手を放してくれた。


 「まだイジメられてませんが、これからあるかと思いまして。中学では色々ひどい目にあいまして、その対策に少し話をさせてもらいたいです」


 「話すだけで予防できるの?」


 「多分ですが」


 「それならいいわ。好きに使ってちょうだい。余った時間で授業するからね」


 「ありがとうございます」


 チャイムが鳴り先生が入って来て、これから僕の話があると説明してくれた。


 「貴重な授業の時間を使ってしまってすいません。

 僕の事を知ってほしくて。馬鹿な話をするかもしれませんが事実なのを先に強く言っておきます。僕の友達がいじめられた話です。

 中学の時、友達と呼べるのは一人だけでした。名前は伏せさせてください。そいつとはいつも一緒でクラスが別になっても友達でした。ある時急にそいつが学校休みがちになって、理由を知ったのは随分後になってからでした。はじめは教科書隠されるぐらいだったみたいですがどんどんエスカレートして体操着を切られたり、脅迫状貰ったり。その脅迫状の内容は兎月優に近づくなでした。いじめられる理由は僕だった。

 物凄く後悔しました。

 僕が友達にならなければアイツはイジメに合わなかった。三年になるとまた僕と同じクラスになり、学校へと来るようになりましたが夏休みまで数日と言う所で事件が起きました。

 カッターを握った女子が友達を刺そうとしました。とっさに前に出て僕が盾になり・・・腹にカッターが刺さりました」


 クラスに木霊する悲鳴。あっでも生きてるよ。ほら、過去の事だから。半数位が泣きだしちゃったよ。先生も泣かないで、こっちまで悲しくなるし。傷だって二針縫っただけだし、絆創膏でもいいと思ったほどだ。

 話を続けるか。


 「刺した女子は転校しました。それでみんなにお願いがあります。みんなで友達になりませんか? 変な嫉妬心持つより、みんなで楽しく学校生活を送りませんか?」


 委員長が手をあげてきた。

 「私達と友達になりたいってこと?」


 「簡単に言うとそうです。もう、あんな事件起こしたくないと言うのが本音です」


 「それって兎月くんとお近づきに誰でもなれるってことだよね!」

 「私が友達になってもいいの?」

 「まじかよ! 俺絶対なる!」

 「私も! 私も!」


 涙を拭き終えた担任が「このクラスは良いクラスになりそう! みんないいわね。このクラスでイジメは絶対起こさないわよ!」

 青春してるなぁ。


        作戦名:友達縛り

 この作戦は友達という特別な関係を利用して、人の精神を安定させて縛る効果がある。嫉妬心も「俺あいつの友達だし」と、優越感+精神的余裕が生まれる。多少友達付き合いが多く大変になるが刺されるよりましだよね。


 「兎月くん、今の話なんだけど全校生徒にプリントで配布していいかな? 少しでも嫉妬が減れば良い方へ転ぶと思うの」


 「はい、お願いします」


 「じゃあさっそくプリントと作ってくるわね」


 走って行ってしまった。授業どうするんだよ。


 「せっかくだから兎月くんに色々聞いてみたいんだけどいいかな?」


 委員長の言葉にうなずいた。


 手を上げて「先に解決させたい話があるわ」と二上院さん。確かテニスの姫だっけ?


 「河本さんとは付き合ってるの? よく頭を撫でていたようだけれど」


 爆弾ブッ込んでくれるなよ!


 「それには理由があって。玄関で僕のメガネわっちゃってさ、青い顔して泣きそうになったから頭撫でたんだ。僕が経営してる孤児院の子とかも頭撫でると落ち着いてくれて話を聞くようになる。それにさ河本さん撫でてると目を細めて、嬉しそうにしてくれてサイドポニーが犬の尻尾みたいに揺れて」


 「わかる~」

 「あの姿、子犬みたいだよね~」

 「私も撫でてみたい」

 「私は撫でられたい」


 「じゃあ付き合ってはないのね?」


 「友達として慰めたって所かな? これでいい?」


 「私が撫でてって言ったら撫でてくれる? 友達として」


 ノータイムで「もちろん」

 あっわんこの顔が少し陰った。今は気にしない。


 「じゃあお願いします」と頭を差し出してきた。

 「よしよしよしよし」と二上院さんの頭を撫でる。ふわふわな毛が心地いいな。


 「これでいい?」


 「ひゃいっ」と面白返事をくれた顔は真っ赤だった。

 ん? なんで二上院さんの後ろに列ができてるのかな?


 そこからはナデナデタイム。何だろうこの光景は。同級生が頭を撫でるのをひたすら列になって待つ珍妙な図は。考えるのはやめよう。

 中盤わんこの番があった。やっぱり一番撫で心地がいい。

 後半の男子ゾーンへ。

 男は撫でたくないよ~でも友達だしなぁ。はぁ~


 「ちょい待ち。田中くんはこっちへ。髪型ガッチガチに固めてるでしょ。崩れちゃうしワックスが手につくと次の人まで影響が出るから最後ね」


 「おう」


 そうやってガッチガチ勢だけ外して撫でていく。3人ほど残りそいつらにはハグをした。

上がる悲鳴。


 「何で最後の三人だけハグなのよ!」

 「私も抱きしめられたい!!」

 「私もガッチリ固めてこようかな」


 「俺、今日死んでもいいや」

 「高校ってすばらしい」

 「友達最高!」


 おい田中! 鼻血を止めろ。


 多少の不平不満が出たが、取りあえずよしとしておこう。




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